全部デマカセだった民主党の政権公約 公約見直しなら選挙をやり直せ (日刊ゲンダイ2011/2/7)

これほど恥知らずの国会議員ばかりだったのか、民主党という名の税金ドロボー政党

―年金一元化も子ども手当も後期高齢者医療制度も高速道路無料化も公務員改革も何もかも選挙民をだまして票を詐取した犯罪だった

―ウソを並べて議席を取って、任期はあと2年あるとウソぶく菅政権は民衆の敵だ

先週5日、「税と社会保障の一体改革」の議論が始まったが、国民は目をこすってしまう。会議では菅首相の隣に与謝野馨経財相が陣取り、柳沢伯夫・元厚労相が向かいに座った。
いずれも元自民党の“重鎮”で、野党時代の民主党が攻め立てた相手だ。翌日の新聞には「一体改革 自公案軸に」(読売新聞)の大見出し。

民主党政権は一体、どこへ行ってしまったのか。もはや、影も形もないではないか。それがあからさまになった会議だったのである。
今や、首相気取りの与謝野は会議のメンバーも気心の知れた“仲間”にし、民主党がマニフェストで掲げた税方式による月額7万円の「最低保障年金」や「年金一元化」の改革案をあっさり切り捨てようとしている。「社会保険方式」「現行制度の大枠維持」の方向で、そうしたら、いきなり、菅内閣は「社会保険方式が基本」との答弁書を作成、年金一元化についても「大変難しい」(菅首相)とか言い出している。
あれよあれよという間に、どんどん、公約がなし崩しになっているのだ。

◆菅政権の裏切りは国家的犯罪だ

民主党は子ども手当についても月額2万6000円の満額支給は断念する方向だ。
高速道路無料化も「社会実験」でお茶を濁す気だし、八ツ場ダムも本体工事を残して、周辺の工事はガンガン進んでいる。公務員改革もひどいもので、人件費の2割カット、降格人事、天下り根絶のどれも実現の見込みがなし。そうこうしているうちに、政務三役会議に事務次官や官房長が出席することになり、官僚主導が完全復活してしまった。
国民はア然ボー然だが、これぞ、国家的犯罪ではないか。「あれもやります」「これもやります」と詐欺的手法で国民の票をかき集め、議員を増やし、政党助成金という税金をふんだくった揚げ句、公約はことごとく破棄し、あろうことか、自公路線に舵切りとは、あまりにも国民を愚弄した話だ。
筑波大名誉教授の小林弥六氏はこう言う。
「私はこれぞ、巨悪だと思う。政治とカネよりもはるかにタチが悪い話です。国家権力を使って、金をくすねるくらいなら可愛いが、菅政権はマニフェストを使って権力を握った瞬間、マニフェストを引っ込め、自分の権力維持のために勝手に国をつくり替えようとしている。菅首相がやっていることは日本の政治史上まれに見る犯罪だと思います」
普天間基地の県外移設をうたった政権が、米国に擦り寄り、尻尾を振る。消費増税の前に無駄削減の徹底を誓った政権が、6月にも税率アップを宣言する。今年の党大会から「国民の生活が第一」の看板は下ろされ、代わりに登場したのがTPPだ。小泉・竹中の格差社会へのアンチテーゼとして、民主党政権が誕生したのに、菅はさらなる自由競争、市場原理主義路線に突っ走ろうとしている。
まさしく、犯罪的な裏切りで、国民はただちに解散・総選挙を求めなければ、ウソなのである。

◆玄葉、仙谷の上から目線の物言いにはア然とする

それなのに、民主党幹部の言い草には心底、腹が立ってくる。
玄葉政調会長兼国家戦略担当相はこう言った。
「基本理念が変わらなければ(マニフェスト)見直しは許容される。堂々と謝るべきところは謝りたい。見直したから解散、となれば、物ごとが進まない」「1年に1回首相が代わって何ができるのか。2年に1回衆院選をやって何ができるのか。2、3年やらないと本物の仕事はできない」

ぶったまげるようなセリフではないか。基本理念が変わっていない、などとよく言う。厚顔、鉄面皮の居直りだ。その裏には民意軽視がチラつく。本来だったら、有権者にひれ伏すべきではないか。「堂々と謝る」ってなんだ。よくぞ、こんな「上から目線」の物言いができたものだが、もっと、ふざけているのが仙谷代表代行だ。AERA(1月31日号)のインタビューで、菅内閣の支持率低迷の理由を聞かれて、こうホザいたのである。
「国民が期待したのは何だったのでしょうか。たちまち自分の実入りがよくなると期待したのでしょうか。(中略)きちんと評価してもらえないのが残念です」「(マニフェストは)野党的な財源問題棚上げ論で走ったということです。そのへんはきちっと本格的な議論を提示してやらなければならない。3年間も赤字予算を組んで、4年目もできるなんて考えたら政治家失格です」

こちらも絶句の言い草だ。これを読んだ読者が朝日新聞の「声」欄で〈(AERAの発言は)聞き捨てならない。目先の「実入り」に目がくらんで民主党に投票したかのような発言は有権者を馬鹿にしている〉と怒っていたが、本当だ。
すべての公約を反故(ほご)にしておいて、支持率低下は物欲しげな有権者のせいにする破廉恥。公約は「野党時代の話」と居直り、それに固執するのは政治家失格だと言わんばかりの狂気。おまえこそ、政治家失格ではないか。

◆永田町の八百長体質の方がはるかに悪質

「大相撲の八百長問題どころの話じゃありませんね。民主党がやっているのはマニフェストの修正ではない。党そのものを変質させ、自民党と同質化させようとしているのです。その先には大連立とか、さまざまな思惑があるのでしょうが、当事者たちは悪びれもせず、反省するそぶりもない。これじゃあ、有権者に対する“国家的詐欺”だし“税金泥棒”といわれてもしょうがない。こうした行為に誰が加担しているのか。他の議員はなぜ黙っているのか。永田町の政治家にも全員、携帯電話を見せてもらいたいものです」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)
問責を食らいながら、傲岸不遜な態度、物言いが相変わらずの仙谷が党の中枢に座っている民主党はオシマイだ。民意を馬鹿にし、国会をないがしろにしている証拠だ。そこには権力亡者のファッショ体質が見え隠れする。菅も同じだ。でしゃばりのカミさんが亭主の無能と裏切りを棚に上げ「メディアが悪い」と吠えている。こういう勘違いが権力を握った時に国は滅びる。それは歴史が物語っていることなのだ。

◆犯罪者政権はとっとと解散して政権から立ち去れ

政治解説者の篠原文也氏はこう言った。
「確かにマニフェストには4年間の時間的猶予がある。しかし、それは実行に向けて努力する前提があってこそです。子ども手当や最低保障年金などマニフェストの根幹部分を引っ込めるのであれば、当然、解散・総選挙で民意を問うべきです。ところが、支持率が急低下し、予算の成立も危ぶまれている菅政権は解散どころじゃないのでしょう。解散から逃げ、勝手にマニフェストを変えるのであれば、二重の意味で憲政の常道から逸脱することになります」

民主党のマニフェストをずっとウオッチし続けてきた、ジャーナリストの神保哲生氏はこう言う。
「民主党のマニフェストの根幹は煎じ詰めると公明、公正、透明性です。なし崩し的にマニフェストを修正しようとしている菅政権は透明性において、国民を裏切っている。修正すると言うのであれば、マニフェストの中で何をやって何をやらないのか。優先順位とタイムテーブルを提示すべきです。それを見た国民が解散を求めれば、当然、信を問うべきです」

いまや、犯罪者集団と化している菅政権は民衆の敵だ。「違う」と言うなら解散しろ。裏切り者のペテン師は国民の鉄槌を受けて、とっとと政権から去るべきである。



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