中東各地で祝意の行動や声明相次ぐ、ムバラク体制崩壊
(CNN 2011.02.12 15:47) http://p.tl/Hk5E

アラブの大国エジプトのムバラク大統領が反政府デモのうねりで11日、辞任に追い込まれたことは中東各地で大きな反響を呼び、エジプト国民への共感や祝意を示す行動や声明が相次いだ。中東には強権国家が多いが、チュニジアやエジプトでの政権打倒を目指す国民蜂起に触発され、イエメン、ヨルダンなどでも政府批判のデモが起きていた。

エジプトと平和条約を締結するイスラエルでは、主要テレビ局2局がスレイマン・エジプト副大統領によるムバラク氏辞任の発表や反政府デモ隊が集結するカイロ・タハリール広場の模様などを実況中継し、エジプト政変がイスラエルの今後の政策に及ぼす影響を中東問題専門家らが論じ合った。同国北部のハイファでは数十人がエジプト国旗やパレスチナ旗を路上で掲げ、車の警笛を鳴らすなどした。

イスラエル政府は声明を発表していない。ただ、米ニューヨークに本部がある有力なユダヤ人団体は、エジプトの主要野党勢力であるイスラム組織の「ムスリム同胞団」が政権移行で果たす役割への懸念を表明した。

イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザでは、パレスチナ住民がムバラク氏辞任を祝って路上に繰り出し、銃を空に向けて発砲するなどした。ハマスの報道担当者はパレスチナ人の勝利にも相当するとし、エジプトの新指導部がガザへの経済封鎖を解除することなどを期待した。

エジプトと対立するイランでは、国営通信がメフマンパラスト外務省報道官の談話を伝え、「欧米が求める形ではない新たな中東が誕生しつつある。これはイスラム教の覚醒(かくせい)に基づく」とした。プレスTVは、エジプトの歴史をつくった国民の正義を求める勇敢な行動を支持するサレヒ外相の声明を報じた。

レバノンの首都ベイルートではムバラク体制崩壊を喜ぶ目立った騒ぎはなかったが、イランやシリアが肩入れするイスラム組織ヒズボラの軍事部門が拠点を築くレバノン南部などでは数百人の住民が花火を打ち上げ、銃を上空に発砲した。ハマスの報道担当者はエジプトの老若男女の国民の結束を称賛、「血は剣より強いことを示した」とたたえた。

イエメンの野党陣営はエジプト革命を受け中東の地図が変わるとし、圧制や力の行使は体制の維持につながらないことを証明したと指摘。ヨルダンのジュデ外相はエジプト国民の自由な選択を尊重すると表明。アラブ首長国連邦(UAE)政府は、エジプトの軍最高評議会が国民の願いや希望を実現させる国政を進めることを信頼しているとの声明を発表した。