異常事態の菅政権 ── 「日本一新運動」の原点(41)

平野貞夫
(THE JOURNAL 2011年2月14日) http://p.tl/HDug  


 2月9日(水)に、憲政記念館で開かれた「検察審査会の疑惑を究明する市民と国会議員の会」の結成大会は、驚異的な成功であった。

 午後4時30分開会という、一般市民が参加しにくい時間帯であったが、500人の椅子席が満席で、立ったままの人たちで会場が埋め尽くされた。しかも、会場に入りきれない人たちが帰ったとのこと、主催者の不手際としてお詫びしなければならない。

 更に、参加してくれた国会議員や代理秘書の数が、総計で50名を超えたとのことである。当初、10名程度の参加と聞いていたので、驚きを通りこした。国会議員から6名、市民団体から、それぞれ世話人を出して、運動を展開することになった。


 結成大会は、世話人国会議員が、それぞれ決意の挨拶を行った。私が「小沢問題と議会制民主主義の危機」として、小沢問題の本質が「政治捜査」であり、政権交代の阻止、そして交代後は「小沢排除」にあったことを、体験として説明した。要点は、わが国が「新しいファシズム」に入り込み、社会心理的に暴力装置となったメディアが、行政・検察・司法に影響を与え、議会民主政治を機能マヒさせるようになっていること。困ったことに国会も、「小沢問題」の本質を究明しようとせず、小沢排除にうつつをぬかし、民主党執行部に至っては集団リンチ・内ゲバで、小沢氏を党から排除しようとしていることを指摘しておいた。


 「小沢問題」は小沢氏個人の問題ではない。国民主権で有権者が選んだ代表者を、不起訴となったにもかかわらず、メディアと共謀して真の改革を阻止しようとする政治権力が、市民の目線という美名で排除することを許すならば、議会民主政治は成り立たない。民主党執行部がやろうとしていることは、菅政権に服従しない政治家を、排除しようとするファシズムである。


 森ゆう子参議院議員は、昨年から苦労を重ねて究明してきた、「検察審査会の疑惑」について、具体例を挙げてわかりやすく説明した。結論は「検察審査会の強制起訴は憲法違反であり、東京第五検察審査会の2回目の小沢氏起訴議決は、違法な手続で行われており無効である」というものであった。特に、二回目の審査が適法に行われていないことを具体的に説明し、議決前に検察官の説明を受けていない疑惑や、議決が行われた日時や手続に重大な疑惑があることを指摘し、政治弾圧に利用される場合だけでなく、一般市民が何時罪人にされるかわからない恐怖の実態を述べた。


 シンポジウムは、副島隆彦氏、染谷正圀氏の発言や、一般参加者の質問などがあり、「決議文」(日本一新の会ブログに全文掲載)を採択して終了した。


■異常事態の菅政権


 2月7日(月)午後、小沢さんと懇談中、民主党の幹部クラスが来訪した。用向きは菅首相と面談した状況の報告であった。国会答弁でも、国会外の発言でも、菅首相の発言内容の異常さが目立つ中で、政権交代の原点とかマニフェストの理念という次元の議論ではなくなっている。トップの政治指導者としての仕草が異常で、早く手を打たないと大変なことになるという話であった。この後、小沢さんがしんみり語ったことが心に残った。

 「裏切られ、騙されたと言っても、自分が関わってできた政権だ。僕に責任があるんだ。国家が異常事態となり、国民の生活に支障が出ないようにしなければならない」


 現在のわが国の政治は異常事態といわざるを得ない。予算関連法案を成立させるため、公明党に秋波を送ったが相手にされない。そこで社民党への提携を申し入れ、普天間関連予算の凍結をエサに政権延命を謀ろうとしている。そんな誤魔化しで政権運営ができるのか。もっと驚いたのは、九日の党首討論で菅首相は、平成23年度末までに消費税を含む税制改正法案を提示するとのこと。消費税率を上げることを明言したものである。政権交代の根本を否定したものだ。最早民主党政権とはいえない。


 北方領土問題で、ロシア大統領の領土訪問を「許し難い暴挙」と批判した。これは国際政治の世界では戦争状態で使う言葉だ。菅首相の思考システムに重大な障害が発生した可能性がある。菅首相の言動が政治不信をスパイラルさせ、国家の危機が目前に迫ったといえる。


 菅首相は小沢代表に対し、検察審査会の起訴議決を受けて「離党を勧告」した。そもそも成立し得ない架空の犯罪事実をデッチあげたのは、菅政権そのものの可能性がある。その検証こそが必要なのに、完全にファシズム化した民主党が、このままの状況であってよいだろうか。

 民主党所属国会議員たちよ、エジプトの民衆の方がましだと言われないよう、国家の危機に対処して欲しい。来週の動きを期待して注目している。


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