支持率10%台 菅暴走 小沢追放 民主瓦解 (日刊ゲンダイ2011/2/15)

役立たずの菅首相が「小沢処分」のナンセンス 民主政権は瓦解の始まり

─国民のための政治ならもっと他にやることがあるだろう

─支持率最低、景気悪化、内政も外交も失敗、内紛に明け暮れている時なのかとアキれた声

◆党員資格停止と粋がったが、選挙民はその優柔不断な民主党政権の迷走を笑っている菅代表―岡田幹事

長の民主党執行部がきのう(14日)、小沢一郎元代表を処分する方針を決めた。裁判で判決が確定するまで「党員資格停止」である。

正式には15日午後の常任幹事会で協議し、常幹は党倫理委員会の意見を聴取した上で、最終決定を下す。とはいえ、岡田は先月、わざわざ常幹メンバーの過半数を“反小沢”に塗り替えている。小沢処分を見越したもので、倫理委員長はテレビでうれしそうに小沢批判を繰り返す渡部恒三元衆院副議長だ。
小沢の「党員資格停止」処分が月内にも確定するのは間違いないのだが、返す返すも菅はバカだ。これで民主党の瓦解は決定的ではないか。

党内には亀裂が走り、国民はこの間、小沢切りのスッタモンダにホトホト呆れた。菅が信念でスパッと切るならまだしも、暗に「議員辞職」を求めたくせに、対応は岡田幹事長任せでグズグズ、モタモタ。優柔不断の末の「党員資格停止」で、小沢派の怒りを収める効果もなく、党内外から冷笑を買う結末になったのである。政治ジャーナリストの野上忠興氏はこう言う。
「菅―岡田執行部はこの何カ月間、小沢氏の徹底排除の道を探ってきた。しかし、小沢グループの抵抗もあり、やりきれないまま、内閣支持率が急落。政権運営に黄信号がともり、除名ではなく苦し紛れの党員資格停止になったのです」

◆抜き差しならなくなった党内対立

迷走首相らしい“結論”だが、中途半端な処分は、かえって小沢グループの反発、反撃を招いている。ここが菅の愚かなところだ。

小沢側近のひとりは「こうなったら行き着くところまで行くしかない。予算関連法案も通らないのではないか。解散するならすればいい」と息巻いた。「どちらが本当の民主党なのか。2つに分かれて選挙で戦って、スッキリした方がいいんじゃないか」と言う議員もいた。
「党員資格停止」になると、衆院小選挙区支部長の資格がなくなり、事実上、選挙で公認をもらえなくなる。党からの活動費も打ち切られ、代表選の立候補もできない。選挙に強く、資金も豊富な小沢は「余裕」だろうが、それでも裁判の決着まで何年かかるか分からない。この間、ジワジワと影響力を削(そ)がれていく懸念はあるわけだ。

政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言った。
「菅政権が国民の支持をもう一度得るには、挙党一致しかなかった。衆院300の数でもって政策を実行していくことです。それなのに今回の小沢処分で党内対立は抜き差しならなくなった。執行部の自爆以外の何ものでもないと思います」

菅民主党から離反するのは小沢グループだけではない。2割を切った内閣支持率が物語るように、怒り狂っているのは国民だ。景気対策や予算審議そっちのけで、何カ月間、小沢処分に血道を上げてきたのか。「国民のための政治」とかホザくなら、他にやることが山のようにあるだろう。それをないがしろにした揚げ句、党内亀裂では世話はない。スッカラ菅のトンチンカン政治にはもうウンザリ。これが国民の正直な気持ちだ。

◆無能政権のせいで市場大暴落の恐怖

党内不和を抱え、国民からも見捨てられた菅政権は、いまや何もできない内閣になってしまった。
内閣支持率は10%台に急落し、野党に協議を呼びかけても相手にされないテイタラク。諸外国からは足元を見られ、景気は低迷、内政は停滞、外交は火ダルマと、信じがたい状況だ。

そんな能無し首相が粋がって「小沢処分」にのめり込むナンセンス。これはちょっと笑えない事態だ。経済評論家の広瀬嘉夫氏が言う。
「民主党政権に期待されたことは、格差是正や年金改革、それによる個人消費の復活など数多い。今となっては夢物語ですから、アレもやれコレもやれとは言いません。せめて、政治が景気の足を引っ張らないで欲しい。これが市場の願いですが、これすら、裏切られることになるのでしょう。

小沢氏の処分をすれば、支持率が上がるのか。予算関連法案が通るのか。与謝野大臣を迎え入れれば、野党が政策協議に乗ってくるのか。すべてがことごとく裏目じゃないですか。おそらく、菅政権は予算関連法案がどうにもならずに3月退陣の憂き目でしょう。そうなれば、リスクを嫌うファンドマネーは一斉に引き揚げます。せっかく、日経平均が1万700円台に乗せたのもつかの間、大暴落になりますよ」
小沢切りに何カ月もウツツを抜かす暇があったら、もっとマジメに景気対策をすればいい。財源がないなら、公約通り、公務員の人件費を2割カットしたらどうだ。この政権が発足以来やってきたことは、無意味な小沢処分だけなのである。

◆諸外国もアキれている菅のアホぶり

こうした菅政権のデタラメぶりには諸外国もアキれ返っている。自民党の石破政調会長が「日米、日中、日ロとすべての関係が悪化しているのは初めてだ」と言っていたが、本当だ。元レバノン大使の天木直人氏は「異様な小沢切りは外交の失点隠しではないか」と、こう言う。
「日中、日ロ関係の悪化は歴然ですが、日米関係も信じられない事態になっています。菅首相の訪米日程が決まらないのです。当初は春の訪米予定が連休明けになり、6月、いや夏以降なんて声もある。米国が菅政権に見切りをつけていて、来られても困るからでしょうが、前代未聞ですよ。政治が停滞すると、その間、官僚が跋扈(ばっこ)する。彼らが勝手に情報を左右し、密室外交を進めてしまう。政治主導はどこへ行ったのか、と情けなくなります」

そんなレームダック首相がロシアに対して「(大統領の北方領土訪問は)許しがたい暴挙」とか吠えているのだから、笑止だ。これも小沢切り同様の“ツッパリ”で、無論、戦略があるわけではない。当然、ロシアは驚き、すぐに怒りをあらわにしたが、新聞はあまり批判しない。アホみたいな小沢処分の動きを垂れ流し、ツッパるチンピラ首相をたきつけたのである。この間、内政も外交も本当にどうしようもないことになってしまった。国民は怒り、呆れ、言い知れぬ不安に襲われているが、菅と岡田は気づかず、無意味な小沢処分に明け暮れた。
「民主党内は4月の統一地方選を前にとんでもない動きが出ています。民主党から公認をもらっている候補者が公認返上する動きが広がっているのです。みんなの党から出ようとする候補者もいる。これじゃあ、選挙をする前に候補者がいなくなりますよ」(民主党関係者)

地方議員は地元の民意をよく知っている。恐ろしい勢いで民主党離れが進んでいる。気づかないのは菅や岡田だけだ。

こうして、民主党は崩れていく。政権交代はつかの間の幻。国民の期待を裏切った罪は限りなく重い。



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