[ワタミ]渡辺美樹の都知事選出馬は何が狙いなのか
(日刊ゲンダイ2011/2/16)

政策も勝ち目もないのに…

飲食店チェーン「ワタミ」の渡辺美樹前会長(51)が都知事選への立候補を正式に表明。きのう(15日)、ホテルで会見を開いたが、どうも要領を得ない。
渡辺氏は、84年に有限会社「渡美商事」を設立。居酒屋チェーンを全国に展開し、最近は学校法人の運営や介護事業にも乗り出している。いまやグループ全体の連結売上高は1154億円(10年3月期)。外食店舗数は657、介護施設51ホームに上る。カリスマ経営者としてテレビでもおなじみだ。とはいえ、無所属の渡辺氏が知名度だけで勝てるほど都知事選は甘くない。
「みんなの党が公認か推薦を出すという話もあります。ただ、渡辺氏は女性問題が週刊誌で報じられたことがあるし、ワタミの有料老人ホームで母親が亡くなったという遺族の怒りの告発記事が誌面をにぎわせたこともある。週刊誌がカネにまつわるスキャンダルを狙っているなんて噂もある。だから、みんなの党も二の足を踏んでいるのです」(永田町関係者)
出馬しても勝ち目が薄いうえ、マスコミの餌食になるだけだ。なぜ立候補するのか。なにか思惑があってのことなのか。

会見で、渡辺氏は「政治にも経営感覚が必要」と力説。「政治について素人であるがゆえに、私はものすごい政治家になれると思う」と自信たっぷりだった。
「ところが、肝心の政策となると、『東京ブランドを高めたい』とか『信を取り戻す』などといった抽象論に終始。何がしたいのか見えてこない。それに、横浜市出身の渡辺氏は、これまで横浜市長選や参院選・神奈川選挙区での出馬を打診されても断ってきたのです。なぜ東京都知事なのか。驚いたのは、勝算を聞かれた渡辺氏が『勝ち負けより大切なことがある』と答えたこと。ビジネスのためなのか、出馬すること自体に意味があるのかもしれません」(都庁クラブ関係者)
しょせんは金持ちの道楽みたいなものか。