地方議員の間で加速する「菅・民主党離れ」 (日刊ゲンダイ2011/2/16)

統一地方選を前に相次ぐ公認辞退、会派離脱

とうとう、民主党が足元から崩れ始めた。4月の統一地方選を前に、地方議員の公認・推薦の辞退や民主党会派を離れる動きが加速している。菅内閣の支持率は10%台に沈み、選挙は連戦連敗。なのに、執行部は誰ひとり責任を取らず、「小沢切り」に血道を上げている。地方議員は菅執行部に怒り、呆れ、見切りをつけ始めている。

「自分はブレていない。改革に後ろ向きの民主党こそが、どこかブレてしまったのではないか」
こう話すのは、東京・板橋の長瀬達也区議(34)だ。区議会会派「民主党・市民クラブ」に所属していたが、14日に退会届を提出した。
「名古屋市長の河村たかしさんが再選された翌7日から、河村市長との2連ポスターを張り出したところ、民主党会派の幹事長がメールで『河村市長は民主党の完全な敵』『反党行為で処分対象になる』と警告してきたのです」
長瀬区議は「小沢一郎政治塾」出身で、河村市長とも親しい。4年前の区議選でも河村に応援に来てもらっていた。
「私は河村市長の改革姿勢に共鳴しています。民主党が河村市長を『敵』と見なすのは、改革を否定したのと同じ。改革姿勢を失った民主党に処分されるなら、自ら離れようと決意しました」
4月の区議選は、長瀬氏は河村市長の「減税日本」から公認を受けて戦うつもりだ。

菅首相の“お膝元”もグラグラだ。昨年末の市議選で民主党が7人を擁立しながら、議席を5から3に減らす大惨敗を喫した西東京市。中選挙区時代は菅の選挙区で、現市長も元民主都議という“菅王国”だ。
ところが、現職で1人だけ当選した桐山ひとみ市議(40)が、民主党会派に参加せず、無所属となった。これで西東京市議会は、民主党が2議席で最小会派に。
現職首相の地元とは思えない話だ。

桐山市議は「市議選の結果がすべて。この件について取材は受け付けていません」とのことだが、民主党関係者が内情をこう説明する。
「昨年の市議選は本当にヒドかった。候補者は逆風選挙を訴えていたのに、執行部は『全員当選が当たり前で落としても1人』と余裕しゃくしゃくでした」
しかも、現職ながら桐山氏には、なかなか公認が下りなかった。夫が民主党の中野譲衆院議員(44=埼玉14区)で、小沢支持の「一新会」に所属することとも関係していたのかもしれない。
「結局、彼女が公認されたのは選挙直前。劣勢が伝わり、執行部が“とにかく候補を増やそう”と焦った結果です。あれだけの惨敗にも、執行部は誰も責任を取ろうとしない。桐山さんじゃなくても、不信感が募りますよ」(前出の民主党関係者)

◆首相自ら「候補者募集中」呼びかける情けなさ

菅首相の現在の選挙区の武蔵野市でも、市議選候補に内定していた新人女性2人のうち1人が立候補を取りやめ、もう1人も辞退を申し出た。市内には菅が自ら「候補募集中」と呼びかけるポスターが張られている。この時期に現職首相が候補探しとは情けない限り。
「岡田幹事長は統一地方選に向け、都道府県議会で民主党ゼロの『空白区』解消を掲げ、3人区以上にも複数候補を立てようと、1300人の擁立をブチ上げました。ところが、候補者が集まらず、公認辞退も続出。結局、750人の擁立で打ち切り、目標の6割にも満たなかった」(民主党選対関係者)

3月13日の名古屋市議選で民主党が惨敗し、減税日本が圧勝したら、地方選を控える民主党の地方議員が雪崩を打って離脱するのは間違いない。もはや、菅民主党は政党の体を成していない。




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