●動き出した「ポスト菅」 前原外相、原口前総務相、玄葉国家戦略相 思惑はさまざま
(産経新聞2011.2.20 00:26)http://p.tl/auh1
 菅直人首相に退陣を求める声が相次ぐ中、民主党で「ポスト菅」の動きが活発化している。野田佳彦財務相を推す声が党主要幹部から上がっているが、前原誠司外相、原口一博前総務相、玄葉光一郎国家戦略担当相(党政調会長)も虎視眈々(たんたん)と首相の座を狙う。3人はどんな展望を描いているのか。(加納宏幸)


 ■前原氏

 各種世論調査で「次の首相にふさわしい」と上位にランクするのが前原氏。背後には「寝業師」の仙谷氏もおり、安全保障通として保守層にもウイングを広げる。

 ただ、「威勢がいいのは最初だけ」との声がもっぱら。中国漁船衝突事件などの対応はすぐに腰砕けとなった。

 発言のブレも大きい。19日は神奈川県平塚市の集会で「マニフェストを変える必要はない。政権運営の基本はぶれない」と語ったが、直後に「手当さえ出せば少子化に歯止めがかかるのか。基本はぶれずに修正していくと堂々と言えばよい」と修正。「多くの意見を聞きながら良いものに変えていくのを恥ずべきではない」とも語った。

しかも政権の一翼を担った責任は免れない。急激な政権崩壊に「こんなに早いとは。1年は外相をじっくりやれると思ったのに」と周囲に当惑を隠さない。


 ■原口氏

 「首相を一生懸命支えてきた側から退陣論が出るのはとんでもない話だ。菅さんは気の毒ですね…」

 原口氏は19日、都内で記者団に首相への同情を装った。

 もちろん本心は違う。22日発売の月刊誌「月刊日本」は「菅政権は打倒せねばならない」と題する原口氏のインタビューを掲載。この中で衆院選マニフェスト推進勢力を「民主党A」、マニフェストを見直し、増税を含む一体改革を推進する勢力を「民主党B」と色分け。「Bは同志と呼べない」と断じた。

 小沢一郎元代表を「親方」と慕うが、親小沢色が強すぎると次期代表選を制することはできない。19日に記者団から「首相はAか、Bか」と問われると「Aダッシュだ」とわずかに軌道修正した。

 原口氏が狙うのは橋下徹大阪府知事が率いる「大阪維新の会」や、河村たかし名古屋市長の「減税日本」などとの連携だ。23日には「地域主権改革」を旗印に政治団体「日本維新の会」を設立し、政界再編をも見据える。

それだけに首相が破れかぶれで解散すればもくろみは水泡に帰す。19日は「解散で与謝野馨経済財政担当相の政策で民主党が信を問うことにならないように願っている」と牽(けん)制(せい)を忘れなかった。

 先見性はあるが、日和見主義を「ラグビーボール」と揶(や)揄(ゆ)される。スタンドプレーも得意だが、これが親小沢勢力にも嫌われ、側近は少ない。


 ■玄葉氏

 「政党には波がある。統一地方選前に悪い状態を作ってしまって申し訳ない…」

 玄葉氏は19日、党全国政調会長会議で地方幹部に陳謝したが、党の混乱に自らの責任がないことを婉曲(えんきょく)に強調したと言えなくもない。

 「バランス感覚は誰よりも優れている」と自負する玄葉氏は首相とも小沢氏とも一定の距離を保ってきたことが強みだ。仙谷由人代表代行とも一線を画し、政権を固める前原グループ(凌雲会)に不快感を持つ中間層の取り込みを狙っているようにみえる。

 ただ、閣僚・党役員を兼務し、政権批判はしづらい。19日の会議でも地方からの厳しい声に「ご迷惑をおかけしている」と謝るしかなかった。



●退陣論、民主党中間派からも 首相は解散に言及
(朝日新聞2011年2月19日22時31分)http://p.tl/l9u6

 菅直人首相の退陣論が民主党内の中間派からも公然と出始めた。樽床伸二・元国会対策委員長は19日、神奈川県平塚市の会合で「菅政権の存続が我々の仕事ではない。あと1~2週間で大きな決断をしなければいけない」と首相に退陣を促した。

 樽床氏は昨秋の代表選で小沢一郎元代表を支持したが、最近は距離を置いて若手議員十数人を率いる。樽床グループの勝又恒一郎衆院議員も同じ会合で「予算関連法案が通らなくなった結果責任を取らなければならない」と首相退陣を要求。首相と小沢氏、鳩山由紀夫前首相の3人を「国民に支持されているとは思えない」と批判し、世代交代を訴えた。

 一方、前原誠司外相は同じ会合で小沢氏に近い衆院議員16人の会派離脱騒動を「意味がわからない。党内でゴタゴタしている余裕は日本にない」と批判。鳩山氏は北海道登別市の後援会会合で「こいつを追い出せば信頼を取り戻せるという安易な発想はいけない。民主党を崩してはならない」と党内融和を求めた。

 首相は19日、官邸で開いた社会保障改革の会議で「消費税をどうするという時には必ず実行前に選挙を行う」と発言。衆院解散に言及して退陣論を牽制(けんせい)した。枝野幸男官房長官は北海道根室市で「大変厳しい状況は否定しないが、現時点で解散を考えているわけではない」と語った。

 民主党の地方組織にも危機感は広がる。19日の都道府県連政策担当者会議では、青森県連から「菅政権で統一地方選を戦えるのか。首相は政治的決断をお願いしたい」と退陣要求が出る一方、「不協和音の声を上げているのが間違い」(山口県連)との不満も相次いだ。玄葉光一郎政調会長は「統一選前に悪い状態を作った」と陳謝した。

自民党の大島理森副総裁は首相退陣論に対し、宇都宮市で記者団に「首相が辞めるだけで関連法案を通すことにはならない」と予防線を張った。内閣不信任案についても「あれこれ言及する時点ではない」と、提出時期を慎重に見極める考えを示した。


●首相の解散発言は「本気」?追い込まれれば…
(読売新聞2011年2月20日01時00分)http://p.tl/OAMj
 菅首相が18日、衆院解散に含みを残す発言をしたのに続き、19日も解散に言及したのは、党内の「菅降ろし」に対するけん制が狙いだという見方が強い。

 内閣支持率が低迷する中の衆院選は政権を失う可能性が高いため、党内では現実味は乏しいと受け止める向きが多いが、首相周辺からは首相の「本気」を指摘する声が出始めている。

 枝野官房長官は19日、視察先の北海道根室市で記者団に、「首相は、現時点で何か解散のことを考えているわけではない」と述べた。しかし、首相の周辺からはこの日、「追い込まれれば、解散することもありだ」という声が出た。

 苦境に立つ首相にとっては今や、「解散カード」は数少ない反撃の武器だ。衆院に民主党会派の離脱願を出した比例選出議員16人を始め、政権を動揺させる動きを見せる衆院議員の大半は地盤が弱く、選挙を避けたい思いが強いからだ。

 ただ、2011年度予算案が衆院も通過していない現状では、解散はまだ現実味がないのも事実だ。実際、3、4月の「春の解散」は、第4次吉田内閣の「バカヤロー解散」(1953年3月)、第1次岸内閣の「話し合い解散」(58年4月)以来、50年以上ない。



●菅首相、政権維持に意欲=地方からも退陣論-民主
(時事通信2011/02/19-20:37)http://p.tl/emY3
 政府・民主党内で19日、菅直人首相の退陣論をめぐる駆け引きが続いた。首相は、社会保障と税制の一体改革案の取りまとめに強い意欲を表明し、党内で広がる退陣論をけん制した。ただ、地方の政策担当者らによる会議では、一部から首相退陣要求が出された。首相と距離を置く樽床伸二元国対委員長は、首相は1カ月以内に退陣か衆院解散に追い込まれるとの見方を示した。
 首相は同日午後、官邸で開いた「社会保障改革に関する集中検討会議」であいさつし、「野党の皆さんにも議論に乗っていただき、(改革案を)まとめ上げて、実行する前には必ず選挙を行う」と述べた。小沢一郎元代表に近い衆院議員16人の会派離脱表明を受けて首相退陣論が拡大しているが、引き続き政権運営に当たる決意を示したものだ。
 枝野幸男官房長官は、北海道根室市内で記者団に「憲法に基づいて首相には残り2年半、民主党の規約で1年半余りの任期が与えられている」と述べ、退陣は必要ないとの考えを強調。首相が18日に退陣要求に解散で対抗する可能性を否定しなかったことには「現時点で何か解散のことを考えているわけではないと承っている」と語った。
 また、前原誠司外相は神奈川県平塚市内で、16人の会派離脱の動きを批判、「党内でゴタゴタしている余裕などない」と語った。
 一方、民主党本部で行われた都道府県連政策担当者会議では、青森県連の幹部が「退陣を含め首相には政治的決断をお願いしたい」と発言。他の出席者からも、党内の混乱への不満が相次いだ。
 樽床氏は平塚市内で講演し、「首相は今では首の皮一枚だ。菅政権を存続させることがわれわれの仕事ではない」と指摘。「1カ月以内に大きな決断をしなければいけない時期がくる」として、首相退陣か解散は避けられないとの認識を示した。 
 こうした中で、自民党の大島理森副総裁は宇都宮市内で記者団に「解散するのであれば、堂々とやりましょうというだけの話だ」と強調。首相退陣と引き換えに2011年度予算関連法案を成立させる動きには「分かりましたというわけにいかない」と述べた。


●民主党:統一選へ危機感…政策担当者会議、地方にも退陣論
(毎日新聞2011年2月19日 22時12分)http://p.tl/rT1x

 民主党は19日、党本部で全国政策担当者会議を開いた。予算関連法案の年度内成立が見通せず、小沢一郎元代表に近い16議員の衆院会派離脱騒動を機に菅直人首相の退陣論が広がりをみせる中、地方からも公然と退陣要求が飛び出した。統一地方選を4月に控え、同党都道府県連内には「このままでは戦えない」との危機感が深まっており、執行部は対応に追われた。【大場伸也】

 地方組織に募る党の混乱への強い不満に、玄葉光一郎政調会長(国家戦略担当相)は冒頭「統一選前に悪い状態を作ってしまい申し訳ない」と陳謝せざるを得なかった。財源不足から09年衆院選マニフェスト(政権公約)を見直す考えを示して理解を求めたが、地方側からは政権のあり方への注文が相次いだ。

 青森県連の今博県議は「本当に統一選を戦えるのか。菅首相に政治的な決断をお願いしたい」とあからさまに首相退陣を求めた。玄葉氏は「地方に大変苦労をかけている」と再度陳謝したが、今氏は記者団にも「(統一選は)逆風ではない。台風並みだ」とぶちまけた。

 15人の発言者の大半は統一選を50日後に控え、これ以上の党内対立の回避を求めるものだった。山口県連の加藤寿彦県議は反首相派の「マニフェスト違反」との批判に対して「国会議員が言うのは言語道断だ」と発言し、党の結束を要求した。

 会派離脱騒動を巡っても「党内がバラバラというイメージがマイナス」(鳥取県連)、「地方の努力を考えて国会議員は行動を」(京都府連)などの意見が相次いだ。

 6日の愛知県知事・名古屋市長選など民主党は地方選での敗北が続く。地方の危機意識を如実に示す会議となり、出席した石井一選対委員長は「2~3割票は少なくなると考えないといかん」と語った。



●3442人が出馬=民主離れの動きも-44道府県議選告示まで1カ月余
(時事通信2011/02/19-15:58)http://p.tl/e3_C
 4年に1度の統一地方選として4月10日に投開票される44道府県議会議員選の告示(4月1日)まで1カ月余りに迫った。時事通信社の集計(18日現在)によると、総定数2497に対し、3442人が立候補を予定。平均競争率は1.38倍となり、前回の立候補者確定時点の1.48倍を下回っている。このうち、政権与党である民主党の公認候補(予定を含む)は644人で、自民党(1302人)の半数にも満たない。さらに菅内閣の不人気などから公認辞退や離党などの動きが相次いでおり、「民主離れ」が今後、加速する可能性もある。
 議員選が行われるのは2007年統一選と同じ茨城、東京、沖縄を除く44道府県議会。うち15議会が定数削減を実施し、総定数は前回より47議席減った。立候補予定者数も前回立候補者を331人下回っている。女性候補は337人と全体の1割弱を占めるが、過去最高だった03年の383人には及ばない。
 政党別では、自民が最多だが、前回の立候補者数に比べて163人減っている。民主は前回より168人増やした。しかし、静岡県議選の公認新人候補が15日に同党に離党届を提出。愛知県議選でも同党所属の現職県議が18日に離党届を出し、河村たかし名古屋市長率いる地域政党「減税日本」公認で出馬する意向を示すなど、菅直人首相らの求心力低下が浮き彫りとなっている。 
 このほか、公明が1人減の180人、共産が90人減の220人、社民が19人減の55人。統一選初参戦となるみんなの党は91人を擁立した。このほか、国民新党が2人、たちあがれ日本が1人をそれぞれ公認している。
 また、知事や市長らの首長が中心となって結党が相次いでいる地域政党ブームを反映し、国会に議席を持たない政治団体を示す「諸派」からの立候補予定者は23人増の94人に上った。このうち、大阪府の橋下徹知事が代表を務める「大阪維新の会」は、府議会定数(109)の過半数となる公認候補57人を確保。愛知県の大村秀章知事が設立した「日本一愛知の会」も現時点で5人を公認した。
 6日の住民投票で市議会解散が決まり3月13日に出直し市議選が行われる名古屋と、静岡、北九州を除く16政令市議選も4月10日に投開票され、定数979に対して1351人(うち女性246人)が立候補を予定している。


◇44道府県議選立候補予定者数
(18日現在、時事通信社調べ、定数2497)


党 派    計 (女性)   現   元   新

民 主   644( 78)  391   8  245

自 民  1302( 37) 1090  27  185

公 明   180( 14)  132   0   48

共 産   220( 94)   83  22  115

社 民    55(  8)   34   4   17

みんな    91( 12)   11   2   78

その他     3(  0)    1   1    1

諸 派    94( 17)   41   2   51

無所属   853( 77)  313  54  486

合 計   3442(337)  2096  120 1226

※「その他」は国民新党、たちあがれ日本
※「諸派」は大阪維新の会など国会に議席を持たない政治団体