●中東反政府デモ連鎖 リビア死者80人超に バーレーン数千人再占拠
(産経新聞2011.2.20 01:22)http://p.tl/NF1o
 【カイロ=黒沢潤】中東・北アフリカ諸国で民主化要求の反政府デモが相次いでおり、リビアでは治安当局との衝突で18日までの市民側の死者が合計84人に達していることが19日明らかになった。また同日北東部ベンガジで1人死亡。イスラム教シーア派住民と治安部隊との衝突で18日に60人以上の負傷者が出たバーレーンの首都マナマでは19日、軍が撤収したすきをついてシーア派住民数千人が中心部を再占拠するなど混乱。オバマ米大統領は18日、同国のハマド国王と電話会談し、同日のデモ隊への暴力を非難した。

 AP通信によると、ベンガジでは19日、反政府デモ隊数百人と治安部隊が衝突。また、犠牲者の葬儀に集まったデモ隊に治安部隊が銃撃し、1人が死亡、10人以上が負傷した。

 同国ではデモが7都市に拡大、デモ参加者は数万人に達した。人権団体によれば、17日までにベンガジと北東部ベイダを中心に計49人が死亡。18日は35人が死亡した。ロイター通信によれば、治安当局はベンガジからベイダに至る地域の80%を支配下に置いているとしたが、リビア紙によれば、ベンガジでは、刑務所から逃亡した多数の受刑者が警察署などに放火した。

 一方、バーレーンの首都マナマでは19日、軍が市中心部「真珠広場」から撤収した後に押し寄せたデモ隊に警官隊が催涙弾を発射し、負傷者が出たもよう。ハマド国王は18日、沈静化に向けて、シーア派野党勢力との対話を早急に開始するようサルマン皇太子に命じたが、野党勢力は19日、対話を拒否した。同国の主要労組は20日からのゼネストを呼び掛けている。

 イエメンの南部アデンでは19日、反大統領派と大統領支持派が衝突、1人が死亡。アルジェリアの首都アルジェでも同日、デモ隊が治安当局と衝突した。


●バーレーンデモ「打倒王室」に 政府の武力行使に反発
(朝日新聞2011年2月20日0時45分)http://p.tl/sEUl

 【マナマ=古谷祐伸】ペルシャ湾の産油国バーレーンの反政府デモは、政府側の鎮圧により、19日までに6人が死亡、負傷者は200人以上となった。政府側が武力行使に踏み切ったことで、当初、民主化や政治改革を求めていたデモが、「王室打倒」に変化、ハリファ王室の基盤を揺るがす事態となりつつある。

 軍は19日午後1時過ぎ、首都マナマ中心部の真珠広場に展開していた数十台の戦車や装甲車を撤退させた。広場は14日からデモ隊が占拠を続けていたが、17日未明に治安当局が催涙弾やゴム弾を使ってデモ隊を一掃した。さらなる衝突を回避するため、軍は撤退を余儀なくされた形だ。

 午後3時半過ぎ、警察も撤収を始めた広場に市民数千人が戻り、再び占拠する構えを見せている。ハマド国王は18日、サルマン皇太子を交渉役に任命して、デモ隊との対話姿勢を示したが、デモ隊側は拒絶している。市内中心部の占拠が再び長期化すれば、王室・政府の威信は大きく傷つくことになる。

 今回のデモの背景にあるのは、イスラム教スンニ派とシーア派の対立だ。実権を握る王家のハリファ家はスンニ派だが、国民の多数派はシーア派。シーア派は就職差別などを受けており、これまでも権利拡大を要求してきた。デモ参加者はシーア派住民が主体で、民主化拡大や在任40年に及ぶ王室出身ハリファ首相の更迭、議院内閣制の導入などを訴えてきた。

 しかし、政府は17日に戦車などを繰り出して鎮圧に乗り出し、3人が死亡、100人以上が負傷する惨事に発展。さらに、デモに参加して亡くなった市民の葬儀に参列した数千人の一部が18日、戦車などで封鎖された真珠広場にさしかかったところ、軍が銃撃し、70人以上が負傷。デモ隊の間には、「王室打倒」の声が一気に高まった。

 バーレーンの隣国で世界最大級の産油国サウジアラビアにもシーア派住民がいる。同国では少数派だが、油田地帯が広がる東部に多い。バーレーンでのデモが激化すれば、サウジのシーア派が呼応し、石油生産に影響が出る可能性もある。



●バーレーン・シーア派、政府との対話拒否=リビアのデモ隊死者84人に
(時事通信2011/02/20-00:28)http://p.tl/VUFa
 【カイロ時事】バーレーンのシーア派イスラム教徒による反政府デモの中核を担うシーア派系の野党「ウェファク」は19日、ハマド国王が前日に表明した政府と反政府側の対話について、内閣退陣と首都マナマに展開する軍の撤退が先だとして、現時点では応じない考えを示した。
 エジプトなどの政変が波及する形で14日に始まったバーレーンの反政府運動は、治安部隊の弾圧でこれまでに6人が死亡、負傷者も300人を超えた。弾圧に怒る反政府側には、人口の3割と少数派ながらも支配層を成すスンニ派のハリファ王家の打倒を目指す声が強まっており、事態は緊迫の度を増している。
 軍は19日、ウェファクの要求を受け、デモ隊が拠点としていたマナマの「真珠広場」から撤収した。ただ、警察が広場に戻ったデモ隊に催涙弾などを発射、混乱は続いた。ウェファクは、デモ隊強制排除の責任者である内相と国防担当国務相を排した暫定内閣の設置なども対話開始の前提としている。国王の叔父で、1971年の独立以来、首相の座にあるハリファ首相の辞任も求めているとみられ、王家・政府側がこれらの要求に応じるかどうかは不透明だ。
 一方、最高指導者カダフィ大佐の長期支配に対する反政府運動で混乱が続くリビア情勢に関し、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは19日、治安部隊によって殺害されたデモ参加者は、16日からの3日間で少なくとも84人に上ったとの見方を明らかにした。



●中国に「ジャスミン革命」を=ネット上で集会呼び掛け
(時事通信2011/02/19-20:46)http://p.tl/o7ir  
【北京時事】香港メディアによると、民衆デモが政権崩壊につながったチュニジアの「ジャスミン革命」に倣い、中国の主要都市で生活改善や政治改革を求める集会の開催がインターネットを通じて呼び掛けられていることが19日、分かった。
 ネット上の書き込みは、北京や上海、天津、広州など13都市で20日午後2時に、共産党一党独裁体制の廃止、私有財産権の保障、報道の自由、司法の独立、民主化などをスローガンに集会を開くよう提唱。北京では検索に規制がかかっており、当局も警戒しているとみられる。
参照:http://www.navibbs.com/?action-blogdetail-uid-96-id-13245



●リビア反政府勢力、東部の町占拠 政府側、奪還へ兵増強
(朝日新聞2011年2月19日22時55分)http://p.tl/iEiP
 【カイロ=貫洞欣寛】リビアでは東部の町を反政府勢力が一時、占拠するなど、緊迫した状況が続いている模様だ。40年以上独裁を続けてきたカダフィ体制は、強権的な手法で反政府運動を抑え込んできたが、一つの町を掌握されるのは極めて異例な事態。カダフィ体制最大の危機に直面しているとの見方が広がっている。

 海外に拠点を置く反政府勢力などの情報によると、東部ベイダでは18日、反政府勢力に一部警察部隊も合流して市内を掌握した。これに対して政府側が外国人傭兵(ようへい)部隊などを増強し、奪還を図っているという。

 地元治安当局者は19日、ロイター通信にベイダや東部ベンガジで衝突が続いているとしたうえで、「ベイダからベンガジまで8割は我々の掌握下にある」と述べ、一部で奪還できていない地域があることを認めた。ジュネーブ在住の反体制派アティア氏によると、ベイダはカダフィ氏が革命で倒したイドリス国王一族の出身地のうえ、各種のイスラム勢力も強く、従来、反カダフィ感情が根強いという。

 ベンガジでは19日早朝、裁判所前でカダフィ体制の打倒と民主化を求めて泊まり込んでいた裁判官や弁護士らを含む反政権デモ隊数百人を特殊部隊が催涙ガス弾などで攻撃、死傷者が出ているという。同地では18日、前日のデモに加わり死亡した14人の葬儀がそのままデモとなり、警察署などに放火してラジオ局を攻撃するなど騒乱状態となり、その後も混乱が続いている模様だ。

 ジュネーブ在住のリビア反体制派メスラティ氏によると、ベンガジではもともと反中央政府の意識が強いうえ、17日に民主化を求める集会を開こうとしたところ、治安部隊が強圧的な取り締まりを行い、衝突に発展したという。

 同氏によるとベンガジでは18日に刑務所の受刑者が釈放され、19日には全ての警官が姿を消した。「エジプトのムバラク政権と同じように、リビアの体制側も警察を引かせて暴漢を動員し、反体制派を襲わせようとしている」との見方を示した。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは18日、これまでに少なくとも84人が死亡したとして、リビア政府に武力行使をやめるよう求めた。実際の死者数はさらに多い可能性がある。

 リビアは外国報道陣の入国を制限し、地元報道機関も管理しており、ベンガジなどでの直接の取材は不可能な状況だ。中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、リビアで同局の視聴が妨害されているという。19日にはインターネットが切断され、携帯電話もつながりにくい状況だ。



●中東各地に「抗議」波及、原油輸出の中枢でも
(読売新聞2011年2月20日01時41分)http://p.tl/grZA
 【カイロ=新居益】ロイター通信が19日報じたところによると、世界屈指の産油国サウジアラビアで17日、少数派のイスラム教シーア派住民が、裁判なしで拘束されている同派住民の釈放を求める抗議集会を開いた。

 また、原油輸送のシーレーンの要衝であるホルムズ海峡に面したオマーンの首都マスカットでは、18日、約300人が民主化や賃上げなどを求めてデモ行進した。中東の民衆抗議行動は、世界の原油輸出の心臓部に波及し始めた。

 サウド王家が絶対的な権力を握り、イスラム教スンニ派の中で最も戒律が厳しいワッハーブ派を奉じるサウジは、中東でも特に保守的とされ、民衆の抗議行動が起きるのは極めて異例だ。集会があったのは、スンニ派支配下で差別されているシーア派住民が多い東部カティーフ郊外のアワミヤ。当局への刺激を避けるため集会は小規模で大声は出さず、ポスターも使用しなかったという。