菅政権 NZ地震対応でも失敗 (日刊ゲンダイ2011/2/25)

小沢処分にかまけて救助隊派遣が後手後手

ニュージーランド南島で22日に発生した大地震は、いまだ日本人27人が安否不明のままだ。丸3日以上が経過したきょう(25日)もレスキュー隊による救出作業が続いているが、生存率が大きく低下する「72時間」が過ぎ、被災者家族の心労はピークに達している。

◆第2の「えひめ丸事件」だそんな中、永田町では「これは第2のえひめ丸事件だ!」と菅首相を非難する声が

上がり始めた。森元首相がゴルフに興じていたことで初動が遅れたのと同じ構図だというのである。問題視されているのは、当日の菅のデタラメな行動だ。
地震発生は日本時間で22日の午前8時50分ごろ。すぐに現地の日本大使館が邦人の被害確認を始め、午後3時過ぎには留学生の生き埋め情報が流れた。普通はこの事態を想定して、午前中から、レスキュー隊や機材輸送のために政府専用機の整備点検を発注すべきところだが、菅はそれを怠っていた。そればかりか、一分一秒を争うときに何をやっていたか。
「あろうことか、地震対策協議を後回しにして、午後4時過ぎから、小沢元代表の処分を決定する党常任幹事会に1時間以上も出席。結局、地震対策関係閣僚会議を開いたのは、発生から9時間近く経過した午後5時半で、専用機の整備点検を打診したのは夜のことです。翌23日の午後2時ごろ、救助隊や医療関係者を乗せた専用機がやっと飛び立ち、現地に到着したのは被災から丸2日以上たった24日午後0時過ぎ。菅がモタモタしていなければ、半日は早く専用機を派遣できたはずなのです」(政界関係者)

12時間もあれば生存率は大きく違ってくる。小沢切りに血まなこの権力亡者の私利私欲のせいで、犠牲者が増えてしまったことになるのだ。
自民党幹部も「12時間遅れた」と批判し始めた。政界周辺では、もう隠しようのない話になっているのである。

◆「12時間遅れた」と国会で問題化必至

この政権の大罪はそれだけじゃない。前原外相は22日夜、被災家族らを政府専用機に同乗させると言いながら、外務省が翌朝になって「やっぱり無理」とドタキャン。救助に使用する機材が重く、過積載になるというのがその理由で、家族らを余計に落胆させた。

ところが、ここでもとんでもない事実が分かった。政府専用機は通常、緊急時用に2機並行して飛ばすものだが、防衛省の航空幕僚監部に確認すると、「今回は1機しか飛ばしていません。乗員や積み荷が1機で足りたからです」(広報担当者)というのだ。過積載どころか、1機丸ごと空いていたのである。どうなっているんだ、この政権の危機対応は!
「昨年1月のダボス会議に代理出席した仙谷大臣は、政府専用機に乗ってよほどうれしかったのか、『専用機は素晴らしい。1泊3日の旅。飛行機を自分の車のように使わないと』と周囲に話し、国会で非難されていた。税金を6400万円も使って仙谷を乗せたのに、被災者家族は乗せられないとはどういうことか。2機飛ばせば、家族らはもちろん、もっと多くの救助隊員を乗せることも可能だったはずです」(野党関係者)

自民党の麻生元首相が「日本人が埋まっているとのうわさがある中で、幹事会を優先し党内の一部の人(小沢)を生き埋めにしようとした」と24日発言した。表現の仕方はともかく、ここまで言われたら終わりだ。小沢切りしか頭にない菅の初動の遅れが犠牲者を増やしたのであれば、取り返しのつかない失政だ。国会で大問題になるのは避けられない。



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