幹事長小沢一郎「河村たかし・減税日本」とウルトラC合体!

FRIDAY 永田町ディープスロート
(現代ビジネス 2011年02月25日)http://p.tl/2sHd

小沢一郎政治塾でハート型チョコを贈られると、ご覧の笑み。不運続きの中で久々の"慶事"だ(2月14日)〔PHOTO鬼怒川毅〕

追い詰められた独裁者がスター首長ブームに乗る「3・2離党計画」進行中

「菅政権から国民が離れ始めている。地方の乱は、まだ始まったばかりだ。それにしても想像を超える民主党離れが進んでいる。もし、今の時点で選挙をやれば、民主党は100議席くらいしか取れないだろう。君の人気で民主党を支えてくれ」

 小沢一郎元幹事長(68)がそう言って真顔で見つめた相手、それは「減税」を掲げ次点に大差を付けて名古屋市長に再選されたばかりの河村たかし氏(62)であった。河村氏は当選を決めた翌々日の2月8日、衆院議員会館の小沢氏の事務所を訪れただけではなく、12日夜には各界のリーダーを育成する目的で毎年行っている「小沢一郎政治塾」の懇親会に飛び入り参加し、若き次世代と杯を重ねた。民主党の若手議員が解説する。

「物心両面で河村さんの面倒を見てきたのは、小沢さんを支持する『一新会』所属議員の秘書たちで、松木謙公氏(農水政務官)の政策秘書はその中核でした。松木氏自身、市長選で岡田(克也)幹事長が河村氏の対立候補を立てたのに逆らい、名古屋に赴いて河村氏を応援している。当選ホヤホヤの河村氏を小沢氏に引き合わせたのは、松木氏が仕掛けたものです」

 これだけの蜜月ぶりを見せつけられたら、政治部の記者でなくても、「小沢---河村連合発足か」と勘繰りたくなるところだ。事実、永田町では、小沢氏に「離党→河村氏との連携」を促しているのは松木氏であるとの見方は根強くある。2月12日、本誌は河村氏を直撃した。

---小沢さんとの会談は何だったのか。

「減税のためというのがデカイですよ。国に減税の政治勢力をつくらんと」

---小沢さんと連携するのか。

「小沢グループとは仲いいもんでよ」

 だが、松木氏がパイプ役なのかを問うと、「減税だわ、減税」と煙に巻いた。

---では、「減税民主党」は今の民主党の枠組みでできるものなのか。

「できりゃいいけど、できゃあせんがね」

---とすると民主党は分裂して・・・。

「分裂言うか、何と言うか分からんけど、それが皆さんの、日本のためになる」

---それは、小沢さんと一緒にか。

「そういうのが作れりゃいいけど・・・。いや、やらないかんわ」

"民意"の威を借る河村氏の鼻息は荒い。言葉の勢いからは、自身が率いる「減税日本」に明日にも小沢氏を迎える用意があるかに見える。小沢氏側近が語る。

「菅政権の支持率は、早晩10%程度まで落ちる。かといって自民党の支持率が上がるわけでもない。ここで選挙があれば、民主も自民もない。細胞分裂して政界再編だよ。その時に受け皿になるのが河村さんの党をはじめとした地域連合だ」

 予算案自体は3月2日までに衆議院で可決すれば年度内に自然成立するが、予算関連法案は衆院で再可決するのに5議席足りず、菅直人首相(64)が社民党に"泣き"を入れている状況だ。

「社民党が協力するか、というより、小沢派議員が造反しないかのほうが見どころですよ。菅政権では予算を執行できないとなれば、さすがに権力に固執する菅首相とはいえ解散して国民の信を問うほかありません」(全国紙政治部記者)

 間もなく党員資格停止処分が下されますます追い込まれる小沢氏が政界で存在感を示すには、河村人気にあやかって減税日本に合流する"ウルトラC"しか方策はない。

 小沢氏自身、「アレはちょっとしたミニ政党になる」と色気を示し、「気持ちが離党に傾いたのでは」と周囲がざわついたとも伝えられる。

「実は、『政界再編は近いじゃにゃぁの』と気勢を上げる河村さんのほうが、小沢さんとの連携に積極的です。目的は、小沢さんの政治塾の若い塾生たちを減税日本に取り込むことでしょう」(前出・民主党若手議員)

 再編に向かう政界の動きは、小沢氏に"引き際"を教えているのかもしれない。