●<スコープ>政権内から反旗 「菅降ろし」加速 松木氏辞意
東京新聞 2011年2月24日 紙面から http://p.tl/k8vF
松木謙公農水政務官の辞意表明は、民主党の小沢一郎元代表を党員資格停止処分にした菅直人首相に対する小沢氏支持勢力による強烈な逆襲だ。ただでさえ、党内は首相退陣論が拡大している。本来、首相を支えるべき政務官の「裏切り」は首相をさらに窮地に追い詰め、小沢氏支持勢力が倒閣に動き出したサインとの見方も出ている。 (高山晶一)
 首相周辺は二十三日、辞意表明について「小沢さんに近い人が何かの動きをするだろうということは想定内だった」と指摘。その一方で「政権内から辞任する人が出たことで、統治能力が問われる。野党もそこを突いてくるだろう」と不安を口にした。
 民主党内では、小沢氏を支持する衆院議員十六人が処分に反発し、衆院会派の離脱を表明したばかりで松木氏の辞意はこれに続く謀反だ。
 首相にとって気がかりなのは、松木氏に続く動きが出て、一気に菅首相降ろしにつながりかねないことだ。
 副大臣では、鈴木克昌総務副大臣をはじめ五人程度、政務官では樋高剛環境政務官ら七人程度が小沢氏に近いとされる。
 松木氏の言動に対しては小沢氏勢力の中にも「まだ、その(辞表提出の)タイミングじゃない」として、疑問視する声もあり、ただちに松木氏に続くとの観測は今のところ出ていない。松木氏の動きは小沢氏よりも河村たかし・名古屋市長との連携を目指したものだとの見方さえ出ている。
 ただ、首相の対応によっては今後、政府内の小沢氏勢力が松木氏のように集団で辞表をたたきつける場面も予想される。その場合、菅政権は機能停止状態に陥ってしまい、首相の責任が問われることになる。
 こうした状況を踏まえ、政府関係者は「小沢元代表は、自民党が内閣不信任案を提出したら民主党内から造反者を出し、成立させようとしている」と指摘。そうなれば、首相は完全に追い込まれる。
 松木氏の辞意表明は単なる一政務官の話ではなく、政局大混乱の引き金となる可能性もある。


●民主崩壊…松木氏辞表、小沢系議員の動き加速 恐れていた「第2波」
(産経新聞 2011年2月24日08:00)  http://p.tl/jR7G
 民主党の松木謙公農水政務官の辞表提出騒動で、菅政権に激震が走った。松木氏は単独行動だと説明しているが、民主党の小沢一郎元代表に近い衆院議員16人が17日に会派離脱届を提出したのに続く小沢氏支持グループによる政権攻撃の第2波の意味を持った行動であるのは間違いない。波状攻撃はさらに続く可能性が大きく、政権崩壊がまた一歩近づいたとも言えそうだ。

 「党首討論で(菅直人首相には)予算関連法案が通らないのは自民党の責任という雰囲気があった。去年の参院選に負けた瞬間に、こうなることは分かっていた。(事態打開は)首相がやることじゃないか」
 松木氏は23日深夜、首相を痛烈に批判した。自称「一兵卒」の小沢氏にならって、自分は「半兵卒として頑張る」とも強調した。
 執行部が小沢氏に衆院政治倫理審査会への出席を求めた昨年末から、松木氏は辞任のタイミングを探ってきた。
 一方、松木氏が事務局次長を務める小沢グループの中核組織「一新会」所属の他の政務三役は松木氏に同調しない考えを示した。また、松木氏の動きに対し首相周辺は「単なるパフォーマンスだ」と静観し、岡田克也幹事長も記者団に「内閣で対応することだ」と平静を保って答えた。しかし、松木氏の行動が連鎖反応を呼ぶ可能性は大いにある。
 「古い壁を壊すためには大胆な勇気ある行動も必要なのだろう。松木氏はもちろん同志だ」
 小沢氏に近い原口一博前総務相は23日夜、記者団にこう語った。原口氏は同日昼、自らが結成した「日本維新連合」の会合を開催。松木氏ら小沢グループを中心に約50人が集結し、党分裂前夜を印象付けた。
 会派離脱届を提出した16人も同日、国会内で会合を開き、24日午後に予定されている代議士会に欠席する方針を決めた。執行部は離脱届を受理していないが、「すでに民主党会派を離脱した」という認識で一致しているから、代議士会に出席しない。
 一方、鳩山邦夫元総務相(無所属)は23日夜、都内の中国料理店で民主党の中堅・若手議員8人に「俺が受け皿になってやるよ。新党を作るのなら1年くらい面倒を見てやってもいいぞ」と語りかけた。誘い文句に、内部崩壊で翻弄される民主党議員たちは無言になったという。


●民主党:松木農水政務官が辞意 小沢元代表処分に反発
(毎日新聞 2011年2月24日1時12分)http://p.tl/GB59
 民主党の松木謙公農水政務官は23日夜、国会内で記者会見し、菅直人首相と24日に会い、政務官の辞表を提出することを明らかにした。辞表提出の理由については小沢一郎元代表への党員資格停止処分を挙げ、「(期間を6カ月ではなく判決確定までとした)やり方はどうしても納得できない」と説明した。松木氏は元代表に近い「一新会」の中核メンバー。元代表系の衆院議員16人の離脱騒動に続いて党内対立が露呈し、首相の政権運営は一層厳しくなった。
 松木氏は会見で「民主党は『国民生活第一』で集まったが、違う方向に行っている」と首相を批判した。一方で「私は民主党でやっていく」と離党を否定。会見に先立ち、松木氏は細野豪志首相補佐官と会い、辞意を伝えた。政府高官は「辞表は受理する」と語った。
 小沢元代表に近い政務三役は松木氏以外に12人おり、追随する動きが広がれば政権の混乱が避けられない。一新会会長の鈴木克昌副総務相は23日夜、辞任しない意向を示したが、閣内からも首相批判が表面化し、菅政権の求心力低下が加速している。
 松木氏は北海道12区選出で、衆院当選3回。昨年9月の内閣改造で農水政務官に起用された。地域政党を率いる河村たかし名古屋市長とパイプを持っており、今回の辞任は元代表が統一地方選を見すえ、河村氏と連携を深める布石を打ったとの見方もある。
 民主党の岡田克也幹事長は23日夜、松木氏の辞意表明について「内閣で対応することだ」と、記者団に述べるにとどめた。国民新党の下地幹郎幹事長は「予算通過の段階で(造反で)賛成が300議席を割るようなら、菅首相は退陣せざるを得ない」との認識を示した。【葛西大博】


●首相夫人起用政策ビラ有権者逆なで…小沢系批判
(読売新聞2011年2月24日20時31分)http://p.tl/I7wZ
 民主党が政策をアピールするために今月全国で配った「政策ビラ」をめぐり、24日、国会内で開かれた党代議士会で小沢一郎元代表に近い衆院議員がかみつき、怒声が飛び交う一幕があった。
 元代表の処分で深まる党内の亀裂が、ささいなことでも表面化した。
 問題となったのは、菅首相夫人の伸子さんのイラストを使ったビラ。各小選挙区ごとに1000枚割り当てたという。元代表に近い大谷啓氏が「夫人を広告塔にすると決めた覚えはない。有権者を逆なでする」と批判すると、賛否のヤジが入り交じり、騒然となった。
 見かねた岡田幹事長が「言いたければここ(マイクの前)で言いなさい!」と一喝。その場はようやく収まった。
 岡田氏はこの席上、元代表に近い議員が河村たかし名古屋市長の「減税日本」との連携を模索していることを念頭に、「3月の名古屋市議選で、我が党は減税日本と戦っている。自覚を持って対応してほしい」とくぎを刺した。


●菅政権に追い打ち=執行部、「反乱」拡大に危機感
(時事通信2011/02/24-01:26)http://p.tl/vfky
 民主党の小沢一郎元代表に近い松木謙公農林水産政務官が菅直人首相の政権運営に抗議する形で辞意を表明したことで、党内からの退陣論に直面する首相は、一段と厳しい立場に追い込まれた。衆院議員16人の会派離脱表明に続く政権揺さぶりの動き。首相支持の議員の間では「小沢氏に党員資格停止の処分を下したことへの反抗だ。小沢系議員の暴動が起きる」(ベテラン議員)と不安が広がった。
 松木氏の行動について、岡田克也幹事長は23日夜、都内で記者団に「内閣で対応することだ」と語った。執行部の一人は「予算審議が大事な時、党にとって大きなマイナス。質の悪いパフォーマンスだ」と厳しく批判。ある政務三役は「松木氏の辞任は理解されない」と語り、首相周辺は「追随する政務三役はいない」との見通しを示した。
 ただ、16人の離脱表明で2011年度予算案の執行に必要な特例公債法案を成立させる道が断たれた菅政権にとって、菅内閣の一員である政務三役の辞任は手痛い追い打ちとなった。23日の党首討論では、自民党の谷垣禎一総裁に「党内さえ掌握できていない」と迫られており、衆院解散を求める野党の圧力が強まるのは確実だ。菅内閣には樋高剛環境政務官ら小沢氏に近い政務三役がおり、執行部は「二の矢、三の矢がある」と危機感を募らせている。
 一方、小沢系議員からは「菅首相は支えられないという姿勢を示さなければならない」と松木氏を支持する声が上がり、小沢氏側近は「この動きは徐々に広がる」と明言した。会派離脱を表明した16人は予算案、予算関連法案の採決での造反も辞さない構えで、菅政権の行方は険しさを増している。



●菅首相、政策遂行に意欲=広がる不満の声-民主
(時事通信 2011/02/24-20:17)http://p.tl/rQmj
 菅直人首相は24日午後の衆院本会議で、「喫緊の課題は2011年度予算案を成立させ、執行することだ。中長期的には社会保障と税の一体改革だ」と強調した上で、「これらに取り組むことが、わが内閣の任務だ」と述べ、政権維持への意欲を重ねて示した。ただ、小沢一郎民主党元代表に近い松木謙公農林水産政務官の辞任などで、首相の求心力は一段と低下。首相への不満は党内の「中間派」や地方にも広がった。
 首相は同日夜、松木氏の辞表を受理したと記者団に明らかにし、「大変残念だ」と語った。執行部内には、小沢氏に近い政務三役が松木氏に追随するのではないかとの懸念もあるが、民主党の岡田克也幹事長は記者会見で「そういう話は聞いていない」と否定した。 
 一方、中間派の桜井充財務副大臣は会見で、民主党立て直しのための「提言」をまとめる会合を3月2日に開き、首相に申し入れる考えを明らかにした。桜井氏は「倒閣を考えているわけではない」とした上で、「政権交代すれば世の中が変わるという思いに応えていかないと、政治不要論につながる」と危機感を訴えた。
 首相と同じ東京選出の中山義活経済産業政務官ら8人は24日夜、憲政記念館で会合を開き、政策集団「東京維新の会」の設立を決定。中山氏は「昨今、消費税が上がるような話があるが許せない。民主党の中から改革しなければならない」と語った。
 また、民主党愛知県議団は藤村修幹事長代理と会い、党の現状を「麻生政権崩壊前夜と何ら変わらない」とし、衆院選マニフェスト(政権公約)で掲げた国会議員定数削減などの断行を求めた。



●民主、「学級崩壊」の様相=代議士会で内輪もめ
(時事通信2011/02/24-16:54)http://p.tl/VUFa
 「もう少し言い方を気をつけたらどうだね。そんな言い方あるのかね」。民主党が24日に国会内で開いた代議士会で、執行部が配布した政策ビラの内容をめぐってやじが飛び交い、岡田克也幹事長が激高する場面があった。小沢一郎元代表に近い議員の会派離脱表明などで混乱する中での内輪もめで、党内対立の深刻さが浮き彫りとなった。
 代議士会では、小沢氏に近い大谷啓氏が、機関誌「プレス民主」の政策ビラにかみついた。ビラには菅直人首相夫人の伸子さんが漫画で登場し、民主党政権の「実績」を紹介しているが、大谷氏は「地方議員からすると、票を落とすというか、逆効果じゃないか。われわれは菅伸子さんを広告塔にすると決めた覚えはない」などと発言した。
 高山智司広報委員長代理が説明に立ち、「ご活用いただければ…」などと理解を求めたが、場内には「もういい」「何を言ってるんだ」と罵声が飛び交った。
 たまりかねた岡田氏が「今しゃべった人、立ってください!」。激しくやじった若手議員3人を前列に呼び出すなど、代議士会はさながら「学級崩壊」の様相。ある議員は「恥ずかしい」と苦笑していた。 


●小沢氏に近い議員 賛否検討へ
(NHK 2011年2月24日 15時36分) http://p.tl/GHT_
民主党の小沢元代表に近い当選1回の衆議院議員のグループが会合を開き、平成23年度予算案について、「政権公約に沿ったものかどうか見極める必要がある」として、賛否について、今後、検討していくことを確認しました。
国会内で開かれた会合には、当選1回の衆議院議員30人余りが出席しました。この中で、党が小沢元代表の処分を決定したことについて、出席者から「裁判で無罪になる可能性があるのに処分の必要があったのか」といった意見が相次ぎ、グループとして、党執行部に対し、抗議する必要があるという認識で一致しました。また、衆議院での審議が大詰めを迎えている平成23年度予算案について、「政権公約に沿ったものかどうか見極める必要がある」として、グループとして、賛否について、今後、検討していくことを確認しました。さらに、小沢氏に近い松木農林水産政務官が辞表を提出したことについて、出席者から「政治家である前に、人として生きる道を優先した、勇気ある行動だ」として、評価する意見が相次ぎました。



●首相夫人起用政策ビラ有権者逆なで…小沢系批判
(読売新聞2011年2月24日20時31分) http://p.tl/Bd4v
 民主党が政策をアピールするために今月全国で配った「政策ビラ」をめぐり、24日、国会内で開かれた党代議士会で小沢一郎元代表に近い衆院議員がかみつき、怒声が飛び交う一幕があった。
 元代表の処分で深まる党内の亀裂が、ささいなことでも表面化した。
 問題となったのは、菅首相夫人の伸子さんのイラストを使ったビラ。各小選挙区ごとに1000枚割り当てたという。元代表に近い大谷啓氏が「夫人を広告塔にすると決めた覚えはない。有権者を逆なでする」と批判すると、賛否のヤジが入り交じり、騒然となった。
 見かねた岡田幹事長が「言いたければここ(マイクの前)で言いなさい!」と一喝。その場はようやく収まった。
 岡田氏はこの席上、元代表に近い議員が河村たかし名古屋市長の「減税日本」との連携を模索していることを念頭に、「3月の名古屋市議選で、我が党は減税日本と戦っている。自覚を持って対応してほしい」とくぎを刺した。


●松木政務官辞任:背景に地域政党と連携 統一地方選にらみ
(毎日新聞 2011年2月24日 21時13分)http://p.tl/l_1c
 民主党の小沢一郎元代表の処分に反発した松木謙公農水政務官が24日、辞表を提出し、菅直人首相は受理した。小沢元代表は4月の統一地方選をにらみ、河村たかし名古屋市長らの地域政党と連携する構えで、松木氏はその窓口役として身軽になる必要もあったようだ。ただ、11年度予算案審議の緊迫に加え、ニュージーランド地震の対応に追われる中の「反乱」には政府・与党内の批判も強く、小沢系のほかの政務三役に同調の動きは広がっていない。【葛西大博】
 松木氏はもともと河村氏と関係が深い。河村氏は24日夜、東京都内であった党所属議員のパーティーに松木氏とともに出席後、松木氏との連携について「(減税を)やっていただけるなら。力を合わせて自由な国日本を作ることが大事だ」と前向きな考えを示した。
 民主党の会派離脱を宣言した16人の会長を務める渡辺浩一郎衆院議員も「(河村氏の)力をいただいて次のステップにいきたい」と語っている。小沢氏と近い原口一博前総務相も河村氏との連携を探る考え。松木氏は小沢系のこうした動きをまとめる核として動きたい狙いがある。松木氏は橋下徹大阪府知事との連携も模索しているが、橋下氏側は民主党との連携には慎重な姿勢を保っている。
 しかし予算審議中の辞任には厳しい声も出ている。菅首相は24日夜、首相官邸で記者団に松木氏の辞任について「大変残念だ」と語るにとどめたが、岡田克也幹事長は24日の記者会見で「重要な仕事をする覚悟を持った人が政務三役に就任すべきだ」と不快感を示した。小沢元代表を支持する衆院議員のグループ「一新会」の会長、鈴木克昌副総務相は予算成立に取り組む考えを強調し、「松木さんが個人的に考えて行動したこと。それに連なっての動きは起きていかない」と連鎖辞任を否定した。小沢系の政務三役の一人は「なぜ今なのか理解できない。沈みゆく船に魚雷を撃たなくていい」と、菅首相の政権運営が行き詰まる「3月危機」に照準を合わせる考えを示した。


●小沢氏処分は「生き埋め」 麻生元首相が発言
(共同通信2011/02/24 13:43)http://p.tl/LKV4
 自民党の麻生太郎元首相は24日の麻生派総会で、菅直人首相のニュージーランド地震への対応に触れ「日本人が埋まっているとのうわさがある中で救出作業を優先すべきだった」とした上で「民主党の常任幹事会を優先し、党内の一部の人を生き埋めにしようとした」と述べた。
 小沢一郎民主党元代表の処分を地震対応より優先したとの指摘だが、発言は被災者や家族への配慮を欠くと批判を招きそうだ。
 麻生氏は「地震で多くの方が被災している現状に心からお見舞い申しあげる」とも述べた。