沖縄返還時 佐藤総理“全般的に軍事知識が欠如しており抑止力説明は困難”アメリカ側に伝達


1972年の沖縄返還に先立ち、当時の佐藤総理大臣が「抑止力思想を国民に説明するのに困難を感じる」とアメリカ側に 伝えていたことが、18日公開された外交文書で分かり安全保障上の抑止力として、沖縄のアメリカ軍基地は必要だとする 政府の説明に、当時から沖縄側が理解を示していなかったことがうかがえます。

1972年の沖縄返還にあたっては、アメリカ軍基地の取り扱いが最大の焦点で、沖縄では「即時無条件全面返還」を行う べきだなどとして、基地の撤去を求める声が強まっていました。こうしたなか、当時の佐藤総理大臣が沖縄返還交渉に関連 して、1969年7月に昭和天皇に内奏した際、「沖縄にある米軍基地が戦争抑止力として、わが国および極東の安全にとり 極めて重要な役割を果たしていることに鑑み、基地の機能を損なわないための十分な配慮を行う考えだ」と述べていたことが 18日に公開された外交文書で分かりました。

その一方、佐藤総理大臣は、同じ年の1月に行われたジョンソン駐日大使との会談で「政府としては国会審議などを通じ国内 世論の指導に努力する考えだが、戦後、日本国内では、全般的に軍事知識が欠如しており、沖縄を巡る抑止力思想の国民への 説明に困難を感じる」と伝えていたことも明らかになりました。

政府は日本や北東アジアの安全保障上、沖縄のアメリカ軍基地は必要だという立場を一貫して取ってきていますが、抑止力を 根拠にした政府の説明に、当時から沖縄側が理解を示していなかったことがうかがえます。

▽NHKnews(2月18日 18時27分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110218/t10014151221000.html リンク切れ

“基地の抑止力説明は困難”外交文書
“基地の抑止力説明は困難”外交文書