<スコープ>渡部氏退陣論に言及 「ポスト菅」へ動きじわり
(東京新聞 2011年2月27日) http://p.tl/4WwW

 民主党内で菅直人首相の退陣論が広がる中、菅グループ(約50人)はなんとか政権を守ろうと四苦八苦している。しかし、26日には首相を支えてきた渡部恒三最高顧問が退陣論に言及。形勢不利をみてか、前原誠司外相、野田佳彦財務相のそれぞれのグループも首相から遠ざかりつつあり、ポスト菅首相をにらんだ動きも出ている。菅グループは党内で孤立を深める一方だ。 (関口克己)
 「菅さんをしっかり支え、大きな仕事をさせたい」。菅グループ座長の江田五月法相は二十六日、岡山市での集会で、首相を支える決意をあらためて表明した。菅グループとしては小沢氏支持勢力を中心にした退陣論に対し、首相に辞める気が一切ないことと、首相が衆院解散・総選挙に踏み切る可能性を示唆することで沈静化を図っている。江田氏は二十日の首相との会談後、記者団に「首相の一番の武器は衆院解散だ」と強調してみせた。
 しかし、こうした戦術も効果はなく、退陣論は首相を支えるグループにも日ごとに拡大している。内閣支持率が下がり続ける中、昨年九月の党代表選で首相を支持した前原氏のグループ(約四十人)、野田氏のグループ(約三十人)も首相続投を疑問視する声が出ている。
 前原氏は最近になって輿石東参院議員会長に接近を試みているとの見方がある。輿石氏は参院で影響力を持つほか、小沢氏に近い。前原氏の動きは首相辞任後の代表選をにらみ、輿石氏と連携を図るのが狙いとささやかれている。野田グループにも野田氏が代表選に出馬した場合の票読みを進めている議員もいる。
 こうした中、党重鎮として首相の後ろ盾になっていた渡部氏は二十六日、「予算を通すことを民主党より、菅首相よりも最優先に考えなくてはいけない」と発言。二〇一一年度予算関連法案の成立と引き換えに首相退陣も選択肢との見方を示した。
 渡部氏の発言は退陣容認と受け取られ、両グループが「次」に向けて本格的に動きだす可能性もある。菅グループがどう説得しようが、退陣論は消えにくい状態でベテラン議員は「政権はいよいよ崖っぷちだ」と弱気に語った。