この国は菅の独裁政治なのか (日刊ゲンダイ2011/2/28)

刻々迫る予算不成立後の破局! 恐るべき危機を目前にしてまだ政権私物化を図る亡国政権存続はダメだ!

-シャシャリ出てきた菅伸子に蘇るイメルダやエビータの悪夢

-一体どうなるのか、未経験の恐怖の事態到来の3月末

日本国債の大暴落、銀行破綻、株価崩落……そんな事態も覚悟すべきかもしれない。恐ろしいことになってきた。

予算案はきょうか明日にも衆院を通過すると報道されている。だから、国民はあまり気にしていないし、大手メディアは余計に不安を煽るまいと報道を控えている。だが、いま日本の政治は未体験ゾーンに突入してしまったといっていいのだ。
「予算案は今週前半に与党多数の衆院で採決・可決されれば、参院で否決されようと、1カ月後には自然成立します。そこまでは何とかメドがついた。しかし、それ以外は不透明というか絶望的なのです。予算の歳入の裏づけとなる関連法案は、一部を除いて不成立が確実になっている。赤字公債法案や子ども手当法案がそこに含まれていますが、自民党から社民党まで反対なので、参院で成立しない。再可決するにも与党は衆院の3分の2を確保できていない。仕方なく菅政権は、参院で否決される法案は衆院で採決しないし、参院に送らない方針を決めてしまった。本予算と関連法案をバラバラにし、しかも成立させられるかどうか計算が立たないというのは前代未聞のことです」(政府関係者)

◆リーマン以上の国債大暴落パニック

野党が一致団結して強硬に反対する赤字公債法案。これが焦点だ。タナ上げのままになったら、どうなるのか。11年度予算案92兆円余りのうち4割の38・2兆円が赤字国債頼みだ。法案が成立しなければ、その38兆円の調達不能に加え、埋蔵金2・5兆円の歳入繰り入れもできず、実に40・7兆円もの歳入が失われる。予算執行が遅れたり、行政サービスがストップし、あちこちで国民生活の混乱が始まるのである。役人は自分たちの給料だけはチャッカリ確保する。それ以外は「菅政権のせいだ」といって予算を出し渋る。当然、医療や年金、介護などに税金が回らず、ツケは弱い国民に襲いかかるのだ。
「真っ先に影響が出るのは年金です。基礎年金の2分の1は国庫負担ですから、年金が半分しかもらえなくなる恐れも出てきます」

元経産官僚で政策研究大学院大学客員教授の石川和男氏は本紙にこう語った。そういう、あり得なかったこと、国民生活パニックがあらゆる面で当然のごとく起きる。だから恐怖の事態なのだ。
「民主党政権の真実」の著者である評論家の塩田潮氏が言う。
「国民生活の混乱は避けられませんが、最も怖いのが国債の暴落です。予算の4割も歳入不足の国はまともじゃないと海外の格付け機関が動き出すまでもなく、一気に日本国債が信用を失い、投げ売られる。
金利は一気にハネ上がり、金融などは大混乱に陥る。未曽有の危機に突き落とされるのです。08年の“ガソリン国会”でも公債法案が年度内に成立せず、衆院の再可決まで1カ月遅れ、政府短期証券でしのいだこともありますが、今回の異常な点は、まったく先が見えないことです。4月に入っても公債法案の再可決や成立のメドが立たないと、5月の連休明けごろから日本は無政府状態のようになりかねませんよ」

国債を500兆円も抱える銀行はどうなるのか、生保は大丈夫なのか。株価はどこまで暴落するのか。大手メディアはロクに報じないが、リーマン・ショックを何倍も上回る破局が刻々と迫っているのだ。

◆国民生活と自分のクビのどっちが大事か分からぬ首相

「ああ、それなのに」である。“ドン菅首相”の危機感のなさ、開き直り、居直りには言葉が出ない。これだけ「辞めろコール」がわき上がり、八方塞がりなのに、きのう(27日)もノウノウと都内のスタジオで4月の統一地方選用のポスターの写真撮影をしていた。たまげた神経だ。その前日には、「国会議員の定数削減と議員歳費カット案を6月までにまとめる」なんてオダを上げていた。きょうの仕事ができない無能無力男なのに、平気であさってのことを言う。意固地になってオレは辞めないゾと総理の椅子にしがみついているから、手に負えない。未曽有のパニック突入は避けられない事態だ。
「私も、マーケットが日本を見放すのは近いと思います。こんな事態になることは、昨年の参院選後から分かっていた。それなのに対策を打たず、参院選大敗の原因である消費税増税をまた持ち出し、野党を硬化させる与謝野大臣を一本釣りして“最強内閣”だと胸を張る。自分で手足を縛り、身動きできなくしているのに、それが分からない。バカですよ。こんな先が見えない人物を半年以上も首相にしていたことが驚きであり、大失敗。早く退かせないと、この国は取り返しがつかなくなってしまいますよ」(経済評論家・広瀬嘉夫氏)

◆「革命だ前進だ」とわめくカダフィと二重映し

国家予算を成立させ、どうにか国民の生活を守るのは内閣の最大で最低限の務めである。過去にも予算で行き詰まった首相は何人もいたが、だからこそ、予算成立と引き換えに、自分のクビを差し出してきたのだ。しかし、その常識が菅には通用しない。前出の塩田潮氏が言った。
「菅首相には、潔く退陣の選択肢はないでしょう。自分が間違ったことをやっているという認識がないのです。プライドが高いうえ、強烈な自己中心型の人なので、自分は国民のために頑張っているんだ、国のために総理を続けなければならないと思い込んでいる。そのためには民主党も政権もどうなってもいいと考えている。危険な独裁者の域に入ってしまったといっていいでしょう」 ここ2、3日、「前進だ前進だ、革命だ革命だ」とわめいているカダフィ大佐の映像がよくテレビで流される。哀れなカダフィを見ていると、菅の姿とダブってくるから嫌になるが、この国は菅の独裁国家ではない。

ましてやマルコス時代のフィリピンや大戦前後のアルゼンチンとも違うのだが、菅の支えとなって尻をたたいているのが女房の伸子だと聞くと、イメルダや“エビータ”ことエバ・ペロンの悪夢までよみがえるから、ゾッとしてくる。いつからこの国は、発展途上国並みになってしまったのか。

いずれ世界から笑われバカにされるのは、菅のシンパ議員であり、大マスコミ、国民なのだ。



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