未明予算案衆院採決「小沢系」16人造反 (日刊ゲンダイ(2011/3/1)

菅政権崩落一直線

居座りを図る菅に鉄槌が下された。民主党会派からの離脱を表明した小沢系16人が2011年度予算案の採決が行われた衆院本会議を欠席、造反したのだ。スッタモンダを繰り広げた採決劇は、月が替わった1日未明に民主、国民新両党などの賛成多数で可決され、年度内成立が確実となった。
この採決で与党側は、特例公債法案など予算執行の裏付けとなる予算関連法案を切り離す、という暴挙に出た。国民生活よりも国会対策、政権維持を優先させたのだ。

政権亡者のなりふり構わぬ延命策に、16人が公然と反旗を翻した。予算案の衆院通過後、「うれしい思いでいっぱいだ」と語った菅と対照的だったのは幹事長の岡田。16人の造反に「国会議員として最低限の責任を果たしていただけなかったことは、有権者に対して申し訳ない」と述べ、きょう(1日)午後にも処分を検討する考えだ。16人の未明のクーデターで、菅降ろしが拡大するのは確実。「予算案が通って倒れた内閣はない」と民主党幹部は楽観論を口にするが、野党が参院で譲歩するはずがない。自民党総裁の谷垣が「民主党崩壊が始まっている。予算案の造反は党の分解であり、非常事態だ」と言ったが、これは間違いではない。菅がどうあがこうが、政権崩落は時間の問題となってきた。


◆国民不在の不毛国会

ボロ菅政権が倒れるのは自業自得だが、この間の予算審議はあまりにもひどすぎた。一連の予算案・関連法案審議、採決の動きでハッキリしたのは、「国民生活が第一」なんて完全に吹き飛んでしまったことだ。
法大教授の五十嵐仁氏(政治学)もあきれ顔だ。
「この予算委員会はいったい何をやってきたのか。冒頭から政治とカネの問題を執拗に問題にし、肝心な国民生活に関わる予算審議は片隅に追いやられてしまいました。それどころか、終盤になって首相が『丸のみできる案を出してほしい』なんて信じられない発言をした。自分たちが作った案が最善だと思ったからこそ、それを審議してきたのではないのか。子ども手当の大幅修正受け入れをにおわせた岡田発言もとんでもない。政権維持のための野党懐柔策でしかない。国民の生活が第一という視点が、どこにも感じられませんでした」

国民不在の不毛な予算審議は、今度は参院で繰り広げられる。もう、ウンザリだ。一日も早い解散・総選挙で出直すしかないだろう。



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