高江 24時間消耗戦 ヘリパッド連日の工事
(沖縄タイムス 2011年2月28日 09時47分) http://p.tl/iZ02

 米軍北部訓練場の一部返還に伴うヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設工事が行われている東村高江で、国側の作業が連日続き、反対する住民との緊張が高まっている。沖縄防衛局は、作業員ら約100人を動員して工事を強行。住民側には県内外からの支援する人々も加わり、24時間態勢で警戒を続けている。現場では住民らと作業員らの小競り合いが続き、けが人も出るなど、緊迫した中で消耗戦が続く。いつ行われるか分からない工事に、住民らは緊張と不安の中で生活を送っている。(北部支社・湧田ちひろ)

■山道を数百メートル

 昨年12月22日の工事再開以降、2カ所の建設予定地で工事と座り込みの反対運動が続く。集落に近い建設予定地では、伐採された数十本の木が積み重なる。

 「交通妨害ですよ。威圧したら威力業務妨害になりますよ」。防衛局職員が抗議する住民をビデオカメラで撮影しながら言う。作業をめぐって住民らと作業員がもみ合うが、職員は止めようとはしない。

 現場は、アルバイトなどで集まった20歳前後の若い作業員の姿が目立つ。中部から初めて来たという20代の作業員は「嫌な現場だけど、仕事だからやるしかない」。

 ゲートから入れないため、作業員はやぶの中を押し分け、建設予定地を目指して数百メートルの山道を進む。「迷いそうになった」と話す作業員もおり、一歩間違えれば事故につながる危険性も伴う。

 真部朗局長は今月の定例記者懇談会で「反対派の方々もあり、スケジュール的にはもともと考えていたより遅れ気味なのが実情」とした。「ヘリパッドいらない住民の会」の伊佐真次さん(48)は「執拗(しつよう)なまでの工事の強行。政府は米側に再編の進行を報告するため、急いで造りたいとの焦りがあるのではないか」と話す。

■残る反対決議

 住民らの反対運動に対し、「高江区の同意は得られている」と強調する沖縄防衛局。一方、同区はこれまでに2度区民総会で反対決議を行い、決議は撤回されていない。

 2006年4月、当時の区代議員会で、ヘリパッド移設に反対するため代議員で構成する「ブロッコリーの森を守る会」を立ち上げた。区全体で建設反対を唱えたが、一部で基地負担の「迷惑料を取るべきだ」との声も上がったため、約1年後に会は解散した。

 同区に住む87歳の女性は「誰だってヘリパッドはない方がいいさあ。6カ所も造ったら(騒音で)ものも聞こえない。できなければ上等だけど」と不安を話す。

 防衛局は域内に生息する希少種の営巣時期に当たる3~6月は、重機などを使った工事を控える方針を示しているが、3月からの具体的工程は明らかにしていない。