伸子マンガ「政策ビラ」31種類も作っていた! (日刊ゲンダイ2011/3/3)

こりゃ民主党議員が噛み付くのも納得

先週、菅首相の伸子夫人がマンガになった「政策ビラ」をめぐって民主党代議士会が紛糾、まるで“学級崩壊”と揶(や)揄(ゆ)された。

しかし、このビラについて知れば知るほど、「こんなの無駄遣い」と噛み付いた議員たちに同情したくなる。問題のビラは、てっきり1種類だけかと思ったら、民主党執行部はナント“31バージョン”も作成していたのである。

ある議員の地元秘書が、苦笑しつつこう言う。
「『伸子さんのちょっとイイ話♪』という漫画バージョンは『事業仕分け編』とか『子ども手当編』とかに分かれていて、それだけで10種類以上あります。ほかに、『天下りゼロ』とか『水俣病解決』とデカイ文字で書かれたものもある。2月上旬の通達では『20種類程度』という話でしたが、結局、『31種類』にまで膨れ上がったようです。そのビラ1種類につき1000枚入った箱が毎日2、3箱ずつ事務所に届くのです。おかげで運送会社の人とすっかりお友達になっちゃいました」
ビラは、統一地方選向けの党勢浮揚が狙い。しかし、種類が多すぎて手に余るだけでなく、その中身は、とても配れないような恥ずかし~いシロモノだ。例えば〈政権交代で景気回復しました〉の文字が躍る「ウソだろー」とツッコミたくなるようなものや、〈熟議の国会で予算関連法案の年度内成立をめざします〉という、もはや実現不可能なものもある。このビラには、マンガの伸子が〈もう何党でもいいから私たちの生活を考えて〉と叫んでいる吹き出しまであって、“自虐ネタ”と笑うしかない。

◆背景に菅首相の成功体験
しかし、なんでわざわざ31種類ものビラを作ったのか? 背景には、菅の「成功体験」があるという。
「07年の参院選の前、党の代表代行だった菅さんが中心となって『農業再生プロジェクト』のビラを10種類以上作ったら、これが好評で、そのうちの何種類かは再印刷するほどでした。今年1月の党大会時の全国幹事長会議で、菅さんは『こんなに活動資金が使える政党に身を置いたことは初めてだ。大いに使おうではないか!』とハイテンションでしたが、カネを使う一環が、大量の政策ビラというわけです」(地方県連関係者)

大量発注する選挙用のビラは、一般的に1枚2~3円、フルカラーで紙質の良いものだと7~8円ほど。1枚5円としても1議員に31種類×1000枚で15万5000円。議員400人で6200万円。県連にも送っているから、ビラだけで1億円近くになるとみられる。先月19日の全国政調会長会議では、「この逆風では、ビラを作ったって撒(ま)けない。ビラより活動資金をくれ」という厳しい意見が出たのに、スッカラ菅はどこ吹く風で、喜ばれていると思っているから始末が悪い。

ビラに伸子を起用してもらったお礼のつもりなのか、1日夜、菅は伸子とともに広報責任者の馬淵と赤坂の日本料理店「口悦」で会食していた。ここは接待用の超高級料亭。やっぱりこの男は、カネの使い方が分かっていない。



※日刊ゲンダイはケータイで月315円で読める。
この貴重な媒体を応援しよう!
http://gendai.net/