指定弁護士が裏金立証を断念 それでも長引く小沢裁判 (日刊ゲンダイ2011/3/3)


やっぱりショボイ事件になってきた。


民主党の小沢一郎元代表(68)を政治資金規正法違反の罪で強制起訴した検察官役の指定弁護士が、公判で、水谷建設の「裏金」疑惑の立証を“断念”したのだ。小沢裁判は今後、元秘書で衆院議員の石川知裕被告(37)や元公設第1秘書の大久保隆規被告(49)らとの「共謀」の有無が争点になる。

与党の大物政治家を起訴するホドの事件だったのか、改めて疑問になるが、大マスコミは「争点が絞られ、公判・判決はスピード決着」みたいに報じている。しかし、そんなに簡単に一丁上がりとなるだろうか。
確かに、常識的に考えれば、裁判はスムーズに進むだろう。指定弁護士は、公判中の陸山会裁判の検察立証を見限ったのだ。

「検察は陸山会裁判で、起訴事実と関係のない水谷建設の裏金立証に躍起です。その主張は、石川が04年10月15日に“受け取った”裏金5000万円を隠すために、政治資金収支報告書に虚偽記載したという内容。そのカネは、小沢が出した東京・世田谷の土地購入資金の4億円の一部になったともみている。一方で、検察は冒頭陳述で、4億円を受け取ったのは『04年9月ごろ』とし、石川の弁護側はこの時期を04年10月12日と説明。つまり、検察は石川が小沢からカネを受け取った後で“渡された”裏金を隠そうと虚偽記載した、というハチャメチャな論理なのです」(司法ジャーナリスト)

指定弁護士は、陸山会裁判の状況や捜査資料から改めて「裏金の立証はムリ」と判断したのだろう。


◆江田法相は検察審で擁護


絞られた争点の「共謀」立証も厳しい。
「そもそも政治資金規正法では、小沢に監督責任が生じるのは、石川や大久保に対して積極的に虚偽記載を指示し、働きかけた場合に限られる。それなのに、東京第5検察審査会は小沢を起訴相当にした。補助弁護士が暴力団の上下関係を例に挙げ、審査員に共謀共同正犯が成り立つと誤認させたからです。しかし、陸山会裁判では、石川や大久保はそろって収支報告書の作成について『(小沢に)報告していないし、了承を得てもいない』と完全否定。強制起訴の唯一のキメ手になった石川の供述調書も、『(取り調べ検事が)上司が納得していないので、こういう調書を作る、と言われてできた』と任意性に疑問符が付いた。証言通りなら、小沢は『共謀』どころか監督責任すら問われません」(司法記者)

小沢「無罪」は濃厚だ。それでもスピード決着には壁がある。スンナリいくかどうかは微妙だ。
「小沢憎しの菅直人首相と江田五月法相の存在です。特に江田は21日の衆院予算委で、検察審の強制起訴制度の見直しを問われた際、『強制起訴の事例は4件のみで、制度をもう少し見させていただきたい』と“擁護”発言に終始した。2人が居座っている限り、小沢裁判はスムーズにいきませんよ。小沢の力をそいで権力維持しようと考えるなら、公判を引き延ばすに決まっています」(民主党関係者)


小沢が晴れて「無罪」を勝ち取るには、ひとヤマもふたヤマも越えなければならない。





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