フラメンコを生業としている私にとって、フィギュアスケートは楽しい趣味だ。試合にしろ、ショーにしろ、会場に足を運ぶ時のワクワク感は、フラメンコ公演を観に行く時とはまったく違ったものだ。
ところが、今年は少々事情が異なる。
昨今、フラメンコをプログラムに取り入れるスケーターが増えているのは、ご存知の通り。
私の敬愛するスペイン国立バレエ団の芸術監督アントニオ・ナハーロ氏は、ソルトレイクシティオリンピックで金メダルを獲得したマリナ・アニシナ&グウェンダル・ペーゼラ組に振付けして以来、ステファン・ランビエールの伝説的プログラム「ポエタ」を振付けし、さらにはブライアン・ジュベール、ジェレミー・アボット、ナタリー・ペシェラ&ファビアン・ブルザ組、ケイトリン・ウィーバー&アンドリュー・ポジェ組、ハビエル・フェルナンデス……など、次々とフラメンコプログラムを振付けている。(敬称略)
また、私の知人の1人も「プリンス・アイス・ワールド」のグループ・ナンバーの振付や女子シングルの選手の振付指導に携わっている。
今回私は、10日ほど前にとあるスケーターの関係者の方からメールをいただき――かつてさしあげたお手紙に添えてあったメールアドレスを大切にとっておいてくださったそうだ――、フラメンコプログラムの振付のお手伝いをさせていただくことになった。
(身に余る光栄だ!)
だが、音源を渡されて愕然となった。
名曲中の名曲、しかも曲の編集と大筋の振付の流れが出来上がっているそうだ。つまり、「ゼロからのスタート」ではない。
(この状況下で、私にどこまでお手伝いできるだろう?)
とにかく、今はフィギュアスケートのルールやテクニックを学ぶ日々。
(これまできちんとした形で学んで来なかったこと自体、フィギュアスケートファンとして恥ずかしい。)
過去のフラメンコプログラムの研究もし、そのうえでオリジナリティーをどこまで出せるか、フロアではなく氷の上でどこまでフラメンコにできるか……、毎日奮闘している。
そして、いよいよスケーターに直接指導する日も間近に迫ってきた。忙しいスケーターの、唯一のオフの日――といってもTVインタビューなどはあるらしい――がその日だ。
(もう、あまり時間がない!)(汗)
フィギュアスケートファンの「厳しい目」にも耐えられるよう、頑張ります!