9年前、札幌の地で私は自分自身の話をしました。
その時話したのは「自分の言葉で喋れない」というコンプレックスについてでした。



『無意識に人の言葉を借りて話してしまうこと』



がむしゃらに生き過ぎてしまっていて、自分の言葉で誰かが嫌な思いすることも自分のことも分からない人間でした。
当時たどり着いた答えは、"ちゃんと自分の言葉を持てる人になって、ちゃんと自分を表現したい。"


インタビューやMCで喋るたびに、頭の片隅で「自分の言葉で喋らなくてはならない」と呪いのようになってしまった時期もありました。
でも、とにかく必死でした。
でんぱ組.incのために変わりたかったから。


頭の中に「努力すればいいじゃん。」「そんなんだからダメなんだよ。」と聞こえるようになって、追い討ちをかける言葉が続きます。
でもその声は自分自身が作った言葉。
誰かから言われた言葉ではなく、それは自分の中に眠っているアンチ(敵)だったのです。
それに気づくのにすごく時間がかかりました。見えない自分の中のアンチとずっと戦っていた。


なんだ、自分が一番アンチで一番の味方だったんだな。


初めて自分の気持ちに気づいた瞬間でした。
すると、だんだん殻が外れていく感覚がありました。
嫌なことを言う人もその人の背景があって、故意に傷つけたわけではないのかもしれない。
次第に考えも人に対しても柔軟に捉えられるようになり、苦手だったことも前向きに考えられるようになっていきました。


そして今、自分の言葉で喋ること、感じたことを素直に口にすること、配慮することを自然に意識しています。
後輩や自分の立ち位置も変わって守るものが増えていくと、少しずつ自分の発言にも責任がいると理解しています。
10年前の体験があったから確実に変われたし、自分のことが少しずつ好きになれています。
あの頃の自分に伝えたい。
頑張ってくれて、本当にありがとう。



心の中を言葉にすること、夢を語ること。未だにハードルを感じて上手く言葉に出来ないけど、
日々生きていて思うのは、みんなが幸せになってくれたらそれが自分の幸せで、夢だと気づきました。


私の幸せは、同じ時間を共有して特別な体験にすること。そのことを考えているだけでわくわくして頑張れる。
でんぱ組の音楽を聴いてくれて元気になってくれるだけで幸せなのです。
今日来てくれてる端から端まで、
でんぱ組.incに関わってる人、1人残らず幸せにする。それが私の夢なのです。

叶えようと頑張る。例え叶えられなくても、もがくことで成長してると信じたい。
これまでの歴史も、今も、全部ひっくるめてでんぱ組.incだから。
誰でもない自分の中のでんぱ組.incを感じて、幸せにしたい。

このメンバーで今を生きているのが奇跡で当たり前ではない未来。



だからもう一度、一つの区切りとして、武道館でライブがしたい。



笑われたってけなされたって、私はこのメンバーで駆け上がっていく姿を、夢を見たいのです。
そのために私は全てを懸けて生きていきます。
あの頃の自分も受け入れて、固定概念にとらわれず、怖がらず夢への道のりを諦めない。


辛くて弱かった自分に負けないで、全部受け止めて自分を許してあげてほしい。
大丈夫。私は、これからも走り続けるよ。





最後まで見てくれて、ありがとうっ。