ラーメン二郎に名前を譲った男の作る麺料理とは? ~雪が谷「麺でる」の異色麺~ | B級グルメを愛してる!

ラーメン二郎に名前を譲った男の作る麺料理とは? ~雪が谷「麺でる」の異色麺~

mixiのフォーラムなんかでも「ラーメン二郎」コミュが盛り上がっていたりするが(会員数:6月7日現在6502人)、本家・三田ではなく、分家筋が好きだという者も多数いる。

というか、最初に食べたのが本家以外の直系店旧二郎系(二郎フーズ系)亜流店であったりするとそれが「ラーメン二郎」の味だと思いこんでしまって、本家の味も知らずに「二郎うまい」と公言する者も多いことだろう。


しかし、二郎フーズ系や直系各店舗に関しては、ほとんどの店が「二郎風ラーメン」というべきか。

そもそも二郎フーズ系は2年ほど前までは「ラーメン二郎虎ノ門店」とか名乗っていたわけであるが、ラーメン二郎という名前が使えなくなって、いまや旧ラーメン二郎系とくくられている。

なんかご家庭でできるラーメン二郎、みたいなノリがいただけない。

味がね、決定的に違うんですわ。

その点、直系筋の二郎の中には、二郎テイストに近いものを感じるが、評価しているのは目黒、仙川あたり。

直系の中でもいただけない店は多々あるし、中には激怒せざるを得ない店もある。

直系にしろ旧二郎系にしても修行は一応、本店の厨房で働くのだが、そのシステムは自己申告制で3日でも3ヶ月でも本人が納得したら終わり、というものであった。

そのくらい適当なわけだから、味のばらつきもあって当然か。

特に麺なんかは自家製麺を義務づけているので、ひどいところになるととても二郎とは思えない店もある。

スープや具、盛りも個性的であるが、まずは麺が二郎でなければ話にもならない。

よって、やはり二郎は三田で食べなければ…と思ってしまうが、亜流店になるとこれはもうラーメン二郎という名前を使っていないので、どう料理してくれてもかまいません。

しかし、亜流店の中でも特に麺に強烈な個性があるという店があると聞いて重い腰を上げてみることにした。

店の名前は「麺でる」。ここは麺以外にも仕掛けがいろいろあるという。


「麺でる」の入り口には『ラーメン二郎という名前は私が三田の店長に懇願されて譲りました』という張り紙と共に商標登録が飾られてあった。

確か二郎のオヤジに「昔、ラーメン二郎という名前を商標登録しようとしたら却下されたよ、ガハハハ」なんて話を聞いた気がする。その後、「ラーメン二郎」のオヤジがほっぽといたのをいいことに「麺でる」のオヤジが商標登録をしてしまたのだろう。

真性ジロリアンである私からすれば、なんと姑息な…という感じだ。

でもって、ラーメン二郎という名前は使えなくなりかけたのだが、ラーメン二郎愛好の慶應法曹関係者が動いて、商品登録を譲渡させたと聞く。

その後、名前を譲ってしまった関係で長い間、名前がないまま営業していたのだが、ついに「麺でる」と決まったといういきさつがある。


自動発券機は新札が使えないため、とまどっているとオヤジがすかさず旧千円札を手渡ししてくれた。

新札は使えないから、これ使って

なかなかに愛想の良いオヤジだ。

二郎の商標問題からして、小難しい偏屈オヤジをイメージしていたのだが、どうもそうではないらしい。

しかし、まだ心を許すわけにはいかない。なにせ相手は二郎の名前を奪おうとした男なのだ。

メニューは二郎のように大、小で選ぶのではなく、チャーシュー麺やスープなしのまかない麺、それに爆弾なるトッピングもあった。

麺の盛りに関しては1/2、2/3、普通、多め、限界盛りとあって、どれでも値段は同じだという。

とりあえず、ノーマルラーメンの普通盛りをオーダー。

出てきたのはいわゆる二郎スタイルのラーメンだった。



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(盛りが自由自在な麺でるラーメン)



チャーシューに関してはまったく別な代物だが、味はどうか?

ふむ、スープは二郎よりまろやか…というか深みが足りないというか、ま、直系のダメ店舗よりはマシといったところか。

で、こだわりの麺だが何にこだわっているのかと思ったら味ではなくてその形状であった。

つまり、普通の麺は1本のつるっとした麺なのだが、ここは日によって麺の形状が違うのだ

1本の日もあれば、 3本の麺が横に繋がった3本麺、5本麺、7本麺といくつかあってなんと14本麺まであるという。

あーた、14本横に繋がった麺なんて口に入りませんよ。

今日はあいにく1本麺の日であったため、ノーマルな麺を食すに留まったが、いずれまた14本麺を食べに来なければならないだろう。麺の数は月末に向かって徐々に増えていくという。

他にも唐辛子が詰まったにぎりめしサイズの固まりが入る爆弾や真っ黒麺の日があったり、二郎風ではあるが、いろいろと工夫はしているようだ。


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(真っ黒麺はこんな感じ)



で、麺同様、オヤジもなかなかに個性のある男であった。

私が初めてこの店を訪れたことを感づくや、いろいろと話しかけてくる。

お客さん、二郎好き?この間、鶴見の二郎行ったけどスープがぬるいし、盛りも少なくてさ、あれはちょっとヒドイね

量。普通でいいの?足りなかったら言って」とか。

いやいや、じゅうぶん足りてますから結構です、とかなんとかいいながら食べきった。

どうもここのオヤジは麺の量に異常なる執着を燃やしているらしい。

麺が多ければエライ、と少なからずとも思っていることだろう。

なかなか早いね、次回は限界盛りにチャレンジしたらどう?」と帰り際に親父に言われた。

盛りの量よりも連チャン麺の方が気になります、と言うと「じゃ、今度は月末に来な、14本麺とかあるから」とガハハとオヤジは笑い飛ばした。

ラーメン二郎商標問題はムムムだが、B級な店であることはよくわかった次第である。



●「麺でる」

住所:大田区 田園調布 1-21-2

営業時間:12:00~14:00、19:00~20:00

定休日:水曜