PITTI SNAP by BEAMS スーツ編
前回に続き、PITTI SNAP by BEAMS。
今回はスーツ編です。
もう20年来の付き合いになる、LARDINIのENRICO AIROLDI。
彼と初めて会った時から基本的なスタイルが変わっていません。
ネイビーかグレーのオーソドックスなスーツにネイビーの無地のタイが彼の定番スタイル。
ドレスクロージングのカジュアル化の波が来ても彼のスタイルは変わりません。
色や柄をあまり使わない端正なコーディネートは、ミラネーゼスタイルの王道でもあります。
パンツは2プリーツのテーパードシルエット。
彼はこの2プリーツのモデルを3年前くらいから既に穿いていました。
彼以外にも当時からこのモデルを穿いていたラルディー二のスタッフは何人かいたのですが、個人的にも古臭さを感じさせないシルエットのプリーツパンツは、当時から新鮮に感じていました。
ただ、今後の流れを考えると、もう少し股上が深い方がいいと思います。
そんな事は彼自身もわかっていると思いますが・・・(笑)
靴はEDWARD GREENのキャップトウ。
靴も昔から全く変わっていません。
EDWARD GREENとALDEN しか履いているのを見たことがないです。(笑)
ダークスーツダークブラウンのシューズ というのも、イタリアの王道スタイルです。
PITTIの会場でも多く見られた オリーブグリーンのコットンスーツ。
サルトリア メイドであることはステッチや肩の雰囲気でわかります。
パンツはやはり2プリーツのテーパードシルエット。
サルトリア メイドやサルトリア テイストのスーツでノープリーツのパンツを穿いている人はほとんど見ないので、クラシックなテーラードスタイルが戻って来る次の秋冬は、プリーツの入ったパンツのスーツが更に広がるのは間違いなさそうです。
靴はオーソドックスな英国靴。
EDWARD GREENでしょうか。
こんな感じのオーソドックスなフォルムとディティールの英国靴が戻って来ています。
暫く履いていなかった人は、今から綺麗に磨いてスタンバイしましょう。(笑)
この流れは、今後更に加速するのは間違いなさそうです。
特に表革のドレスシューズが重要になってくると思います。
少し赤みのあるブラウンのコットンスーツにJOHN SMEDLEYのニットポロ。
スーツは襟の感じやボタンを見るとスティレラティーノっぽい感じもしますが、上衿の刻みを見ると違うような感じも・・・
パンツは腰回りの感じから見てもプリーツ入りのパンツなのは間違いないです。
洋服屋は変に細かいところに目が行きます。(笑)
前回のジャケット編にもありましたが、JOHN SMEDLEYのニットポロを着た人が、ここ数年増えています。
RETRO POLO とも言われていますが、こんな感じのクラシックなニットポロがトレンドになっているのは間違いありません。
因みに、BEAMSでも今シーズンはJOHN SMEDLEYのニットポロが大人気で既に品薄状態です。
靴は英国調ですが、イタリアのBARBANERAのコンビシューズです。
ラストやデザインは完全に英国靴ですが、ファブリックの部分にデニムを使うのはイタリア人ならではの発想です。
これと同じものをBEAMSでも展開していますが、本国でバルバネーラは新しい感覚のクラシック シューズ ブランドとして認知され、大ブレークしているそうです。
PITTIの会場でも履いている人をかなり見かけました。
ネイビーとホワイトのシンプルなスーツスタイル。
2Bのナローラペルのスリムスーツは少し古さも感じられますが、2トーンでまとめたコーディネートはエレガントに見えるので古さを感じさせません。
バッグはかなり使い込んだ英国製のブリーフケース。
このバランスがいいですね。
バッグもイタリアらしい艶っぽいバッグよりは、こんな感じのクラシックなバッグをスーツスタイルに持っていると思わず目が行きます。
次の秋冬は、ドレスクロージングの流れのひとつに ”HERITAGE” というキーワードがあるので、こんな感じの使い込んだ英国のバッグを持った人が出てきているのだと思います。
間違いなく本人は狙っていると思いますが・・・(笑)
靴はステッチの感じからすると、JOHN LOBBのアシュレイですね。
スーツのバランスや細部のディティールを見ると、イタリア人ではないような感じもします。
PITTIのスナップを見ると外人は皆イタリア人と言っていますが、実はイタリア人でない人も多いです。(笑)
フランス、スペイン、イギリス、ベルギー、北欧、アメリカなど、結構イタリア人ではない人もいるのですが、何故かPITTIの会場にいる外人は皆イタリア人となってしまいます。(笑)
皆さんがスナップを見て着こなしを真似している人は、実はイタリア人ではないケースも多いです。
これについては、また別の機会に。
特徴のあるディティールのサルトリア メイドの3ピース。
サルトリア テイストがクラシックなスーツのトレンドでもあるので、こんなクラシックなディティールを強調したスーツを着た人がPITTIの会場でも結構見られます。
少し濃いめのベージュのコットンスーツというのも今シーズンのトレンドです。
パンツはやはり2プリーツのテーパードシルエットです。
この人もポロはJOHN SMEDLEYのニットポロです。
本当にレトロ ポロを着た人が多いです。
靴は英国調ですが、これもBARBANERAです。
このブランドがファッショニスタ達から注目されているのがよくわかります。
ブラウンのコットンスーツを着た人も増えていました。
ダブルのコットンスーツは、ダブルステッチや袖付けを見てもナポリ メイドっぽい雰囲気です。
パソコンで拡大してみるとボタンホールもハンドなのがわかります。
コットンのダブルブレストのスーツを着た人も増えていました。
ブラウンやオリーブグリーンのダブルブレストのコットンスーツは、今シーズンらしいスーツだと言えます。
コットンスーツにシャンブレーのシャツは個人的には好きな合わせですが、襟型が少し古い印象に見えます。
以前も触れましたが、画像のような開きの大きいカッタウェイのタイドアップは、流れから考えると少し古いと言わざるをえません。
この場合、普通のワイドスプレッドやセミワイドの方が今の雰囲気に合うのは間違いないです。
タイはドットのニットタイ。
コットンスーツにはニットタイが良く合います。
私もコットンスーツを着る時は、ニットタイをすることが多いです。
足元はタッセル スリッポン。
ALDENのように見えますが、ハッキリとはわかりません。
コットンスーツ、タッセル、素足履きというのも、もはや定番スタイルです。
明るいネイビーのスーツはサルトリア仕立て。
南イタリア バーリのブランドSCIAMATのスーツです。
日本でもプレタのジャケットやスーツを展開しているお店もあるので、ご存じの方も多いと思います。
パンツは2インプリーツのテーパードシルエット。
少し股上の深いベルトレスです。
イタリアは本来アウトプリーツが多いのですが、最近はインプリーツのパンツも増えてきました。
因みに、パンツのプリーツはインプリーツがレギュラーでアウトプリーツがリバースと言われています。
インプリーツは英国調のイメージが強いですね。
ビームスFのオリジナルスーツも10年くらい前は全てインプリーツでした。
ボタンダウンのボタンを外すテクニックは、いかにもイタリア人らしいです。
タイはウィンドウペンのジャケット生地を使ったタイです。
アズーロ エ マローネのコーディネートですね。
BEAMSでもこのようなネクタイは毎シーズン展開していますが、お客様から意外と多いのが、「どういう風に合わせればいいですか?」 という質問。
ビジネス向きのダークスーツには合わせづらいですが、こんな感じの色目のスーツやコットンスーツには相性がいいです。
ジャケットコーディネートに相性がいいのは言うまでもありません。
足元はリザードのローファー。
イタリアではスーツにもローファーを合せる人が結構います。
英国的なルールでは完全にアウトですが、イタリアではスーツの雰囲気によってはローファーを合せることも多いです。
ルールに縛られることなく、全体の雰囲気が合えば柔軟に取り入れるというのがイタリア人的な考え方ですが、ルールを重んじる英国人にとってはダメなものはダメです。(笑)
我々日本人はどうするかは、個々の嗜好に合わせればいいのではないかと思います。
こちらも明るいネイビーのスーツ。
ブルーとホワイトの2トーンでまとめたコーディネートです。
皺の入り方を見るとリネンかリネン混の生地のスーツです。
フロントダーツがポケットの下まで通っているので、おそらくナポリのテーラーで仕立てたのではないかと思います。
足元は、この方もBARBANERAのコンビシューズです。
パンツは2プリーツでウエスマンが太いベルトレスのパンツをサスペンダーで吊っています。
このタイプのパンツを穿いた人もPITTIではよく見かけます。
スミズーラで仕立てる人は、このようなクラシックなディティールを好む傾向が強くなっています。
1月のPITTIでもこのようなスーツを着た人が増えていたので、、次の秋冬も継続した流れだと思います。
因みに、私も次の秋冬は2プリーツのサイドアジャスターのパンツでスーツをオーダーしようと思っています。
ベージュのソラーロのスーツ。
イタリアン クラシック全盛の頃は、ソラーロのスーツを着た人がかなり多かったのですが、最近はめっきり少なくなっていました。
日本人もその当時はソラーロのスーツを着た人が多かったです。
私のイメージはUAの鴨志田さんと、我々の業界では有名だったK.Nさん・・・
クラシックなスタイルが戻って来ているので、今またソラーロのスーツが新鮮です。
このスーツはフロントダーツのない2枚構造の仕立です。
襟型を見ても、おそらくフィレンツェのテーラーLIVERANO & LIVERANOのスミズーラだと思います。
パンツはワンプリーツでベルトレス。
この人もサスペンダーで吊っています。
数年前から見られたサスペンダーですが、今イタリアではかなり人気があるようです。
PITTIの会場でも本当にサスペンダーをした人が多くなりました。
逆に、スーツにをウオレットチェーンをした人が少なくなっているのも今の流れを物語っていると思います。
艶々なイタリアンスタイルは、現地でも古臭いスタイルとなっているのは間違いない事実です。
足元はタッセルスリッポン。
おそらく英国製だと思います。
表革のタッセルを履いた人が本当に増えました。
一時のダブルモンクのブームを凌ぐほどタッセルを履いた人が多いです。
先ほどスーツにローファーの合わせについて少し触れましたが、個人的にはスーツに合わせるのであれば、エレガントに見えるタッセルの方が良いと思います。
最近はこの方のように、日本人以外のアジア人の人達がサルトリア テイストのスーツを着ているのをPITTIの会場で良く見かけます。
いま韓国や日本以外のアジアの国では、サルトリアルなジャケットやスーツスタイルがかなり盛り上がっています。
これについては、また別の機会に触れたいと思います。
トップの画像と同じラルディーニのエンリコ氏。
カーキのような色のダブルブレストのスーツはGABRIERE PASINI です。
彼が着るとパジーニのスーツもクラシックなスーツに見えます。(笑)
着丈の長さがシングルに比べると少し短めですが、このくらいのバランスの方が重く見えなくていいです。
ダブルはフロントが閉じるので着丈が長いと上半身が重く見えます。
上の画像のようにパンツの股の付け根が見える方が脚も長く見えます。
ダブルはシングルより着丈が1㎝程度短い方がいいという事を知り合いのサルトやプレタのモデリストから聞いたことが何度かありますが、確かに私の経験上その方がバランスが良いと思います。
特に私のような身長が無い人がダブルのスーツを着る場合は、着丈のバランスに注意が必要です。
英国的なバランスとはちょっと違うので、ある意味イタリア的なバランスだと思います。
Vゾーンはブルーのシャツにネイビーのソリッド。
シンプルなコーディネートですが、私もこのような色のスーツを着る場合はブルーのシャツにネイビーのソリッドタイを合わせると思います。
シャツはキレイめなシャンブレーのシャツを合わせてもいいと思います。
イタリア人にとってネイビーのソリッドタイは永遠の定番で、それは私がPITTIに通い始めた20年前から変わっていません。
どんな色柄のスーツでもネイビーのソリッドタイを合わせれば、なんとなくVゾーンがまとまりコーディネートが成立するのも、ネイビータイがいつの時代にも定番とされる理由であると思います。
ご覧のように、クラシックでエレガントなスーツスタイルが戻ってきているのは間違いありません。
次の秋冬は、この流れがさらに加速するのも間違いなさそうです。
クラシックなスタイルが戻ってくれば、シャツやネクタイや靴やアクセサリーも変化が生まれるのは必然的な流れです。
この流れは、長く続いたドレスクロージングのカジュアル化の波から、本来のクラシックなスタイルが時代性を加味しつつ戻ってきているということで、一過性のトレンドではないということは間違いありません。
キーワードは ”サルトリア スタイル”
久しぶりに聞く言葉が妙に新鮮です。
お知らせ。
本日、新宿にBEAMS JAPANがオープンしました。
”日本の匠からポップカルチャーまで”、幅広いカテゴリーのコンテンツをキュレーションしたショップです。
http://www.beams.co.jp/beamsjapan/
そして、6、7階には BEAMS F 新宿 がオープンしました。
ジャケットからスーツ、オトナのカジュアルまで、幅広い展開です。
http://www.beams.co.jp/beamsjapan/floor_67f.html
新宿にお越しの際は、是非お立ち寄りください。