人生の鏡・完結篇 | 活動弁士は七変化

活動弁士は七変化

映画はかつて無声で、生の語りで説明者がいたのです!

本日より大晦日まで、
いっきに振り返り日記の応酬です。
年内に終わらないと(;´д`)
実は最後まで書ききれていなかった、
11月フィルムセンター公演日記からです。

肝心の当日でありましたが、
ぎりぎりまで手直しして、
ひとっ風呂浴びてひとり衣装合わせ。
今までの弁士生活の中でも、
ランキング三位に入ろうかという今回の慌ただしさ。
(でもひとっぷろ浴びてるが)
しかし何かに護られている!?
という錯覚を覚えるほど(錯覚です!)
前日から怒濤の追い込み➡仕上げの行程。
衣装選びもスタイリストが付いているがごとく(付いていません!)
組み合わせを整えてゆき…

いざゲネの場へ。
いや、結果はリハになりクライマックスは
ぶっつけ本番になったのですが、
新垣隆さんのピアノは、
いつも私の活弁を三倍増しに魅せてくれます!
リハではいつも『こ、これでいいの?!』
と思うほどに“合わせ”でしかないのですが、
本番はピタピタピタッとはまってきます。
気持ちいい事この上ありません!
いつも語りながら心の中で、
『う、巧い~!!』と叫んでしまいます。
今回も新垣さんの心配は客席への音の聴こえ方で、
念入りにチェックされてました。

客入れの時間となってしまったので、
クライマックスを残して楽屋へ下がります。
慌ただしく小夜食を取って着替えとメイク。
マツダさんからの差し入れは、
気がきいていて美味でした♪



しかしこんな写真を撮っているあたり、
余裕あるというより、
相当キテましたな。あたし。゜゜(´O`)°゜
ライト気味ユンケルもリハ前と後に
一本づつ投入。
ドーピングも終了していざ本番。

前説時の舞い上がようは、
前回のフィルムセンター公演の時と全く同じ…。
台本書いている時から嫌というほど感じていましたが、
この場に本当にコンプレックスを感じている私。
アウェー感と言うか何というか…
この学術的な雰囲気に、
すっかりのまれております。
しゃべりながら、
『私、本当に30年も舞台に立って来たの?!』
心の声は自らを責める攻める…

しかしそれは前説の時まで。
弁士台に座って明かりが落ちた途端に、
すっと落ち着いて来ます。
ホッとしたのも束の間、
開いた台本で弁士台にくくりつけたプチライトを、
なぎ倒してしまった!!

先程のリハでフィルムセンター職員の方が、
『私が斎藤さんの傍らに座ります。
もしライトが倒れたとかあった時に、
素早く直すとか緊急時に対応する為です。
そんな事はそうそう起こり得ないのですが!(笑)
と仰ってお互い笑い合ったのに、
初っぱなから出動して頂いてしまった!!

動揺と恥ずかしさで、
青くなったり赤くなったりしながら、
いざ、ロイス・ウェバーの世界へ…


二本目の『暗中鬼』があまりに深刻な内容なので、
『アイドルワイブス』は軽いノリのテンポで書きました。
特にスミス一家のシーンでは、
貧乏な中でも救いがあるような雰囲気に
仕上げてみました。
私のお気に入りは父親の味方の長男。(笑)
初日に観た『毒流』のオマージュとして、
映画を観に行く資金は、
お父さんの靴を買う為に貯めておいた
お金としました。
語っていても楽しかったです。

『暗中鬼』も深刻な内容ではあったのですが、
女に手が早いウォルトン夫人の弟のシーンなど、
その徹底したたらしっぷりに会場から笑いも。
やっぱり声があがるとやり易い。
そのあとのリリアンへの仕打ちも、
いるよなぁこういう男というような馬鹿な
ぼんぼん風に仕上げ、
終わってみたら結構お気に入りの登場人物に。
(あくまで演じ手として!)

前半パートは、
かなりナレーションの比重が高かったのですが、
クライマックスに向けては舞台劇風に。
最初は悩んだウォルトン夫妻の崩壊シーンも、
不思議と一気に書ききりました。


今までの弁士人生の中で、
啓示というか何というか…
悩んで迷った分なのか、
自分でも本番を演じきりながら、
お気に入りの作品となりました。

終わってみて振り返ると、
ああするべきだったか、
こうしておけばよかったなとか、
いろいろ出ては来たのですが、
今ある私の力は出しきったと思っています。

映画の最後の送り手”としての役割は、
何とか果たせて頂いたかと。
自信があるとかそういうこととは、
また違った気持ちなのですが。


本番終了後には、
私が『今回だけは来ないでぇぇぇ!!!』
と、懇願したご贔屓様にもご挨拶。(苦笑)
『良かったじゃあないですか!』と軽く怒られました。(苦笑)
そう、本当に傲慢でした。
あまりに自信がなかったからそう叫んだのですが、
それは私サイドの話であって…
この素晴らしい映画を、
もっと多くの方にご覧頂けるように、
もっと告知をちゃんとすれば良かったと
後悔しました。
平日であったればこそ。

思いがけず久々にご覧頂いたお客様も
いらっしゃり、
様々ご感想も伺うことが出来て、
本当に良かったです!

お客様が退いてから、
衣装についての女子トークなども…
お衣装を褒められるとモチベーション上がるのは、
女性ならではのこと?!
いや、
公演終了後にモチベーション上がっても
仕方ないのですが。(笑)



優しい小川さん、田澤さん、
ありがとうございます!



女子トーク炸裂している間に、
衣装を着替えてしまった新垣さん、
ご免なさい\(__)(笑)

綺麗に撮れていた写真は、
公演終了直後に載せたので此方を…


このあと『暗中鬼』モードから抜け出すのは、
実に大変な作業?でした。
それくらいインパクトの強い作品で、
憑依体質の私は苦労したのですが…

次に公演した『瀧の白糸』は、
フィルムセンター公演前にやった『浮草物語』と、
この『暗中鬼』をやったベースがあったのですんなり出来た場面も多く…
この順番で出来た事は、
ちょっと不思議な巡り合わせでした。

プレッシャーかかる事この上ない、
エネルギー使い果たした公演でしたが、
実に大きな“心の財”となりました。

本当にありがとうございました。




遡り日記を連発しますが、
自分の為に記録を残しておきたいことばかりで、
宜しくお付き合い下さいませ!







Android携帯からの投稿