「ザムザ阿佐ヶ谷」という劇場で、演劇「ウレシパモシリ」を観ました。
劇中に私が大好きな、AKIRAさんの歌がたくさん使われていました。テーマにぴったりでした。
(杉山明さん。作家&アーティスト&シンガーソングライター。ブログは「New天の邪鬼日記」)
原作は 遠藤周作さんの「おバカさん」という作品だそうです。
一見「おバカさん」のように見える、ジェルマンさん。そのジェルマンさんが
野良犬と友達になり、「ポールさん!」と敬称で呼ぶところが好きだなあと思いました。
野良犬への、敬意があります。
生きとし生けるものへのフラットな敬意。
自分と同じ「ひとつの命」「心ある存在」として、犬を見ていることが感じられます。
いいなあ。
そういう気持ちになると、すごく世界が豊かになり、人生があたたかくなると思うのです。
そして、家族を陥れた人に復讐しようとしている古市さん。人をだまし、暴力も振るう古市さん。
その古市さんを、ジェルマンさんは「古市さんは、わるい人ではない」「古市さんは、ひとりぼっち」
と言って気にかけて、そばに居ようとするのです。
「あぶないから、古市さんから離れなさい」と止める友人たちの言うことも聞かず…。
現実には危険なので、なかなかこういうことはできないと思うけど、
古市さんは 本当はいい人で、つらい過去に傷ついて人を信じなくなっただけだということは、
伝わってきます。
ジェルマンさんはそのことが分かっていて、古市さんの本当の姿を信じているのです。
(実際にはわるいことをしているけど) ほんとうは優しい、いい人なのだということを。
「ウレシパモシリ」とは、
アイヌ語で「育みあう大地」「育ち合う大地」「自然界そのもの」という意味だそうです。
植物も、動物も、微生物も、人間も、大地も、水も、風も、
つながり合って 育て合っているイメージが 広がります。
私は、ジェルマンさんの心の中に、この「ウレシパモシリ」があるのだと思いました。
すべてがつながっていると思うと、他の 生き物や人間を、差別する必要が無くなります。
ほんとうは みんな無条件で、大切な存在です。
ジェルマンさんと会う人は、 きっと心の中の「ウレシパモシリ」を感じて
あたたかく、なつかしく、すがすがしく、心が洗われる気持ちになるのでしょう。