こんにちは。
「子どもの心を理解する講座」でのご質問&答です。
Q
「講座を聞いて、人と人との間に、心の境界線があることはわかりました。
でも、どうしたら『境界線が引けている』とわかるのでしょうか?判別方法が知りたいです」(Lさん)
A
そうですね。
実例をあげますね。
まずは、私の体験です。
・私は中学生のときに、日記を書いていました。
すると、あるとき、親が私の日記を読んでいることがわかりました。私の許可なく。
親としては、子どもを心配して、子どもの様子が知りたくて、こっそり日記を読んだのでしょう。
でもそれは、「境界線」を越えています。
子どもが心配なら、子どもに直接聞く。
答えるかどうかは、子どもが決めていい。
それが「境界線を引いている」状態です。
こっそり子どもの日記を読んだり、
直接子どもに聞くととしても、もしも無理やり答えさせようとしたりしたら、「境界線を越えて」います。
・私の両親は、よくケンカをしていました。そして、母は愚痴をこぼしていました。
私は子どものころから、「母は大変そうだな」「母を助けたい」と思い、母の愚痴を聞くことで、母を支えようとしました。
そして長年、大量の愚痴を聞き、疲れました。
そのうえ、いくら愚痴を聞いても、母の人生も、生きる姿勢も変わらなかったのです。
このとき、私は「境界線」を越えていました。
必要以上に母の愚痴を聞いて、母の苦しみを背負おう、助けようとしてしまったのです。
母の人生の苦しみは、母のものであり、母の責任でもあります。
子どもの責任ではないのに、私は責任を感じていました。
疲弊するほど愚痴を聞かなくても、よかったのです。
どのくらい疲弊したかというと、何十年の後には、母の声を聞いただけで気分がわるくなるほどになっていました。
この場合、「もう聞きたくないな」「聞くのがつらいな」と感じたら、話題を変える。席を立つ。自分の用事をする。「ごめんね、そういう話は今、聞きたくないの。私が疲れちゃうの」と伝えてもいいです。
それが、「境界線を引いている」状態です。
(なお、母は、他の信頼できる大人たちに「聞くよ」という同意を得てから話を聞いてもらったり、専門家に聞いてもらったり、相談したりすることでサポートを受けられたらよかったと思います。)
次に、よくある例をいくつか書きます。
境界線を越えたり、越えられたりすると、どこか安心できず、本来の自分でいられなかったりします。
・なんでも引き受けてしまい、「NO」が言えない
やりたくない係をやったり、仕事をたくさん引き受けすぎる
・他の人が機嫌が悪いと、自分のせいだと考える
他の人の機嫌をよくするためにしなくていいことをしてしまう
・相手の考えに合わせて、自分の考えを大事にしない
・過度に他の人に尽くし、自分を後回しにして大切にしない
そういう状態になったりします。
また、相手を自分の思い通りにしようと支配したりコントロールしたりするのも、「境界線を越えて」います。
「助けようとして」、あるいは「愛情のつもりで」「良かれと思って」してしまうこともあり、注意が必要です。善意であっても、気を付けたいです。
もしされた場合は、「私を思ってやってくれたのだから」とガマンしなくていい、「いやです」「やめてください」と伝えていいです。
・子どもの進学先や、習い事、就職先を親が決める
・食べすぎや飲みすぎの人の健康を心配して、その人の同意を得ずに、お菓子やお酒を隠したり捨てたりする
・ゲームをさせたくなくて、同意を得ずにコンセントを抜く
・恋人に「他の友達とつきあうな」「休日は自分とだけ過ごせ」と要求する
このような態度は、「境界線を越えて」います。
相手の精神的自立や、
成長を阻害してしまうことさえあります。
では、どうしたら「境界線」を引けるのか?
「相手を独立したひとりの人間として尊重する」、
「相手を自分とは別の考えを持つ人間だとハッキリ意識する」、
「相手には考える力や生きる力があると認識する」と、
「境界線」を引けます。
「自分は今、相手を独立したひとりの人間として尊重しているかな?」
「相手は自分とは別の考えを持つ人間だとハッキリ意識しているかな?」
「相手には考える力や生きる力があると認識しているかな?」と自分で確認してみると、わかってきます。
また、境界線を越えられているか確認するために、
「相手は私のことを独立したひとりの人間だと尊重してくれているかな?」
「私のことを、別の考えを持つ人間だとハッキリ意識してくれているかな?」
「私のことを、考える力や生きる力があると見てくれているかな?」と自問自答してみることが役に立ちます。
心の境界線が引けると、人間関係が楽になったり、安心して仲良くなれたり、お互いの成長をサポートできたりします。
「自分の人生を生きている」実感を持てるようにもなっていきます。
ところで、心の境界線は「感覚」でもあるので、
心の体感で覚えていくものでもあります。
自転車のこぎ方を体感で覚えるように。
「心の境界線を引いている人」の言動を見ることが、いちばんわかりやすい気がします。
知っている人で、「この人といるとホッとする、何も押し付けてこないから」「私の気持ちを確認して配慮してくれるから」「意見が違っても怒らないから話しやすい」という人はいませんか?
「境界線をよく引いている人(ほぼ引ける)」、
「引いたり、引かなかったり、両方ある人(練習中)」、
「ほとんど引かない人(これから学ぶかも?)」、
いろいろな人がいます。
もしも身近に「境界線をよく引いている人」がいなかったら、小説やマンガ、テレビドラマ、映画の登場人物でもいいです。
「あ、この人は境界線を越えてるな」
「このシーン、境界線が引けていて安心だな」
そんなふうに、見て判別する練習をしていくと、境界線がわかるようになっていきます。
こんど、映画の記事を書くときに、境界線の話も書きますね。
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