こんにちは。
このブログのQ&Aの中で、
2番目によく読まれている記事を紹介します。
(1位はこちらです。)
Q
「子どもが学校で廊下に立たされました。どう思いますか?」
A
それは、「虐待」の範囲に入ると思います。
「不適切な扱い」(マルトリートメント)です。
もし子どもがよくないことをしたら、
「廊下に立たせる」以外の方法で教えればいいのです。
「よく説明する」とか、
「子どもの話を聴いて一緒に考える」とか、「どうしてそうしたのか理解して指導する」とか。
でも、昔は学校で先生が生徒を「廊下に立たせる」ことが、よく行われていましたよね。
先生方に、たぶん悪気はなかったと思います。
「ドラえもん」ののび太の担任の先生も、いい人ですが、生徒を廊下に立たせます。
当時は、それに異議を唱える人はいなかったのでしょう。
「体罰はよくない」と言われるようになった現代。
体罰は、「たたく」「なぐる」「つねる」「ける」ばかりではありません。
「子どもに意図的に精神的苦痛を与えて屈服させることで、指導する」ことも、体罰に含まれるという解釈があります。
「暴力を伴わない体罰以外の残虐な又は品位を傷つける屈辱的な取扱いも, 子どもの心を傷つけ,場合によっては死の淵まで追い詰めるものであって体罰と同じである。」
子どもに対する体罰及びその他の残虐な又は品位を傷つける形態の罰の根絶を求める意見書からの引用です。
「暴力を伴わない体罰以外の残虐な又は品位を傷つける屈辱的な取扱い」。
「廊下に立たせる」のは、「残虐」まではいかないけど、
「品位を傷つける屈辱的な取り扱い」にあたると思います。
廊下に立たされているところを皆に見られたら
「はずかしい」と思う子も多いだろうし、屈辱的な罰ではないでしょうか。
「日本は、1989年に国連総会で採択された子どもの権利条約を、1994年に批准していま す。
子どもの権利条約の解釈基準を示す国連子どもの権利委員会一般的意見8号「体罰その 他の残虐な又は品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利」(2006年)では、体罰 を「有形力が用いられ、かつ、何らかの苦痛又は不快感、屈辱感を引き起こすことを意図した 罰」と定義しています。
日弁連意見書では、さらに、「子どもをけなし、辱め、侮辱し、身代わりに仕立て上げ、脅迫 し、こわがらせ、又は笑いものにすることを意図した罰のような体罰以外の残虐な又は品位を 傷つける形態をとる罰」と合わせて体罰等と定義しています」
パンフレット「子どもがすこやかに育つ、虐待のない社会を実現するために」(改訂版) (PDFファイル;1.9MB)からの引用です。
このパンフレット、すごくいいです!
カラーで見やすく、よくあるご質問に答えていて、納得しやすい。
「かつて体罰をした大人にも愛情はあった」とも書かれています。
体罰した人を全否定しているわけではないのです。
そのうえで、数々の研究から、現代では、「体罰は子どもの心身に影響が大きいことがわかったからやめよう」と、説明されています。
「1 子どもに対する体罰及びその他の残虐な又は品位を傷つける形態の罰(以下「体罰等」という。)は、家庭を含めあらゆる環境において、禁止されることを児童虐待防止法及び民法において明文化すべきである。併せて民法の懲戒権規定(民法822条)を削除すべきである。
2 文部科学省は、保護者、教育職員等子どもに関わる全ての者に対し、体罰等を禁止する意味や子どもの権利について意識啓発し、体罰等によらない非暴力的な養育方法や教育・指導方法を示し、継続的かつ効果的に、教育し、研修を行うべきである。
3 体罰等の被害を受けた子どもやそれを目撃した子ども等に対し、十分な配慮を行い、適切にケアをし、支援する制度を構築すべきである。」
「子どもの権利委員会 一般的意見8号(2006年) 体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利 (とくに第19条、第28条2項および第37条) 子どもの権利委員会 第42会期(ジュネーブ、2006年5月15日~6月2日)採択」より引用。
「体罰を使わなくて済むようになる」研修が必要だと明記されています。
研修、大切ですよね!
古いやり方をやめるためには、新しいやり方を学ぶ必要があります。
また、「体罰を目撃した子ども」にも「ケアをし、支援」するべきだと、そこまで書かれています。
暴力や、暴言、だれかの品位を傷つける行為は、
見ている他の子どもの心も傷つけるのです。
何重にも、危険です。
のび太が先生に怒られ、廊下に立たされているとき、
他の生徒たちも「もししかられるようなことをしたら、自分もあんなふうに立たされるんだな」と思って恐怖を覚えるでしょう。
恐怖による支配です。支配による恐怖政治になってしまいます。
また、「のび太君、つらそうだな。胸が痛むな」と悲しむ子もいるでしょう。
「のび太のやつ、廊下に立たされてらあ」と笑う子も、
「自分も、もし廊下に立たされたら、笑われるんだろうな」という恐れを心の中にうすうす、感じていると思います。あまり意識しなくても。
廊下に立たされているのび太自身も、「立たされて、はずかしいな。自分は、立たされたりして、ダメな人間だな」と思って、自信を失ったり、落ち込んだりするでしょう。
心理的にも、精神の健康にも、
いいことは1つもないような気がするのですが、どうでしょうか?
でも、ドラえもんを始め、古い作品には体罰のシーンが多いです。
昭和の時代は体罰や子どもをおどすしつけが多かったのです。
私もたくさんの体罰やおどしを受けて育ちました。
でも、今は令和です。
時代は変わってきています。
変えていきたいなあと心から思います。
ドラえもんなどの「廊下に立たせる」シーンや、
他のアニメ作品でも子どもに体罰をするシーンには、
画面の下に、テロップで
「よい大人は、まねしないでね」とか、
「これは当時の古いしつけでした。
現代ではよくないことがわかっているので、
やらないでください」というふうに
文章を流してほしいなと思っています。
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