おごそかなことに、地もまたうごく。
私どもは、思うことができる。この駅に立てば、台地のかなたに渚があったことを。
遠い光のなかで波がうちよせ、漁人(いさりびと)が網を打ち、浜の女らが藻塩を焼いていたことども。
秋の夜、森の上の星だけが、遙かな光年のなかで思い出している。
夏、駅舎の前の森の露草の花の青さにおどろくとき、またたきの間でも茅渟(ちぬ)の海を思いかさねてもらえまいか。
ひたにこのあたりまで満ちていたことを。
(後略)
大阪城公園駅のレリーフにある司馬遼太郎さんの一文です。
いいですなあ。
こんな文を書けたら、当ブログも格調高くあったものを。
というわけで、陽炎がゆらゆらと揺れたつ春の一日、大阪城に花見に遊んだのであった。
大阪城公園駅で降りると天守閣まで少し距離があるので、この電動汽車に乗るのがいい。
多くは歩き疲れた足の臭い年寄りが乗っているので、すれ違う時ほのかに酢こんぶのかほりがする。
冗談ですよ、冗談。
こちらは梅園。
うちつけに
云はば詩人に
梅似たり
五公を凌ぐ
花と聞けども
梅園の句会で与謝野晶子が詠んだ歌だそうです。
天守閣です。
臨場感を出すために、ちょっとづつ近付いていきますね。
到着。
大阪夏の陣で徳川方の大砲を撃ち込まれた天守は大揺れに揺れ、淀君は発狂寸前だったそうな。
ビビりまくったんでしょうね。
城内から堀をのぞみます。
どこもかしこも満開です。
天気もよくて、もう最高!
種類の違う桜もあるぞ。
こちらには頭が満開の人もおる。
おや、豊臣秀吉の像があるぞ。
うらうらと春爛漫な日で、歩いていても眠くなってくる。
つい歩き過ぎてベンチに座り込み、ポワーンとしているところです。
ただでさえ眠いのにこの後ビールを飲んだら夢遊病者みたいになってしまい、帰り道のことを所々覚えていません。
去年の花見は吉野の千本桜に行きましたが、一緒に行った連中が坂道に懲りたらしく今年は誰も行こうと言わん。
仕方なく大阪城に行ったようなことですが、なかなか良うござんした。
次はどこに行こうか。
奈良、大阪と続いたので、次は京都か。
京都は桜も紅葉も格が違うので、気合を入れて行かなきゃならん。
いい所があったら情報よろしく。