昨日ついに気になっていた『ドライブマイカー』見ました。ずっと見てみたいと思いながら放置していたのですが、友人たちが酷評しているのを聞いて、どんな作品なのか余計気になってきちゃって
日本の映画って独特の雰囲気を放ってるものが多いですよねドラマよりテンポが遅くて、そこ、そんなに尺取っちゃう?ってくらい同じシーンの映像が続いたり。この作品も例に漏れず。ただ、そういうザ・邦画な撮り方が逆に昨今のドラマたちからの距離、つまり個性を出してる気もしたかな。
あと、メインの登場人物が揃いも揃ってストレートに感情を表現しないタイプなので、言葉ではなくちょっとした表情や仕草で機微を表現しないといけなくて、今回キャスティングされた実力派俳優さんたちじゃないとこなせない作品だっただろうなと思いました最近のドラマは登場人物の感情をあからさまに表現しているものが多いけど、この作品は登場人物が自分の感情をうまく出せないキャラであるだけに、きっとこの人はこう感じているんだろうなというのを見る側に推測させ続けて、いつまでも答えを見せない。もしかしたら答えは一つじゃないのかなぁという奥行が出ていたように思います。そして、メインキャラクターを取り巻く人たちがこれまた違う意味でクセが強くて、地味に笑えます。個人的には演劇祭のプログラマーの女性が淡々としていて棒読みなのに笑顔、というとこにツボりました。相手がゴネようとも一歩も引かずたじろがず、あなたに与えられた選択肢は二つですね、なんて言っちゃう。ずばずば言ってるのに顔が笑顔って一番怖いですよね私の職業に活かしたら面白いんじゃないかしら、なんて想像しちゃいました
ドライブってホント多くを語りますよね。せっかちな人はせっかちな、感情的な人は感情的な、マイペースな人はマイペースな運転をするだからたとえ何も話さなくても、車の運転の仕方を見ていれば運転している人がどんな人か分かってしまう逆に言えば、言葉で取り繕っていたって運転の仕方を見れば本性は一目瞭然なんですよね家福悠介とドライバーのみさきも最初ほとんど言葉を交わさなかったのに、『ドライブ効果』で日に日に信頼関係が構築されていきましたね。言葉少ない会話の途中にチラッとバックミラーを見て相手の表情を確認して、後は空気感で察する。これぞ「空気を読む」日本人。こういう日本人の古き良き部分が出ていてくれてこそ我が国が誇る邦画ですよね。欧米の方がその繊細な部分を読み取ってくれるかどうかは別として
エンディングではみさきが悠介から譲り受けたであろう赤い車を運転している。何故か韓国で悠介は15年もの間ずっと大切に乗っていて最愛の妻との思い出も詰まった愛車を人生の同志であるみさきに譲ったってことでよろしいでしょうかね二人は広島からみさきの故郷の北海道までドライブした時に、「愛する人を見殺しにしたかもしれない」という共通の心の苦しみを分かち合いました。そして、親子ほどに年齢の隔たりはあるものの(実際、悠介の亡くなった娘が生きていたら、現在みさきと同じ23歳だったという設定になっています)いわば心の中で支え合う親友になったそういう存在ができた今、二人はこれからもずっと続くであろう長い道を、それぞれ自分らしい生き方で前に進んでいくことができるようになった、という感じなのでしょうか。以前はほとんど表情を変えず笑顔も見せることがなかったみさきが、ラストシーンで後部座席からヒョイと顔を出した飼い犬に頬を緩ませているシーンは印象的でしたあ、あと、みさきが韓国スーパーでポイポイと買い物かごに物を入れていくシーンも、なんだか昔のみさきにはなかった感じですよね。悠介と苦しみを共有したおかげで一つ壁を乗り越えて、前向きでエネルギーに溢れた自分になれた、というような隠れた演出だったのかなと。
ドラマや映画はエンディングが大事だと思うんですが、今作品は終わり方もまぁシンプルで分かりやすいのは良かったかな。何故韓国なのかは謎だけど、、ということで、総じて私の個人の感想は、、もう一度見たい映画というわけではなく、、かといって3時間が拷問だったという程でもない、なんだかよく分からない後味の作品でした。むしろ、西島秀俊さんと霧島れいかさんの演技力と雰囲気って独特でいいなーやっぱり自分らしい個性って大事だなーなんて、他のところで学びがありました💦