長編お話「東尾言語」の42 | 文学ing

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森本湧水(モリモトイズミ)の小説ブログです。

大学構内には本館に大講義室と小さな教室がいくつかあって、それ以外には文学部、工学部、教育学部のそれぞれの講堂が第一、第二とある。工学部には別に実験棟も建てられている。

図書館は独立した建物が一つと教育学部の二階に図書室があってこれは全ての学生が利用できる。学生証が貸し出しカードになっている。他にもゼミごとに細かい資料室があるんだけどそこは専門に勉強している学生しか入らない。

教養科目は割りとどの学部の生徒も自由に受けられるから各学部の学生が入り乱れて講義を受けている。
だから出席を取らない先生も多い。私は工学部の講座に紛れ込んで農業機械についての訳のわからない話を聞いたりした。

学食は本館の一階と教育学部の第二講堂に一つずつあって、教育学部の方にはサラダバーがついている。私は教育学部の学食にも行ってみた。
学生会館には購買部とカフェテリアがあって、カフェテリアではパンを中心にパスタ、カレー、グラタンなどの軽食を出す。それからコーヒーと紅茶とココアといろいろ飲み物。
カフェテリアはガラス張りになっていて私は通る度に中を覗いてみた。

購買部にはおかしやジュース、アイスクリームなどを売るスペースとノートやホッチキスなどの文具、そして書籍コーナー。大学の先生が書いた本はここで売られている。
新しい講義に必要なテキストは概ねここで買うことになる。それ以外は先生が手売りしにくる。

ゼミ旅行のためのチケットや宿を押さえるためのブースもあって旅行会社から出向している女の人がPCを操作していた。
私は目的なく購買部をうろうろしながら、結局缶コーヒーを一つ買った。

講義の全く無い日が週に一日、一つの日も週に一日だけあった。その講義は休講になることもあった。
私は用の無い日も学校に行った。私は大学の中を何処までも歩き回った。