悪いことをした人。これは当然、咎められるべきであるし、そもそも悪いことはしてはいけない。しかし、私はそれだけとは考えていない。むしろ悪いことができてしまう環境に問題があると思っている。
例えば、お店で万引きをするのは犯罪である。当然、万引きはしてはいけないし、その犯人が悪いに決まっている。しかし、私の理屈から言えば、万引きができてしまう環境を作り出しているお店にも問題があると考えているのだ。
お店の至る所に監視カメラがあり店内の様子や出入りする人の顔が完全に録画されている状態。顔認証システムなどが導入されていてもいいだろう。さらに、出入り口で熱センサーや万引き防止タグなどできっちり監視している。そもそも会員制にしてしまい、身元はおろか入出店記録や購入履歴が完全にわかる状態にする。そんなことも技術的には可能である。
このお店は100%万引きを発見します!
そんなお店があったとすれば、誰がそのお店で物を盗もうとするだろうか?難攻不落の要塞を落としてみたい!そんな怪盗ルパン的な変わり者以外、このお店から物を盗むことにチャレンジする者はいないだろう。
性善説と性悪説という考え方がある。私の考えは、どちらかと言えば性悪説に基づいた考え方と言えるだろう。防犯システムなどなくとも誰もが万引きをしない平和な世の中になることが望ましいのは当然だ。しかし、世の中から犯罪がなくならない以上、その理想郷は夢の中の世界と言えるだろう。
私は経営者である。だから、この理屈が会社経営の中にも当てはまると思っている。不正経理を行う者は悪いに決まっている。しかし、それ以上に不正経理が行える体制になっている会社がもっと悪いと考えている。サボっている部下を叱る上司。サボる部下は悪いに決まっているが、サボれる環境を与えている上司や会社にも責任があると言うことだ。
よく百貨店や地下鉄・JRなどでエスカレーターを見かける。不思議なもので片方にみんなが立ち、片方は空いている状態になっている。関東と関西で左右の立ち位置が異なるが、いずれにしても片側を空けている。通勤ラッシュの時間でさえもそんな光景を目にすることがあるから驚きだ。
どうやらエスカレーターは歩いていはいけない運用になっているらしい。だとすれば、何のために片方を空けているのか?これは日本人の気質が大きく関係していると思われる。
他人様に迷惑をかけてはいけない。歩いて登ってくる人と口論などになりトラブルに巻き込まれたくない。そんな想いが秘かにあるような気がしてならない。しかし、最大の理由はそんなことじゃないと思っている。
「みんなが空けているから自分も空けている」
単純に無言の同調圧力に屈しているだけのような気がしてならない。空いているから歩いて登る人が出てくる。歩いて登る人がいるから空けている。そんないたちごっこの繰り返しなのだろう。
いずれにせよ、エレベーターを歩いてはいけないルールになっているのであれば、そこを歩く人は悪いことをしている人と言える。しかし、私の理屈からすれば、エレベーターを歩いて登れる環境にしてしまっている会社や国がもっと悪いと考えてしまう。
本気でそれを禁止したいのであれば、エレベーターを歩いて登れる状態にしなければいい。すべてのエレベーターを1人用幅に変更してしまえば歩いて登りたくても登れなくなるのだから。
2人用幅のエレベーターを1レーン設置するのではなく、1人用幅のレーンを2本設置すればいい。勿論、お金や手間がかかることではある。現実的に可能かと言われればかなり難しいだろう。ただ、今後新設するであろうエレベーターに関してはそういう設計にすることは可能だろう。
結局、個人だろうが、会社だろうが、国だろうが、本気になって改善するつもりがあるかどうかにかかっていると思う。どこまで問題解決の優先順位が高いのか?ってことだろう。
まずは悪いことができない仕組みを構築することから考えるべきだ。今は、悪いことをしてはいけないという教育や道徳だけで問題解決をしようとしている。
悪いことができない環境づくり。もし、それが実現できたのなら悪いことをする人が圧倒的に少なくなるだろう。悪いことをしたくてもできない仕組みになっているんだから当然といえば当然である。しかし、悲しいかな、ゼロになることはないだろうけどね。
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