【器】

 

器を愛でるように人を愛でよ。

 

壊れぬように両手で大切に扱って、様々な角度から鑑賞し、物言わずともその佇まいから多くを受け取るまでに心でもって対話せよ。

 

大きくても小さくても、整っていても例え不格好でも、これと決めた一つを、いつも側に置いて慈しむ。

 

そうすることで、いつか気付けば、それが手放せない一品となっているから。

 

一人の人間を本当の意味で知るには、長い時間が必要だ。

 

人は誰しも多面体。

 

簡単じゃないから面白いし興味深い。

 

人を器に例えるならば、そこには内から放たれる美しさや趣、気付かなかった傷、個性や背景があり、作り手の込めた想いがある。

 

そんな一つ一つを丁寧に知る時間を、厭わず注ぐことができるかどうかが愛なのだ。

 

私もそんなふうに人を愛でたい。

 

浅瀬を渡り歩くようでなく、次第に深く潜っては裏側までもを見るように。

 

私は一体、どんな器だろうか。

 

小さいようで意外に丈夫で大容量、個性も強く扱いづらいが、次第に何とも言えない愛着が湧いて手放せない…。

 

誰かにとって、そんな実用性と存在感、愛嬌を兼ね備えた“逸品”になれたなら。

 

 

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