ヤブガラシを駆除するには | 中央園芸のブログ

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こんにちは、押田です。

皆さんはヤブガラシという草をご存知でしょうか?

植木屋さんや、農家、畑をやっている方、庭がある方なら、たぶん見たことがあると思います。

とても生育旺盛なブドウ科のつる性植物です。




ある、お客さんのお宅。

ツバキに巻きつく、「ヤブガラシ」。




高いところから見た「ヤブガラシ」の図。

樹木一面を覆う、とても「厄介な雑草」なのです。


5月から8月、9月。このヤブガラシの退治はとても労力のいる作業です。

しかも、7月頃には、小さな花がたくさん咲くため、スズメバチなどの蜂も集まります。


元々このヤブガラシは、長い地下茎があり、表面的に地上部のみを手で抜いても、また、芽を出します。


根っこごと全部抜き取れればいいのですが、地下茎が少しでも残ると必ず再び芽を出します。

そしてこの地下茎が長いこと長いこと・・・。


私も何度か重機で掘ったことがありますが、細い地下茎を辿ると、太い地下茎(本管)が姿を現します。

これをちぎれないように「そぉっ~と」抜くのですが、ほんの数センチ土の中に残れば、また必ずといっていいほど芽を出してきます。

本当に、強健なつる性の植物なのです。



ヤブガラシの元の写真。

おそらく太い地下茎から、この太さの芽がたくさん地上部に出ています。



地下茎で増える竹や笹と性質はとても似ていますが、

ヤブガラシの大きな特徴として、他の植物の根に絡みつきながら、地下茎を伸ばすこと。

そして、樹木の幹や枝に絡みつき、巻きつけながら上へ上へと伸びていく、という特徴があります。


このあたりが、とても厄介な雑草といわれるところなのです。



こんな手強い雑草「ヤブガラシ」を撃退するにはどうすれば良いか?

試しにネットで、「ヤブガラシ撃退、駆除」を検索してみます。


すると、

*とにかく抜いて抜いて、抜きまくる。根こそぎ抜く!

*抜いたら、食塩水をまく。(近くに大事な植物があるときは注意とのこと)

*除草剤(ラウンドアップ)をまく。除草剤を筆で塗る。除草剤の原液を浸ける!

 (ただし、近くに大事な植物があるときは注意!とのこと・・)。


とかが出てきます。


ほとんどは、根こそぎ抜く!


か、除草剤をうまく使えば・・・


という答えになるのですが、先程も書きましたが、ほかの植物に絡んでいくため、除草剤はなかなか使いにくいところだと思います。もちろん自分は除草剤は使いませんが・・。


私の植木畑もこのヤブガラシには毎年悩まされていました。

数ヶ月畑を放置していると、まさに「藪を枯らす」かのごとく、ヤブガラシの天下となってしまいます。



しかしながら、農薬を使わずに、簡単にヤブガラシを駆除する方法がわかったのです!




それは、今年6月8日に国立市「やぼろじ」で行われた、矢野智徳さんの「大地の再生講座」での一コマ。

下草の風通しを良くする方法を矢野さんが指導していた時。

そこにヤブガラシがありました。


「この草は、とても素直な草。役目を終えたと思えれば、必ず姿を消してくれます・・・」

といって、矢野さんはくるくるとヤブガラシを丸く束ねて、地面に置きました。


これでヤブガラシは無くなる、というのです。



そもそもヤブガラシとは何なのか。

自然界において、無駄なものは一切ない。

ヤブガラシが生える、何か理由、意味があるはずです。


自分もヤブカラシの気持ちになって、数日間考えてみました・・・。


例えば、ヤブガラシの他にもとても厄介な雑草として、スギナがあります。




とある農道。


おそらく農家の方が、草を絶やしたいため、道路と水路の間に除草剤を撒きました。

稲の近くは、除草剤は遠慮したのでしょうか。


ほぼ草は枯れました。


しかし、スギナが芽を出しています。




スギナは強いですね、ものすごい生命力です。


「根まで枯らす!除草剤」とかを
を撒いたと思うのですが、スギナはまた出てくるんです。
なかなか、絶えないんです。




自然栽培 Vol3より、引用します。

広島に原爆が落とされた1945年。

大量の放射能を浴び、広島の地は焦土と化しました。


「今後70年は植物が生えることはないだろう。」



しかし、翌1946年、たくましい雑草たちが芽を出しました。

スギナ、タンポポ、ハコベ、ナズナ、ヨモギ、オオバコ、スミレ・・・

いわゆる、どこにでもある雑草たちです。

地上部は焼き焦がされても、強健な地下茎、根の部分が残り、再び芽を出したという訳です。







いわゆる雑草といわれる中でもスギナは特に強健です。

除草剤もかなりの高濃度で撒かないと枯れないと思います。


私も以前は、除草剤、消毒などの農薬を使っていましたが、今はほとんど使わなくなりました。

植物や虫を殺す薬ですから、人間にとってもいいわけはありません。
除草剤の恐ろしさはここでは控えます。


でも除草剤をいくら撒いても、また草は出てくるんです。

なぜなら、大地を再生するためだからです。


先程の広島の草たちは、表面的、平面的に大地を再生する役目。

そして、ヤブガラシは立体的、縦方向に大地を再生する役目があるのでは、

と私は推測しています。


おそらく広島でも、ヤブガラシは枯れた木々やフェンス、ポールのようなものに巻き付き、焼け焦がれた広島の大地を立体的に緑で覆い尽くしていったのだと思います。


そう考えると、ヤブガラシは荒れた土地や、何度も何度も掘り返す畑など、大地が安定していないところにに良く生えているように思います。


話しを元に戻しますが、

矢野さんのヤブガラシの話しを聞いて、早速自分もやってみました。




会社圃場、ヒサカキに絡みつくヤブガラシです。




アップの図。

畑でよく見る光景ですね。




このヤブガラシを切らずに木から解くんです。

伸ばしてみると、2.5mほどありました。

普通は、このまま手で抜いてしまうと思います。





それをくるくると巻き、そっと地面に置くんです。

それはまさに頭に巻く王冠のように!


そして、心の中でつぶやくんです・・。

「もうお前の役目はここでは終わったよ・・・。もういいんだよ。」


これで、ヤブガラシはいなくなるんです。本当か!



私は夏場からいくつか実験してみましたので、紹介します。





梅雨の真っ只中、7月2日。

雨の中、高さが5mほどのシラカシの株立ちに巻きつく、ヤブガラシ。

なかなかの大物が見つかりました。


今までなら、根っこの近くを掴み、抜いていました。





でも、今回はつるを切れないようにシラカシから解き、くるくると巻きつけ、そっと置く。

そして、

「もう大丈夫だ、お前の役目は終わったよ・・・。」

と、心の中でつぶやきました。






そして、お盆明け、8月24日、このシラカシのところへ行って見ました。








おお、すごい!

なんだか、役目を終えた感じになっています。




9月9日。救急の日。ヤブガラシにとってはSOSです。

ほとんど黒くなってしまいました。




9月23日。

ほとんど水分がなくなって、もうカッサカサです。

地下茎のほうも、徐々に枯れていっているようです。
すごい結果がでました。




もう一箇所。8月20日。自宅のナンテンの木に巻きつく、ヤブガラシ。


アップの図。


これをくるくると巻き、そっと大地に置く。



20日後の、 9月9日。


そして、約1ヶ月後の9月23日。


徐々に黒ずんでいく様子がわかります。
この後、どこまで地下茎が絶えるかは、今後も様子を見ていきたいと思います。

ついでにもう一箇所。


あるお客さんの家の植木まわり。
強力なヤブガラシがこちらにも。長さは4~5mくらいはあったでしょうか。
こちらも大物です。
8月20日。

約1ヶ月後の 9月15日。勢いが衰えました。








こんな平らな草地にもヤブガラシはあるんです。
ここは、昨年からうちの会社で管理しているのですが、
今年の夏場から風の草刈を繰り返しています。

風の草刈とは、
地際(地面すれすれ)ではなく、草が風になびくところ(地上から20cmくらい)で刈る、ことです。
この刈りかたによって草は生育が安定する、という矢野さんのやり方です。

ここの土壌は固く、あまりよくないのですが、数十年間、このような草地であったようです。
草は毎年よく伸びますが、この場所はこの場所で大地は安定している状態だと思います。


この横の植木場にヤブガラシが大量にはびこる地帯があるんです。
おそらく、そこの地下茎から伸びたヤブガラシ。

ヤブガラシは他の植物の根を伝い、幹や枝に絡みながら立ち上がってこそ、勢いを増すつる性植物。
絡みつくものがないところでは、徐々に衰退していきます。
このようなところに生息するヤブガラシは次第に、ほかの草に場所を譲り、役目を終えていくわけです。

本当に自然というのはよくできています。

ついでにもう一つの実験です。


ヤブガラシが2本出ているところがありました。

1本はくるくると巻きつけ、もう1本は試しに切ってみることに。

8月24日です。



左のほうは、くるくると巻きつけ、右のほうは、切りました。
これがどうなるのか?



9日後の9月2日。

切られたほうは、もう芽を出し始めました。すごい生命力です!




9月15日。

数十センチ、芽が立ち上がりました。

こうやってヤブガラシは再び木々に巻きついていくのです。
だから、地上部のみをいくら抜いても、また何度も何度も復活してくる訳なのです。
しかも、地下茎(根)は年々成長し、太くなっていくので、立ち上がるツルも年を追うごとに勢いを増していきます。 

しかし、もう一方のほうは、だんだん元気がなくなってきました。
 
以上ですが、如何でしょうか?

正直まだまだ実験段階ですが、このやり方はすごいと思います。
最初は半信半疑でしたが、見事に結果も出てきました。

この後、枯れていった地下茎がどこまで絶えていくのか、
様子を見守っていきたいと思います。


今まで「厄介な雑草」として目の敵にされてきたヤブガラシですが、ただツルをくるくると巻きつけ地面に置くだけで、退治できれば本当に画期的な方法だと思います。

たまに、地面に置いたくるくる巻いたヤブガラシの脇芽が立ち上がり、再びツルが伸びることがあります。
そんな時は、再度くるくるしてあげると、勢いがなくなってくると思います。

水脈、気脈、風の剪定、風の草刈に続く、またしても地球の庭師、矢野智徳さんの手法。
本当に驚きました。

矢野さんの講座は、全国各地で随時開かれていますので、是非チェックしてみて下さい。

https://www.facebook.com/events/635542419944766/



この矢野さんのやり方は、自然の力を強引に制圧したり、排除するのではありません。
うまく草の勢いを受け流し、力をいなしていく。
日本には建築や武道の世界でも、力をまとも正面から受けずに、力を削ぐ、という方法がありました。
植物の世界でも同じようなことが言えるのかと思います。

今回のブログのタイトルも「ヤブガラシを駆除」と書きましたが、
駆除や撃退というのは、ちょっと乱暴な言い方です。
役目を終えてもらう、というほうが合っているのかもしれません。

ヤブガラシの役目が終われば、また違った草が生えてきます。
しかしそれは、大地の再生が次の段階(レベル)に入ったということ。
次にその土地にとって必要な草が生えてくるというわけです。
自然にとって無駄なものは一つもありません。
すべては、自然からのメッセージ、何かしらの意味を持って存在しています。
そんなことを理解している人は、雑草なんて言い方はしません。
生えてくる草を受け入れることができれば、
人と自然とが本当にうまく共存できるようになるのだとと思います・・・。

なぜこの草が生えてきたのか、なぜ生えているのか。
大雨の時も土壌が流されずに持ちこたえてくれるのは、草や樹木の根っこのおかげです。

そんな草の働き、意味も理解していきたいですね。