芝生の駐車場 2件目の施工 | 中央園芸のブログ

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こんばんは、押田です。

群馬県H宅の庭づくりで,熊谷 松本材木店に続き、再び芝生の駐車場を施工しました。



庭の全体の面積は幅が3m、奥行きが15mほど。

この敷地の中に、ウッドデッキ、ウッドフェンスができる。そして手前の砂利の部分が車1台分の駐車スペースとなります。




ウッドデッキ、ウッドフェンスが完成し、まずは、木を植えます。

1本目はジューンベリー。

2階からも手が届きそうな、大きなジューンベリーです。




部屋の中から見て、森のようにしたい・・・。


隣地の目隠しや、木陰のデッキなど、限られたスペースですが、木々を植えていきます。

デッキ前の西日除けはコナラ。高さは5mほどはあるでしょうか。

他にも、アオダモ、アオハダ、モミジ・・・。

下枝が少なく樹高の高い雑木類を続けて植えこみます。




一番狭いところでは、デッキとウッドフェンスの幅は2m足らず。

広いとは言えない空間ですが、下枝の少ない雑木だから、何とか木を植えることが可能です。


一輪車を置くと、その広さが実感できます。




ということで、植栽工事は一段落し、いよいよ芝生の駐車場の施工に取り掛かります。


最初、設計の段階では、ここは化粧砂利の駐車場でしたが、前回の熊谷での芝生の駐車場のブログをみたHさんが、「ここも芝生の駐車場にしてみたい」ということになりました。


普段は、車庫の中に奥様の車と、この砂利のスペースに旦那さんの車が停められています。

2台が出入りするので、前回よりも芝生にとっては過酷な条件かもしれません。


しかしながら、ここが芝生だったら・・・と想像すると、このような狭スペースの庭では、この駐車場はとても大事な空間となります。


ということで、「もしダメだったら、砂利の駐車場に戻しますから・・・」

という条件で、今回、2件目の芝生の駐車場の工事をすることになりました。




施工方法を公開します。


私の考える芝生の駐車場のポイントは3つ


*車の重量に耐えられる強度

*雨が降った時の水はけ

*芝生や樹木の根が張れる、土壌環境


だと思います。


そして、土壌を大幅に入れ替えたりするのではなく、

できるだけ既存の土壌を生かしながら施工することが大事だと考えています。


既存の表土は、RC砕石が10cmほどありました。

とても固いRC砕石の層を打ち破ると、その下は、柔らかい既存の土壌が出てきました。

そして、適度に砕石もある。


今回は、この土壌を生かしていくことにしました。




RC砕石は多少漉き取りましたが、既存の土壌を重機を使いしっかりと耕します。

空気が入ると土は生き返ります。




外周は、透水管を通し、地中の空気と水を動かします。水はけの改善です。

また、自然に水が動くように、地形的にも多少の勾配を取ります。




植物の根っこはたくさんの雨水を吸います。

健全な森が大雨でも土砂崩れを起こさないのは、ふかふかの土壌や根っこの力によるものです。

そのため、駐車場の四隅には、できる限り木を植えます。

樹木の根が駐車場を支え、雨水を吸います。


透水管の上は、有機物である木の枝、炭などを敷き、芝生や樹木の根が伸びやすい状況をつくります。

そして数年後、植物の根がこの水脈(透水管)に絡み、永続的な水はけの良さを実現していきます。





水はけの急所となる、コーナー部分は、縦穴を掘ります。


ここも木の枝、竹、炭などを混ぜ、樹木や芝の根の侵入を促していきます。

縦穴の深さは、柔らかい土が出れば、そこまでで十分です。

ここでは、40~50cmほど、ここから付近の川へと、地下水脈を通じて、流れていきます。




攪拌した土壌だけでは、いずれ固く締まりすぎてしまい、水はけや樹木の根の侵入に支障がでます。

炭、ウッドチップなどを混ぜ、芝や樹木の根が伸びやすい状態にします。




そして、重機で整地をします。



次に、さらに水はけをよくするために砂の層をつくります。

粗砂を3cmくらい敷き、竹炭、ウッドチップを投入、また、強度を出すために瓦チップも混ぜこみます。




ということで、下地の完成です。

前日に雨が降りましたが、水はけは良好でした。




そして、芝張りの作業です。




そして完成です!


駐車場としての強度、

雨が降った時の水はけ、

そして、芝や樹木の根が伸びやすい土壌環境・・・


芝生の駐車場というのは、いろいろと施工方法はあるかと思いますが、

この3つの条件を兼ね備えていないと、おそらく一時的なものになってしまう可能性があります。




完成後、1トン車を駐車してみましたが、問題なし。

子供たちも芝生の駐車場に興味深々、家から出てきました。







限られたスペースの中でいかに快適に暮らせるか。

家の中も大事ですが、家の外、木々の力、植物の力を借りずして、快適な暮らしは実現できません。


こちらも山砂の園路には、樹木の根が伸びやすいように、ウッドチップや炭、木の枝などを混ぜ込んであります。


そして、植栽の仕上げは落ち葉を敷き詰めました。





梅雨が明ければ耐えきれないような猛暑がやってきます。

駐車場が芝生になることで、夏の暑さは多少なりとも緩和してくれるだろうし、

雨水も自宅内で処理をする。


穴を掘って砂利を入れ、そこに雨水を集めても、処理をするには限界があります。

やはり木々や植物の力を借りることによって、その能力は無尽蔵に変わります。

そして、何より植物と共に暮らすことは、心地よく美しい。


優れた機能を持つものは、やはり美しい、

芝生の駐車場の施工方法は今後も研究し、随時公開していきます。


夏の暑さを和らげ、大雨にも強く、そして美しい


もっともっとこの芝生の駐車場を広めていきたいと思います!