またまたかなり久しぶりの投稿です…
2022年は引っ越しや保護猫たちの治療など色々と重なりましてあっという間でした
ようやく我が家の保護猫たちの治療も落ち着いてきたので、
2018年から今までに経験した、
「保護猫たちの病気の治療ケース」をブログに記録していきたいと思います。
同じ病気を治療中の猫さんや、
今は元気でも猫さんはこんな病気になることもあるんだ!!と、
参考にしていただけたら幸いです
あくまでも治療例なので参考程度になってしまいますが、
どうぞよろしくお願いいたします
猫の慢性腎不全について
はい、どーんとタイトル載せましたが、
猫にとって一番身近にある病気といえばこちらではないでしょうか
実は15歳以上の猫は81%が慢性腎不全(慢性腎臓病)であるという報告があるほど、とってもとっても猫に身近であり、
ぜひとも猫飼いの方には知っていてほしい病気になります。
昨年、我が家で一時的にお世話していた猫Yちゃんが慢性腎不全と判明して、
Yちゃんの治療をしながら、別の猫Mちゃんが急性腎不全に2回もなり、
慢性腎不全の子と急性腎不全の子と同時にお世話をするという
なんとも”猫の腎臓病”についてすごく考えさせられた年となりました。
(急性腎不全の話は長くなるのでまた改めて別の記事で…)
慢性腎不全の原因は様々ですが、
腎臓がダメージを受けて十分に機能しなくなる状態を「腎不全」といい、
これが長期間続くと慢性腎不全(慢性腎臓病)と診断されます。
血液検査、エコー検査などを行い、
IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)が推奨している、
IRIS腎臓病ステージングによるステージ分類をして
治療の方針を決めていきます。
そこで注目してほしいのは、
「ステージ1」は初期症状が全く見られないということ!!
慢性腎不全の症状でみられる「多飲多尿」
「なんかたくさんお水飲んでるな~」
「なんかおしっこの回数増えたかな」
「おしっこの色が薄くなったかな」
という目に見えてわかるものが表れた時は、すでに「ステージ2」の状態で、
その時には腎臓機能は1/3まで低下しているのです。
元気や食欲はあるので、気が付いた時には腎臓が悪くなってしまっていたということが多いです。
そしてなんと!
悪くなった腎臓は元には戻りません…
そのため事前に病気についての知識を身に着けていただき、
どうしたら悪くなる前に病気に気が付けるかを
実際に身近であった、慢性腎不全の猫たちの治療ケースを通じて
知っていただけたらと思います。
↑おしっこの色の違い
ケース① Yちゃん7歳♀
7歳で多飲・多尿に気が付き、すぐに病院へ受診。慢性腎不全ステージ2の後ろの方(2~3)との診断を受けました。
1回目血液検査結果
BUN(血中尿素窒素)54.5(基準値は17.6~32.8)
クレアチニン2.66(基準値は0.8~1.8)
エコーの結果
右の腎臓がかなり萎縮してしまっており、ほとんど機能していない状態
左の腎臓は萎縮はなんとか大丈夫な大きさで機能している
ラプロスとアゾディルを30日分処方してもらい、食事は療法食(ロイカナ腎臓サポート)へ変更
(ラプロスは1日朝晩の2回、アゾディルは体重が少ない猫だったため1日1回の投与)
※ラプロスは2017年に新しく販売された猫の慢性腎臓治療薬です。
今まであった腎臓のお薬とは違った方法で、腎臓機能低下の抑制や臨床症状の改善といった踏み込んだ効能効果で認可を得ています。
※アゾディルは善玉菌を生きたまま腸に届かせて、身体に溜まった老廃物を分解してくれるサプリメントです。食欲増進の効果もあるそうです。
その後1か月後おきに血液検査をしました。
2回目血液検査の結果
BUN(血中尿素窒素)43.8(基準値は17.6~32.8)
クレアチニン2.48(基準値は0.8~1.8)
3回目血液検査の結果
BUN(血中尿素窒素)44.7(基準値は17.6~32.8)
クレアチニン2.64(基準値は0.8~1.8)
4回目血液検査の結果
BUN(血中尿素窒素)38.8(基準値は17.6~32.8)
クレアチニン2.84(基準値は0.8~1.8)
お薬とサプリが効いて、数値が少しずつ下がり基準値へ近づきました!
数値は完全的に基準値内にはなりそうにないのですが安定しておりまして、
今は大体2か月おきに血液検査をして様子をみています。
療法食はドライササミのトッピングをすると喜んで食べてくれて、体重も増えていきました
けっして良い状況ではありませんが、悪いながらもこれ以上悪化させないように、
投薬を続けていき体調が保てている状況です。
治療費
月1で受診した場合(血液検査、薬とサプリ30日分の処方)でおおよそ2万5千円ほどです。
2か月に1回の受診ではおおよそ4万円。
腎臓サポートの療法食も食べていて、この状態がずっと続きます。
ケース② Sちゃん7歳♀
5歳の時にワクチン接種で病院へ行き、少しおしっこが薄かったため念のため健康診断コース
(血液検査、胸部X線、エコー、尿検査)を行ったところ、慢性腎不全ステージ1~2の初期と診断を受けました。
血液検査 BUN(血中尿素窒素)36.1(基準値は17.6~32.8)
クレアチニン2.22(基準値は0.8~1.8)
エコーの結果 腎臓の萎縮はなし
ラプロスを処方を25日分処方してもらい、食事を食事は療法食(ロイカナ腎臓サポート)へ変更
(ラプロスは1日朝晩の2回)
20日後に2回目の血液検査 正常値に戻っていました
その後も念のためラプロスを2か月分処方して、
2か月後に3回目の血液検査も正常値で安定していました
ラプロスを一旦やめてみることに(療法食は継続)
さらに1か月半後に4回目の血液検査
投薬なしで正常値で安定していました!良かったー
その後は引き続き投薬なしの療法食のみで、3か月ごとに受診をして様子をみており、
次は6か月後の受診予定となっています。
治療費
1回目の受診(血液検査、薬20日分の処方)でおおよそ1万5千円ほど。
2回目の受診(血液検査、薬2か月分処方)がおおよそ2万3千円ほど。
投薬無しで血液検査(場合によってはエコーや尿検査もして)を3か月に一度してそちらが4~6千円ほど。
腎臓サポートの療法食は継続していますが、投薬は必要ない状態を保てています。
ケース①とケース②の比較(まとめ)
両者ともにご飯が腎臓サポートの療法食に切り替わったのは同じですが、
<ケース①>では症状としては多飲・多尿がのみでしたが、片方の腎機能がなくなっており、
毎月受診をしてお薬とサプリを飲み続けることになりました…。
血液検査の結果は正常値ではないものの、安定はしている状況です。
もしも気が付くのがさらに遅れた場合は、老廃物が尿から排出されず血液中に蓄積されて、
食欲不振の症状があらわれて体重減少
末期は尿毒症となり、ひどい口臭、口の中の潰瘍、吐血、浅く速い呼吸、痙攣など起こし命を落とすことに…。
今回は一時的にこのYちゃんを我が家でお世話をすることになり、お世話スタート直後に多飲多尿に気が付きました。
体重が減る前に病気を発見できたことはまだ救いでした…。
<ケース②>では腎機能に問題もなく、投薬なしで正常な数値を保てています。
病院へは6か月ごとに受診をして検査を受けている状況です。
治療費の差としては通院頻度とお薬&サプリの有無でかなり違いがあらわれました。
現在の医療費を月換算とすると、
ケース①は月2万円くらい
ケース②は月2千円くらい
とおよそ10倍の違いとなりました。
(あくまでも1例として載せています)
2つのケースの違いは病気の発見のスピードにあります…
悪くなった腎臓は元には戻せないため、いかに早く病気に気が付けるかがポイントとなります。
最初に述べたとおり、ステージ1では初期症状がありません
そんな中どうやったら気が付けるかですが、
定期的な血液検査・エコー・尿検査など健康診断を必ず受けること
7歳頃から腎機能が低下しやすくなるため、その前の4~6歳くらいから受けておくと安心です。
日頃からおトイレの様子(おしっこやうんちの回数、色、臭い、量など)を
把握し、体重・運動量・飲水量なども普段と違った様子があればすぐに受診をすること
↑トイレの管理はAI機能付きのものが便利です。体重も測れるよ~
この2点が重要になります
また、慢性腎不全の「予防方法」はあるのでしょうか…
慢性腎不全になるかどうかは体質的な問題もありますが、
慢性腎不全にならないために日頃から気を付けることは出来ると思います!
食事に気を付ける(年齢に合わせて腎臓に負担のかかりにくい食事を選ぶ)
飲水に気を付ける(たくさん水を飲めるように、お水の交換をこまめにしたり、
お部屋の色んな場所に置いたり、シニアになったらウェットフードを取り入れたりなど)
トイレを清潔に保つ(菌の繁殖を防ぐのと排泄を我慢させないことが大事!)
また、近年は慢性腎不全と腸内環境の関係性が注目されています
猫たちに有効な乳酸菌(フェカリス菌など)のサプリで腸内環境を
整えてあげることが予防につながると思い、うちの子も「腸活」はじめました
健康で長生きしてほしいな~と自分自身の健康のこと以上に猫のことを考える毎日です
最後に
時々「うちの子は病気知らずで…」という言葉を耳にします。
でもそれって本当でしょうか…。
もしかして、飼い主さんが病気に気が付いていないだけということはないでしょうか…
猫ちゃんも大事な家族の一員です。
大事なおうちの子を守れるのは飼い主さんだけです
慢性腎不全(慢性腎臓病)は7歳、8歳くらいから増えるといいますが、
4~5歳で発症する子も実は多くて、稀に1~2歳で腎臓が悪くなる子もいます。
猫飼いにとっては決して"他人事"ではありません…。
猫さんの病気の中には検査をしてもみつかりにくいものも、もちろんあります。
でも、日頃の様子をきちんと把握し定期的に検査を受けることで
病気の早期発見、進行を遅らせることができます。
どうか「うちの子はまだ若いし…」と油断せず、
日頃から健康診断を受けること、
自宅での健康状態の把握を心がけるようにしていただけたら嬉しいです
(我が家のごま味は3歳の時にモノリスの血液検査、4歳の時と5歳半のタイミングで血液検査やエコーやレントゲンなどフルセットの"にゃんにゃんドッグ"を受けました)
今回は猫にとって身近な慢性腎不全(慢性腎臓病)についてのケースを書かせていただきました。
また時間のある時に他の治療例も載せたいと思います
もしも参考になりましたらブログのフォロー応援していただけたら頑張れます~!
よろしくお願いいたします
次回は急性腎不全と尿石症のお話ですー
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