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アメリカでは近年、「大麻はアルコールほど危険ではない」と公言したオバマ米大統領を­筆頭に、大麻の社会的受け入れ体制が強まっている。2013年にはコロラド州・ワシン­トン州で嗜好品として合法化され、そのほか多くの州で嗜好/医療目的の大麻規制を許容­する動きが。その一方、ここ日本では今なお「ダメ、絶対!」のスローガンの下、厳罰の­括りにある大麻。

これまで大麻の主成分として認知されていたのは精神面に影響を与えるとされる「THC­」(テトラヒドロカンナビノール)だが、近年注目を集め始めたのが別の成分「CBD」­(カンナビジオール)だ。「CBD」は「THC」と異なり、精神を活性化させる効果(­いわゆる〝ハイ〟)が一切なく、医療分野での活躍が期待されている。

日本の厳しい大麻取締法においても「CBD」を規制する項目はなく、そのため個人輸入­が少しずつ始まっている。VICEは今回、CBDオイルを摂取し始めてから症状が劇的­に回復した末期がん患者の女性、そして生後10週間から難知性てんかんに苦しみ、3歳­という若さにして脳外科手術を経験した少女を密着取材。

日本史における医療大麻の1ページが、今ここに刻まれる——。




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ケース1「発達障害を持つ少女」

滋賀県に住む遠藤久美子さん、知輝さん。そしてその愛娘、結愛(ゆあ)ちゃん。取材を行なった2月当時、3歳10ヶ月。この世に生まれてきてまもないが、「CDKL5遺伝子変異症候群による難治性てんかん」という病と闘っている。これは、日本国内でこの診断を受けた人が10名しかいないほど珍しい病気だ。そのため、難病にも特定疾患にも指定されておらず、関連した情報も少ない。

最初の発作は生後3週間目のことだった。てんかん発作が1日7回程度、起こるように。それが発達を妨げるらしく、発達と後退を繰り返し、重度の精神・運動発達障害を抱えてしまった。発達レベルはまだ6ヵ月レベル。首も座っていないため、1人座りもできない。



脳外科手術後にも挑んだ結愛ちゃん。頭部に手術の跡が見られる




結愛ちゃんがこれまでに挑んだ治療は、どれも身体の負担が大きいものだ。首を通る神経に電流を流すコルクを巻き付け、脳に電気信号を送る「迷走神経刺激術」。右左脳の間にある脳梁を離断する脳外科手術「脳梁離断術」。そしてホルモン注射――。涙ぐましい努力の甲斐も虚しく、どれも効果は見られなかった。


家族が最後の望みをかけた「CBDオイル」


「最後の手段。ここまできたら、試せるものは全て試してあげたい」。結愛ちゃんを愛おしそうに見つめる知輝さん。久美子さんが語る。「結愛が元気になったら、海外行きたい」「どこ?」「えっと……」目を輝かせてこれからの夢を語り始めた久美子さんを、結愛ちゃんの発作がさえぎる。一瞬にして、久美子さんの表情が曇った。

てんかん発作を初めて目にする私にはまるで気づかないほど、かすかな発作……。10秒ほどして治まると、それまで元気そうに手足をバタつかせて結愛ちゃんが、グッタリしてしまった。

「発作があるたび、後退してしまう。コミュニケーションが取れているのかも分からない。目の前で手をパンッと打っても目を閉じないから、もしかしたら私たちのこと、見えてさえいないのかも。発作に苦しむ姿を見るのは辛いけれど、いまはそれ以上に発達障害が心配で……」



実は結愛ちゃん、この取材中に初めて「CBD」オイルを口にした。不安げに見守る大人たちをよそに、結愛ちゃんは吐き出すこともなかった。緊張の糸も解け、一同に安堵のため息がこぼれた。


そして表れた「CBD」効果

それから数ヵ月後――。久美子さんから嬉しい知らせが。久美子さんから許可をもらったので、その内容をここにそのまま一部抜粋して掲載したい。

2014年3月27日

結愛の様子ですが、3月8日の夜からオイルを15滴に増やしました。

発作はまだあるのですが、若干ましになった様な…確実にCBDオイルの効果と言い切るにはまだ早いので、まだ様子をみているところですが

変わった!と言えるのは、

有香さん達に出会ったあの日に比べてとても元気にコロンコロン動き回っています。活動的になったのは、CBDオイルを摂取してからです。




2014年4月6日

嬉しい報告があります!

4月3日の夜からは、今まで15滴だったのを、30滴に増量して試しています。

それから、効果を実感しています!!

発作自体も軽くなり、回数も減りました!!

いい表情をする事も増え、よく動いています。


遠藤夫妻から送られてきた1枚。「CBD」摂取後、結愛ちゃんの症状は軽くなりつつあるとのこと



実際、送られてきた写真を見ると別人のようだ。取材時にはうつろな目をしていたのが、今はシャキッとしている。まるで今まで長い眠りに就いていたのが、覚醒したかのよう。現在、遠藤夫婦は「CBD」が持つ可能性に更なる期待をかけ、アメリカ訪問を計画している。