以前にも炉開きのことを書いたような気がしますが、新しいことを覚えたので御披露を^-^

 つい最近、教えていただいたのですが「何故、玄猪(亥の月・亥の日)なのか?」ということは今までよく解りませんでした。

 今日では茶道における五行の浸透はかなり根深く、これは特に「南方録」の影響であるとされてはいますが、日本の古代より五行は深く生活に根差していました。

 ここでは深く触れませんが、今度テーマにしてもいいかな?とは思っています。

 さて、炉開き、アナタの流派ではいつされますか?

 現代では新暦10月に開け始めるところや、昔からの風習で旧暦十月の上亥の日(玄猪)に開けるところ、新暦11月に開けるなど様々かと思います。

 実はこの亥の日って二回あるのを御存知ですか?
 亥の日というのは、十二支ですから、一周が十二日です。一か月は29~30日ですから、二周は必ずまわります。

 つまり、旧暦十月の亥の日は二回あったのです。


 江戸時代、武家を憚るということをした町人たちは、上亥の日ではなく下亥の日に炉開きをしたといわれています。

 つまり、今年ですと11月17日が下亥の日となります。
 武家茶と町人茶の違いと捉えると面白いですね^^

 で、肝腎の何故亥の月亥の日なのか?ですが……

 亥の月というのは、実は十二支では最後の月です。あれれ?十月なのに最後の月なの?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、そうなんですね。子の月は十一月。これは古代支那王朝の歳首が十一月だったことに因みます。

 十干十二支というのは、商王朝の頃からのもので、太陽が10個あり、毎日違う太陽が昇ると考えられていました。このことから、一か月を三つに分け、上旬、中旬、下旬と呼びました。そう、旬は「太陽が一回りする単位」だったんですね。甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸が十干です。これと十二支が結びついて、十干十二支の暦が生まれます。

 十干は五行の倍で、木・火・土・金・水が二廻りします。「きのえ」「きのと」なんて聞いたことがありませんか?あれです。ちなみに、甲が「きのえ」、乙が「きのと」です。
 甲・乙=木、丙・丁=火、戊・己=土、庚・辛=金、壬・癸=水となります。

 ちなみに、今年の11月5日は乙亥、11月17日は丁亥です。
 乙亥・丙子・丁丑・戊寅・己卯・庚辰・辛巳・壬午・癸未・甲申・乙酉・丙戌・丁亥と、干支はそれぞれ進むため、六十日で一巡となります。

 乙はきのとで「木」の「陰」。亥は「水」で「陰」です。
 丁はひのとで「火」の「陰」。亥は「水」で「陰」です。

 どちらも陰の重なる日であり、水は火に克つと言われる日であるため、炉開きの験担ぎに用いられたものではないでしょうか。

 こうした昔からの風習も、少しずつ読み解くと面白いかと思います。