東京都北多摩郡。
1歳から新築の住宅公団団地に住み始めます。
3歳の頃の古い記憶があるのですが、それは絵本をめくっている場面です。
きっと春先の陽だまりのような暖かい環境にいたのです。
そう、身体が覚えています。
そして集団生活が待っています。
幼稚園は面接の最中、椅子の上から素早く脱走しようとしたのですが、すぐに捕まりました(笑)
ごく普通の園なので、そんな子供でも入れてもらえました。
列に並ぶとか、みんなと一緒にお遊戯なんてダメ。
一人で勝手なことばかりして怒られてました。^^
学芸会ではアドリブを利かせ、舞台の上で他の子とわざとぶつかって笑いを誘って見せたり、運動会の徒競走で1等になって得意になるなど、結構目立ちたがりでした。
身体はあまり丈夫でなく、ひと月のうち一週間は休んでいました。
本当は幼稚園に行くより家で絵本を読んだりテレビを見ている方が、ずっと好きなのです。
ただ、しばしば夜中に喘息の発作が訪れ、横になって寝ることがでません。
気管支拡張剤が頼りなのですが、当時のものは心臓への負担が大きく、そして数時間ごとにしか使えません。
薬の効きが切れた後は、また発作に耐える時間が明け方まで続きました。
死ぬのではないかという怖さを覚えたのが、この頃でしょう。
都心の大学病院へ隔週で通いましたが効果はありませんでした。
この頃は家の中で一人で遊ぶのが好きで、特に本の虫。
同じ本を隅々まで何度となく読むので、韋編三絶。
製本がバラバラになり、それをテープで修復してもらい、またバラバラになりの繰り返しでした。
地図や漢字に興味を持ち出しました。
地図上の読めない漢字を解明するために国鉄の時刻表を使って照らし合わせているうちに、全国あちこちの地名や駅名が覚えられて、ちょっとしたマニアになってしまいました。
そして、覚えた文字や地図を紙にびっしり書きだして貯めこんで行ったのです。
ただ、母はずっと同じことを続けていることを、なぜかあまり良く思っていなかったようです。
「もう、おしまい!」と取り上げられたり、貯めこんだ宝物(?)は、程なくゴミとして捨てられてしまいました。
父は毎晩仕事から帰るのが遅く、たいてい酒に酔っており、そして不機嫌でした。
夜中に目が覚めると、ふすま越しにその声が聞こえるのです。
聞いてはならないものを聞いてしまった気になり、いつも布団に潜り込んでいました。