登山と熱中症(その2) | ヤッホー!!さん家の山ごはん

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管理栄養士・いきいき登山ガイド・ヤッホー!!さん。(芳須勲)のブログです。



前回、熱中症の分類を説明しました。
↓ここをおさえていないと、次に進めないので・・・特徴をおさらい。

高温環境(高温、直射日光、湿度など)が原因で引き起こされる、
いろいろな熱障害の総称を「熱中症」と呼び、以下の3つに分類されます。

①熱痙攣(ねつけいれん)
*暑いなか、激しい運動していると起こります。
*「肉体労働の従事者」や「登山者」に多いタイプです。
*水を沢山飲んで、汗を大量にかいたとき、ミネラル(塩分)をしっかり摂らないときに起こります。
*いわゆる栄養の問題です。
*足・指先がつる。という症状です。
*大量の汗をかいて、熱を【放散】しているので、【体温の上昇は少ない】です。
*水分不足や休憩不足などで→熱が【放散】されないと、熱疲労に進行してしまいます。

②熱疲労(ねつひろう)
*高温(高湿)環境下で熱が【放散】されないと起こります。
*家で安静にしていても起こります。
*高齢者や子供に多いタイプですが、若者だってなります。
*水分を摂っていても起こります。
*だるい、ボーッとする、めまいがする、頭痛などの症状です。
*熱が【放散】されないので、【体温が上昇】します。


上記2つの違いがご理解いただけたでしょうか?
上記2つの症状が悪化し、体温調整機能が破綻してしまうと、
③熱射病(ねっしゃびょう)になり、死に至るケースもあります。

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こうやって症状を見ていくと、熱中症対策は
やはり、「体温の【放散】」がキーワードになると思います。

今回は・・・熱中症を防ぐうえで
もっとも重要な【放散】を考えてみましょう。
(また、【放散】は、低体温症や凍傷とも関係していますので、あわせて説明します。)

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人間の体は、常に体温を一定(36℃~37℃)に保つ必要がありますが・・・
体温を下げるには、熱を外に放出する働き=【放散】という方法しかありません。
(もちろん雪山などの場合は、体温を下げる原因となってしまいます。)


その方法は大きく分けて4つです。・・・分類ばっかりでスミマセン。。( ̄_ ̄ i)




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【①放射】
「気温」と「皮膚」の温度差で直接的に熱が放出される働き。
*皮膚が直接、外気に触れていれば、そこから熱は逃げます。

ヤッホー!!さん。の「いきいき登山」ブログ-放射


夏山「熱中症予防」
*半袖・半ズボンなど、肌の露出が多いほうが涼しいのは当然です。
(↑ただし、虫さされ&日焼けなど、他の問題があるので、登山ではNGです。)
*酷暑日など、外気温が体温よりも高ければ、熱は逃げていきません。
(家で安静にしていても、気温が高ければ②熱疲労(ねつひろう)を起こすケースがあります。)
*標高が高くなれば、その分、外気温が低くなり、体温が放射されやすいので、夏は高山がオススメ。

冬山「低体温症予防」
*冬は肌の露出をおさえます。服を重ね着することで、体温の放射を防ぎます。
*標高が高くなれば、その分、外気温が低くなり、体温が放射されやすいので、冬の高山は危険。





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【②蒸発】
発汗などで身体についた水分が気化する際に熱を奪う働き。
汗をかくことで体温が下がるというのは、誰でも知っていることと思いますが・・・少なくとも登山をする人は

「汗をかくから体温が下がる」のではなく、
「汗が【蒸発】するときに、気化熱を奪うから体温が下がる」と覚えて下さい。。(*^-^)b


夏山「熱中症予防」
*沢山の汗をかいても、蒸発しなければ意味がないです。
*いつでも、皮膚がしっとりと濡れているような汗が蒸発しやすいです。
*湿度が高いときには、いくら汗をかいても、蒸発しません。
(雨が降って湿度の高い日は、部屋干しした洗濯物が乾かないのと同じ理屈です。)
ヤッホー!!さん。の「いきいき登山」ブログ
(家で安静にしていても、湿度が高ければ②熱疲労(ねつひろう)を起こすケースがあります。)
湿度が高い日に熱中症が多いのは、これが原因です。

*神経質に、こまめに汗を拭きすぎてしまうと、蒸発しないのでダメです。
*逆にダラダラと滝のような汗をかいても蒸発しないのでダメです。
*すぐビチョビチョになる「綿の服(Gパンやチノパン、綿のTシャツなど)」は汗の蒸発を妨げます。
登山に綿の服(Gパン)は絶対NGです!!


冬山「低体温症予防」

*あまり汗をかかないように、こまめに服を脱ぎ着して、【①放射】で体温を調節しましょう。
*冬に汗をかき過ぎて、服を濡らすと大変です、詳しくは【④伝導】で書きます。



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【③対流】
によって体温を下げる働き。
一般的には、風速1m/秒で1℃くらい
涼しく感じると言われています。

夏山「熱中症予防」
*ヤブ漕ぎをするよりも、稜線などを歩くほうが風が感じられて涼しくなります。
*半袖・半ズボンのほうが風を感じます。
(↑ただし、虫さされ&日焼けなど、他の問題があるので、登山ではNGです。)
*風があると、汗を【②蒸発】させる効果も高まるので、さらに涼しさUP!!
(家で安静にしていても、風がなければ②熱疲労(ねつひろう)を起こすケースがあります。)

冬山「低体温症予防」
*高度が高くなると、風が強くなります。冬の高山は危険です。
(冬の富士山では、風速20m/秒以上の風が日常的に吹いています。
ヤッホー!!さん。の「いきいき登山」ブログ-2月の蛭ヶ岳その2
*風を通さない素材のアウターを着用しましょう。




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【④伝導】
熱伝導の高い金属などの「モノ」が直接、皮膚に触れているときに熱を奪う現象。

夏山「熱中症予防」
*凍らしたペットボトルなどを、身体に直接につけると、体温が下がります。
*また、逆に、日光で熱せられた鉄の遊具(滑り台や鉄棒)で火傷をする子供が増えています。

冬山「低体温症予防」
*ピッケルなどの金属を触るときには、必ず手袋を着用して下さい。
*ピアスなどで金属が直接皮膚についていると・・・そこから凍傷になる危険があります。
*濡れた衣服は、雪山では氷を身につけるのと同じことです。
(手袋などが濡れてしまうと・・・そこから凍傷になる危険があります。)
*すぐビチョビチョになる「綿の服(Gパンやチノパン、綿のトレーナーなど)」は、気温が低いと【④伝導】によって体温を奪います。
登山に綿の服(Gパン)は絶対NGです!!




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以上の4つが

夏山では「体温を下げるため」のチェックポイントになります。
冬山では「体温を下げないため」のチェックポイントになります。

これらは、単独ではなく、相乗効果でさらに効果が感じられます。
ひとつひとつをしっかり意識して、服や装備、コース選びなどをしてみてください。

登山では、何事も「自分で理解して、しっかり選択すること」が大切です。




例えば・・・・、私はスキンヘッドです。
夏の登山では必ず帽子をかぶるべきでしょうか?

みなさんはどう思いますか?
それぞれいろいろな意見があると思います。


「スキンヘッドは帽子をかぶるべき」を選ぶ理由
*直射日光があたると、頭部の温度が上がってしまうので必要。
*落石・虫さされなどでケガをする恐れがあるので必要。

「スキンヘッドでも帽子をかぶらないほうがよい」を選ぶ理由
*頭皮から直接、体温を【①放射】できるので、帽子をかぶらないほうがよい。
*風が吹けば【③対流】によって体温を下げれるので、帽子をかぶらないほうがよい。
*汗が【②蒸発】しやすいので、帽子をかぶらないほうがよい。


ちなみに私は、猛暑日の登山のとき・・・
*可能な限り、日陰になる登山ルートを選択して、帽子はかぶりません。
*一応、帽子(または手ぬぐい)をザックに入れておき、「岩場」や「日のあたる場所」では頭にかぶります。
といった具合に臨機応変に対応しています。

スキンヘッドの人は直射日光さえあたらなければ・・・
髪の毛の多い人より、断然、熱中症に強いですヨ~。。о(ж>▽<)y ☆


こんな感じで、自分に合った「熱中症対策」を考えてみてくださいネ。






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さて、次回は・・・
【②蒸発】によって体温を下げるために必要な「汗」をしっかりかくために
「登山での水分補給」を考えます。

*水ってどのくらい飲めばいいの?
*スポーツドリンクを水で薄めて飲む。・・・これって登山で大丈夫?
*熱痙攣(ねつけいれん)を防ぐためにはミネラル(塩分)をどのくらい摂ればいいの?
*魔法の水・ORSってなに?

などを紹介します。


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大山・丹沢系に登られた折には情報を書き込んでいただけると嬉しいです。
(会わなかった時も「0匹だった」という情報をお願いします。)
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