ハマのロッキーの野球レポート:海老名ー横浜@平塚球場 | スポーツを語ろう-ZE!!

ハマのロッキーの野球レポート:海老名ー横浜@平塚球場

高校野球神奈川県大会=2回戦

海老名ー横浜@バッティングパレス相石スタジアム平塚=第2試合

海老名
000 000      0
251 101x   10  
横浜


横浜10x-0海老名(6回コールド)

正直・・この結果自体は十分有りうると思っていた。だがそれにも内容がある。

まず海老名。失礼ながら全国大会はおろか県大会でもそうはめざましい実績を残していないと思われるが・・そうであれば、まして言わずと知れた実績の持ち主の横浜高校相手に怯むなというのが無理なのもわからなくはない。だがスコアボードにもある通り、失策は5を数えた・・しかしそれ以上に目についたのが・・押し出しを含む四連続四球に象徴される制球難・・
今になってみれば計上不可能なほど気前よく四球を出していたから、酷な言い方になるがこれでは相手がどこというよりも「自分達の野球に勝てなかった」といった方が適切ではないかというくらいディフェンス面での破綻が顕著だった。この点はかなり海老名サイドにとって悔いの残る結果となったのではないだろうか・・

もっとも、横浜の強さとは単純に実績があるから、とかそういうもので括られるようなものではない。後述するが、この日も横浜は「隙あらば次の塁・・」とばかりに持ち前の機動力を遺憾なく発揮していた。そうしたことも海老名守備陣を揺さぶり、プレッシャーをかけて追い込んだその成果が出ていた賜物かとも言えるから一概に海老名にばかり厳しいものを要求するのは違うのかもしれない。
だが、大量失点からくるであろう開き直りもあったかもしれないにせよ、0-9で迎えた6回あたりになるととてもコールド負け目前のチームとは思えない堅守ぶりも披露していただけにこういった数々のミスが勿体なかったようにも思えてならない。もっとも見方を変えれば海老名なりにせめてもの意地を見せた、とも言えるかもしれない。だが・・そういうのもすべて含めて実力である、というのは百も承知であるにせよ・・もっと早い段階でこのようなプレーができていれば、という意識があるようなら海老名にはさぞかし悔しかったのではないかと思う。そこのあたりがどうであれ海老名にとっては持っているものを出しきれたのかどうかがこの結果だけではわからないが、この現実を今後どう受け止めるのだろうか。

一方コールド勝ちした横浜だが、スコアだけ見れば危なげない完勝であることは疑いがなさそうに見える。が、実はこちらも課題を露呈している。
それは攻撃面の雑さだ。元々試合巧者として見られている横浜。この日もエース以外の3投手がやや制球に甘さを見せながらも恵まれた球威にものを言わせて海老名打線を寄せ付けなかった。
何しろ海老名打線の各打者はバットの芯に当たっても投球の勢いの方が勝っていて打球にいまひとつ勢いがないのだから大したものだ。野手も・・0-9で迎えた6回表こそ代わった二人の野手がそれぞれ打球を後逸するというチョンボこそ犯したが・・大勢が決まって逆転負けに現実性がほぼなくなった上に練習試合でも出番に限りがありそうな控え選手ならむしろ場数を踏むには格好の機会。よく「試合以上の練習はない」という人がいるものだが、確かにこのシチュエーションなら今のうちに本番のプレッシャーに慣れておいて大舞台に向けて免疫をつける練習だと思って発想を切り替えればよい。一方スタメンについては言うに及ばずと言っていいだろう。この日の守備も全体的に安心して見ていられた。
それだけディフェンスがよければそのリズムで攻撃にも好影響を与えるのが普通である。ところが横浜高の場合ここからが問題で・・ディフェンス陣が頑張っても攻撃陣が生かせそうなチャンスを潰して試合の流れを悪くして結果逆転負け、というケースも過去意外と多いのである。この日も先に挙げた相手投手陣の四連続四球で押し出しの一点を労せずして計上し、次打者もツーボールワンストライクと有利なカウントに持ち込んだというのに・・無理のある球に手を出して結局三者残塁というもったいない結果を招いてしまった。相手が海老名のような一枚も二枚も下のチームだし実際この日もまた結果的に圧勝しているからいいが、強豪相手にこれでは試合の流れ自体が変わりかねない。
またその打者のスイングも大振りだった。「俺が長打を打って一気に決めてやる」とでも思ったのだろうか?元来がエリート揃いの横浜ナインだけにそういう感情を持ってもおかしくないが、そうだとすればここ一番という場面では危険な発想だ。
そしてそのあたりを渡辺監督はどうお考えなのだろうかというのがまた気にかかる・・渡辺監督御自身が今年限りの勇退を表明しているから余計に力が入ったもということもあるいはあったのかもしれないが・・ラストイヤーだからこそその辺の発想まで含めてもっと丁寧に望むべきではないだろうか・・

それでも、さすがに横浜らしいしたたかさも随所に見られた。甘さの見られる海老名バッテリーのモーションをことごとく盗んでは盗塁を着実に決め、エラーにつけこむ進塁、スクイズ・・その機動力に代表される試合運びのうまさはもはや形のない財産といってもいいだろう。このあたりは「横浜野球」が存分に体感できた瞬間でもある。

今年は昨秋から今春にかけての成績がいまひとつだったこともあってノーシードからのスタートだったが、元々横浜高校は夏場になってからが試合を重ねる度に一戦一戦強さを増していく傾向を持つ。今年のチームもその例に漏れず、過去の有力チームに匹敵するだけの力が備わっていることはこの日の試合を見てもしっかり確認できるだけに、あとは強豪と当たる前までに攻守とも更なる確実性を着実に身につけることができるかどうかが最大の鍵になると思う。そうなると変な色気は禁物。この日の振りの粗さ=攻撃面での粗さ・・ということなら、まずは大物狙いを捨て、ケースバイケースのバッティングの再考から徹底すべきではないかと思う。それが果たせると、東海大相模などの強豪とぶつかっても十分渡り合えるだけの面白いチームができそうなだけに、不満材料、懸念材料を覗かせたこの日の試合の中でも楽しみが見えた、そんな明るい材料も感じ取れる。





まだまだ伸びそうな投手陣・・上から先発石川・2番手北山・3番手春日井の3投手。
3人とも球威は十分。エース藤平がいなくてもこの陣容なのだから層が厚い!