東洋医学から夏バテを考える
東洋医学の世界観では,気候の変化が病をつくると考えられます。気候の変化は「風(ふう)・暑(しょ)・湿(しつ)・燥(そう)・火(か)」に分類され、どれも力が強くなりすぎると邪(じゃ)となって身体に悪影響をおよぼします。
日本の高温多湿な夏は暑邪と湿邪が身体に侵入しやすくなることが考えられます。
暑邪は身体に侵入すると体温が高くなり、汗が大量に出て喉が渇きます。こうなると、身体の各器官に潤いを与える津液(しんえき)が不足しますが、同時に身体の生命活動を支える気も不足してしまいます。そのため肌の渇きや関節の動きにくさ、疲れやすさ、息切れなどを強く感じるようになります。
湿邪は水の性質があるため粘って粘り気が強いと考えられ、津液の流れが滞るため便の排泄が悪くなる、むくみや身体が水を含んだ衣類を着ているような重だるさなどを感じるようになると考えられます。
さらに過度の冷房による寒邪が身体に侵入してしまう可能性があるのが現代の夏です。寒邪は皮膚や呼吸器、内蔵に侵入するので手足の冷え、咳や喉の痛み、下痢などを引き起こします。
暑邪の影響で津液が不足し、その不足した津液が湿邪の影響で粘り気を持ち滞り身体を守る気の作用が低下する。
さらにその弱った身体に冷房による邪が侵入する、というのが東洋医学的な視点でみる夏バテだと言えるでしょう。
暑邪・湿邪、身体におよぼす影響を考えてみると、夏バテの症状ととても共通点が多いことがわかります。
夏バテに効果
足三里
身体守る源である気を回復させたら、次に脛の外側で膝の皿の下端から指4本分下にある足三里(あしさんり)にマッサージを行います。足三里へのマッサージは津液の滞りをスムーズにし、むくみや身体の重だるさを改善すると考えられています。