タンタンタヌキの・・・「没後150年 歌川国芳展」@森アーツセンターギャラリー | 男の滑走路

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日々の出来事を徒然に・・。

今日は、昨年から楽しみにしていた「没後150年 歌川国芳展」を観に行ってきました。場所は六本木ヒルズ52階にある森アーツセンターギャラリー。


男の滑走路


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JRや東京メトロの駅のホームや車内にかなり広告出してたから、ご存知の方も多いと思います。


この騙し絵も見たことある人多いんじゃないかなぁ。


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浮世絵界の鬼才 国芳の作品がここまで一堂に会して見られることもなかなかないということで、喜び勇んで会場に向かったんですが、連休の最終日ということもあり、ヒルズは人でたくさん、さらに歌川国芳展を観に行く人も行列でして、入場するとこれまた人・人・人。一つ一つの作品に見入っている人が多くて、こんなに進みの悪い美術展を見るのは初めて。三時間くらい会場にいたかなぁ。それだけ彼の作品に惹かれる人が多いんでしょうね。


しかし、行列を仕切る係員の声が館内に響き渡ってしまうのはどうかなぁ。美術館というより、イベント会場っぽいから仕方ないのかもしれないけれど、どうも趣のなかったのは残念、少し興ざめでした。


それでも作品は時代を超えて素晴らしく、現代のグラフィックデザイナーかというくらいの斬新なデザイン、奇想天外なアイデア、確実なデッサン力、美術に疎い私も作品に吸い込まれるように凝視してしまいました。


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彼の作品には猫をはじめとする動物たちがたくさん出てくるのも人気の理由だったりするんでしょうけれど、動物が、人の形をして浮世絵に描かれているのは理由があったんですね。


これ、水野忠邦による天保の改革の影響なんだそうです。日本史で習った天保の改革というとのは質素倹約、風紀粛清。浮世絵界にも少なからず影響があって、役者絵や美人画が禁止になってしまったことで、国芳は動物を人に見立てて、浮世絵を書き続けるわけです。しかも動物を描くだけでなく、幕府の悪政に風刺を込めて精一杯の皮肉をぶつけたんですね、それが彼の絵のいたるところに隠されていて江戸の民衆に大人気だったとか。幕府にはかなり目をつけられていたようですが・・・


中でも特に目を引いたのが、タンタンタヌキの「キャンタマブクロ」、いわゆる狸の「フグリ」を中心に描かれた数作品。フクロが4畳半くらいの大きさに描かれてまして、その上に酒・肴・箸が並べてあったり、フクロを傘代わりに帰路を急いでいたり、フクロで魚を掬ったり、フクロをコタツ代わりにしたり、布団の代わりにしたり・・・こんな浮世絵初めて見ました。


男の滑走路


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しかし国芳はなんでそんなに狸の「キャンタマブクロ」に拘ったんでしょうか、確かにタヌキの置物のソレはとても目立つようになっていますが、実際にそんなにデカいのでしょうか?調べてみますと、昔からタヌキの睾丸は八畳敷きなどと言われているようで、非常に大きいとされていますが、実際には0.0002畳敷き程度で人間の小指程度しかないそうです。


この言い伝えは、江戸時代に、金細工の職人が金を薄く薄く伸ばして金箔を作る際に、タヌキのフクロの皮に金を包んで、その上からたたくと、とても薄く広がると言われたことからという説や、金箔を作るときにタヌキの皮を下に敷いたと言う説、タヌキのあそこの毛でつくった筆で金の粉を伸ばすと、よく広がったと言う説といろいろとあるようです。


話が長くなりましたが、歌川国芳展、ふだん美術館に行かない方でもとても楽しめます。1月19日からは展示作品がガラッと変わるようですので、わたくしもまた足を運びたいと思っています。


帰りは香妃園の鶏煮込みそばで満腹。


仕事始めの日に行った深川不動・富岡八幡の初詣、昨日行った新宿末広亭の正月初席、そして歌川国芳展観覧と江戸を満喫してる正月です。