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そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生/横石 知二
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横石氏が上勝町に営農指導員として赴任したのが1979年。
それから28年。山奥の過疎の町が、生き生きとよみがえる様子
を描いたノンフィクション。

上勝町では、つまものの栽培、出荷が大きな産業になっている。
つまものとは、料理のそばにのせられる植物のこと。菊の花や
南天など、食べられはしないけれど、季節感を感じさせてくれ
る添え物だ。

上勝町は、横石氏が赴任した当時過疎が進み、村の人たちには
仕事がなかった。みかんの栽培が主な仕事だったけれど、その
収穫は一年に一度しかない。

ひまなので男性は酒を飲み、女性は日がな人の悪口を言ってい
るという状態。

そんな中、大寒波が訪れて頼みの綱のみかんが全滅してしまう。

これが上勝町の転換点になった。

横石氏は、にらやほうれん草などの高地向けの野菜の栽培を提
案した。
みかんと違い、短期間で収入になる作物の導入で横石氏は村の
人たちの信頼を得る。

横石氏はそれに満足しない。
なんとか、村のお年寄り、特に女性が働ける仕事を見つけたい
と考える。

あるとき、寿司屋で若い女性がつまもののもみじを大事そうに
ハンカチに包んでいたのを見て気がつく。
そうだ、葉っぱを売ろう。

最初はたった四人で葉っぱの採集を始めた。自然のままにと
出荷していたのだが、料亭ではきれいで大きさのそろったもの
が求められていることを知る。

給料を1円も家に入れず、自腹で料亭をまわって食べ歩いたとい
うのだから、著者の執念もすごい。

地道な努力の甲斐があって、上勝町の葉っぱは高い値段で売れ始める。

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 本書より


「人は誰でも主役になれる」


「彩」のおばあちゃんたちは何歳になっても現役で働き、自分が人生の主役になっている。マスコミの取材や視察で大勢の人に仕事ぶりを見られまさに主役として脚光を浴びている。


「病は気からと昔からいうだろ。80も過ぎたら身体のどこかは痛いところがる。ほんでも朝起きて今日はこれをやりたいと思うことがあったら身体の痛さは消えて苦にならん。なんにもせんでええって言われるのが一番つらい」

 上勝町のように、老人ホームでないところに自分の存在感を見つけることができれば、高齢者にとってこれほど幸せなことはないと思う。


 自分に磨きがかかってくるといい人が集まってくる。「私はついていない」と言う人がいるがそうではない。それは自分自身がそういう状況を作り出している。そういう環境を作りだして、「ついてない」自分を育てている。


 「彩」ではみんなが自分を磨いていったことで環境=町がよくなり、いい人材が集まるようになった。

田舎にこれまでなかったのはビジネス力。田舎がビジネス力を持って無料で手に入る素晴らしい自然を全部活かすことができれば、絶対に田舎のほうが有利だ。これからは田舎がビジネスを生む仕組みをつくり、地域の特性を活かしてブランド力をつけ、住民全体の活力を上げていくことが大切だ。


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 この町のおばあちゃんたちは「彩」で間約2億6000万円の売り上げを挙げているという。町が有名になり産業があることによって、若者や団塊世代の移住が増えているんだそうだ。

 この本を読んで思ったのは、人はいくつになっても自分の行動しだいで自分の人生に種を撒き、花を咲かせることができるということ。

 女性や高齢者ができる事業はないかと考えて、この料理に彩りを与える「つま」に注目したわけですが、はじめは料亭の板長に追い出されたり、相手にされなかった。

この横石さんはこの町の出身というわけでもなかったのに、事業が軌道に乗るまでは自腹をきって料亭に出かけ、全国の飲食店やホテルに営業してまわったそうだ。そしてその間、家には一銭も入れなかった。その間支えた同居していた両親や妻の理解がすごいね。

 今では町のおばあちゃんたちは散歩に出るときでさえ、他の家の葉っぱの出来具合を観察し、毎日送られてくるファックスで自分の売り上げと順位を確認し自分を奮い立たせる。

まさにこれこそ「生涯現役」ですね。田舎のほうが有利という横石さん。彼のような視点が地方を救うのかも。

痛風になり、脳梗塞になってもなお走り続ける横石さん。読んでいて元気になる本でした。