「あまちゃん」最終回の感想、の前に総評です。



このドラマを好意的に見ていた方は気分を害するだけなので読まない方が賢明だと思います。



ついに迎えた最終回。



まぁとうに期待はしていなかったのですが、残念なのは春子が夏に謝らなかった事ですね。



このドラマは結局春子がアイドルになりたかったよーという話で、その為に春子が周りの人間を振り回し続けたストーリーでした。



一番の被害者は夏さん。



まぁそもそもは夏さんに原因があるともいえますが。



夏さんは娘を快く東京へ送り出さなかった事を謝りました。



春子は勝手に家を飛び出して二十数年も何の連絡もせず(後出しジャンケンで上野から電話したなんてエピソードがありましたが)結婚した事も子供が生まれた事も親に報告せず好き勝手に生きてきました。



親から愛されているという実感がない春子はアイドルになれなかったという不遇も加わって周りに当たり散らしましたが、周りは「春ちゃん春ちゃん(または春子さん)」と持て囃しました。



春子は「変わりたい」と言っていましたが変われたのでしょうか。



正宗さんとの離婚や再婚には意味があったのでしょうか。



春子が母親から謝られて、鈴鹿ひろ美からも謝られて本来の「天野春子」を取り戻し、優しい(または普通の)女性になって正宗さんとやり直した方が良かったです。



春子は最後まで自分のわがままに付き合ってくれた優しい夫に感謝する事はありませんでした。







もう1つの主軸は春子と鈴鹿ひろ美の対決でした。



春子の過去は散々引っ張られたせいですっかり興味をなくしましたが、アキのレコーディングの時の春子と鈴鹿ひろ美のやり取りは良かったです。



あの回は泣けました。



でも鈴鹿ひろ美の「わざと音痴疑惑」が発覚してストーリーはボロボロになりましたガーン



骨格となるストーリーはこの2つだけ。


特に濃密とか綿密とか緻密とは思えませんでした。




あとはノリビックリマークノリビックリマークノリ!!だけで強引に押しきった半年間でした。



アキは海女→潜水士→アイドル→地元アイドル(プー)となりたいものがコロコロ変わり、パンツだのおっぱいだのと騒いでいただけでしたガーン



実質ヒロインは春子でしょう。



でも春子はキョンキョンが一生懸命演じてしまったばかりに怖いキャラクターになってしまいました。



これまではギャアギャア騒いでいるだけで魅力的な女性のキャラクターに見えたかもしれませんが、これからは薬師丸ひろ子さんみたいに柔和な演技も身につけた方が良いと思います。
(上からですみませんガーン)



岡田惠和さんの「最後から二番目の恋」の千秋役は、中井貴一さんとの掛け合いも絶妙でとても良かったです。



キョンキョンの魅力を引き出せなかったクドカンも、春子を魅力的に演じられなかったキョンキョンも、どっちもどっちだったのかもしれません。



薬師丸ひろ子さんの歌唱力で実質「落武者」にさせられてしまったし、キョンキョンにとってはマイナス面が多かった様に思います。





これまでクドカンのドラマには散々笑わせてもらったし泣かされても来ました。



だから最初は期待してはいましたが、これまで好きな脚本家×朝ドラスタッフで後半つまらなくなったものがいくつもあったので、今回の様な事を懸念もしていました。



番組が始まった頃は、北三陸や方言や登場人物達に愛情が感じられ、良いドラマだと思いました。



訳もなくうるうるもしました。



最初はクドカンが「朝ドラ」に遠慮して小ネタを少な目にしていたと思うし、照れ隠しなのか何なのか分かりませんが感動的な場面もわざと感動させない様にしていたと感じました。



春子と夏の和解が1つ目の大きな節目になるかと思っていたら、はぐらかして先延ばしして、「やっと」という時に春子の方は謝りませんでした。



母親が自分を応援してくれていた事を知り、さらに謝ってもらった事で春子の気が済むかと思いましたが、春子は今度は「夏さんにありがとうと言ってもらいたい」と言い出したり、「私の居場所がない」と言って黙って東京に帰ってしまったりで最後まで自己中心でした。



震災後も母親や家を心配する描写はなく、鈴鹿ひろ美のリサイタルまで一度も北三陸に帰ることはありませんでした。



アキも最初の頃は、出しゃばりでも傍若無人でも猿でもなく、透明感溢れる聡明な子という感じでした。



東京で生まれたからこそ分かる地方の良さを肌で感じて田舎に憧れ、綺麗なユイちゃんに憧れ、ユイちゃんの活躍を純粋に喜べる良い子でした。



それがユイちゃんの危機には「親友にも緊張感は必要だ」と言って逃げ、ユイちゃんの活躍には喜ぶ場面がなくスルーで活躍が気に入らない様でした。



そして夏の手術後もアキは北三陸にいこうとはせず、震災後もなかなか動きませんでした。



東京にいるといい事は聞こえてこねぇ=辛い事ばかり耳に入るからだった様です。



このドラマを見て「暖かい」「優しい」と言う人達もいましたが、私には人間関係が冷たいなぁと感じる事が多々ありました。



忠兵衛さんがいなくなって夏さんが必死で探し回った時も、アキはガッカリしている夏さんに気付きもせずすれ違い、春子はアキに「ママのウェディングドレス姿見たい~?」と呑気な事を言っていました。




特に本気獲り以降、誰かが誰かを思いやる場面が少なかった様に思います。






ドラマの中では「アキは変わってない」「アキちゃんは変わらない」と繰り返していましたが、アキは悪い方に大きく変わりました。



「台詞やナレーションによる説明」と物語が乖離していたのも、このドラマがはちゃめちゃだった原因の1つです。



アキはもともと他人にお節介をするタイプではありせんでしたが、本当に最後まで自分がやりたい事以外何もしないヒロインでした。



その「成長しないヒロインが他者に影響を与えた」という部分も、言葉による説明だけではなく分かる様に描いて欲しかったです。






東京編とは何だったのでしょう?



中途半端に取り上げるだけなら、なぜ震災を描いたのでしょう?



芯となるストーリーがほとんどなくメッセージもない、楽しいだけのお祭り騒ぎに私は乗れませんでした。



弱者をいじめる様な描写も不快でした。



日本を代表するテレビ局には、もっと日本人らしいドラマを作って欲しいです。



「あまちゃん」を楽しめるかどうかは「右脳で見るか」「左脳で見るか」にかかっていいたと思います。



「Don't Think. Feel!」という言葉がピッタリなドラマでした。



それに乗れた人たちが楽しく見ていたのは分かります。



ただNHKに真面目さを、朝ドラにしっかりとしたストーリーを求める人には合わなかったと思います。







最終回の感想とNHKに対する疑問を後程書きます。



総評は以上です。