仕事で山形に行く日の昼、横須賀でラマンチャの男を観た。

 

何度か号泣して、ハンカチとティッシュがないことに気がついた。

山形行きでバックを変えたからだった。コロナ禍マスクがあって良かった。


舞台芸術学院の学生だった18歳の頃、毎日お腹を空かせていたが、

財布に残った三百円でご飯を食べるか?

池袋の文芸座で三百円でラマンチャの男を観るか?

迷ったが、ラマンチャに決めた。

 

私好みの入れ子式スタイル。

火炙りの刑になろうとも自由と平等と平和を夢見るアーチストの姿に胸を打たれて、

テーマ曲を歌い踊りながら経堂トイレの風呂無しアパートに戻った!

 

絶対に夢を諦めない!夢でお腹も一杯になった。
 

あれから50年。しかも初めての生の舞台。


18歳で感激した同じシーンで感動して泣いている自分がいた。


そして、改めて生きる勇気をいただいた。

80歳で力強い歌声を響かせる白鸚さんも凄いし、

他の役者陣も死ぬ気でやってる熱量が凄い。

そして私が釘付けになったのは松たか子だ。


両性具有のストイックの魅力。

伸びやかで無理のない動き。そしてなんとも言えない暗さと不機嫌さの魅力。


ソフィアローレンも凄くて泣いたが、松たか子にも魅了された。

永遠を思って、縋るように、決意したように歌う、あのテーマ曲。
スペインが好きでコロナ前にもう4度も出かけている私にはたまらない体験となった。