逢いたくて逢いたくて(60)ーYー~ミノ篇~ | えりんぎのブログ







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「……………ミノ?」


「…………………。」


「今、……どこ?」


「……………ヒョンは?」


「……怯えてたけど……さっき落ち着いて、……寝たよ。」

「…今、…どこ?…迎えに行くから。」

「………適当に走って来ちゃったから…森みたい公園で……隣にコンビニがあって…。」

「…結構、走ったな。分かった。……行くから…ちゃんと待ってて。」


─────スマホをタップして車の鍵を手に取る。


客用の寝室のドアを出来るだけ静かに開けてチャンミナを確認した。


規則正しい寝息が聞こえて、ホッと安心する。

……どうか、俺の部屋がチャンミナの第2のトラウマになりませんように……そう、願った。





「………ミノ。」


静まり返った公園のベンチ、明るく照らす満月を見上げるミノをみつけた。

俺をチラッと見て、バツが悪そうに目を伏せる。


「……ほらっ。」


ミノに缶コーヒーを投げて、ドカッと隣に座る。


「…俺。……謝らないからな。」

……なんのことだか分からない、というようなミノの顔。

「おまえのヒョンを取ったこと、…謝らないよ?」

すぐに元の挑戦的なミノの顔になった。

「……取った、って認めるんですか?」

「…まぁな?……絶対、離さないよ?」


缶コーヒーを一口飲んで、はぁ、…と大きなため息。

「ユノさん。…慰めに来てくれたんじゃないんですか?」

「…なんで慰めんの?…最大のライバルなのに?」

「…俺だってずっと片思いだったんだからな!!」


プッと吹き出したミノが…「何いばってるんですか!」って言うから、俺も何だかおかしくなって、「…そ、そう?」つい笑ってしまった。


少ししてミノがボソボソと話し出して。

「………ヒョンのトラウマ……本当は…僕がやったんです。…もうすぐ暗くなるから、って嫌がるヒョンを無理やり連れ出して……。」


「……グライダーを、飛ばして……わざと倉庫に入れた。……探しに行ったヒョンが…引き戸の内側に入ったって、……戸を閉めたところで…カンヌキ…降ろして。」

「……すぐ、後悔して…開けようとしたけど、開けれなくて…!!……泣いてる僕を近所の人が見つけてくれて……。」


肩を震わせて…まるで懺悔するかのように辛そうに言葉を紡ぎ出す。


「…ん。……辛かったな。」


ポンポンとミノの背中に手をあてる。


「……ヒョンは、…勢いで勝手に閉まったって思ってる。……僕を…信じてるんだ。……こんな僕を!!」


「……そんなチャンミナだから、…好きなんだろ?」


「……あの日、いつもヒョンにちょっかいかけてる上級生のリーダーとヒョンが一緒に帰ってるのを見たんです。……2人とも、楽しそうに笑ってた。……僕は、…苦しくて、ドロドロした気持ちが溢れて…。」


「ん…。後悔してんだ。…誰にも話せなかった?……もう、いいよ。大丈夫。…チャンミナは何を聞いてもおまえを許すよ。…おまえをすごく大切にしてる。……分かってんだろ?」


さらに肩を震わせて、何度も何度もコクコクと頷くミノ。


チャンミナ…起きちゃうかもしれないし、帰ろっか…って抱き寄せるようにミノを立たせた。