─────言葉がでなくて。
ドンへに、場所を変えよう…って促されて講堂の隅にポツンと置かれたベンチに座った。
膝のうえでギュッと結んだこぶしが、ポタポタ落ちる雫で濡れて。
溢れ出したら止まらない涙に、…何も言わないドンへが温かくて。
震える肩にそっと手を重ね、ポンポンと子どもをあやすように撫でる。
「……ドンへ。……ごめ…ん。」
「ん…。おまえさぁ……やっぱ、…まじだったんだな…。」
「………………。」
「まぁ、分かってたけど。」
………付き合いたい、とかね、…思ってた訳じゃないの。
あの夏の日のユノさんに恋をした。
大勢の女の子達に騒がれて、…どうって事ない、って顔。
友達とふざけて大笑いしてる顔。
ころころ変わる彼女の隣で優しそうに、…でもつまらなさそうな顔。
────ただ、見てるだけで良かった。
それが……
チャンミンくんから自然に差し出された割り箸を受けとる、…ちょっと自慢気な顔だったり。
チャンミンくんが私をパートナーに誘った時の、…嫉妬でギラギラした顔だったり。
チャンミンくんを待ち伏せしてる、って…照れて、でも甘さを隠しきれない顔だったり。
好きで好きでたまらない、って…全身で言ってる。
─────こんなに、チャンミンくんが羨ましいと思うなんて。
今まで見た、どの彼女にも抱かなかった感情。
「……うん。……自分で思ってたより、…本当に好きだった、のかな?」
「…絶対、適わない…って分かっちゃったから、こんなに悲しいのかな?」
はぁー…って大きく息を吐いたドンへが顔を上に向けて、
「俺…あの2人に関しては、何もコメント出来ないわ。…ごめんな。…でも、チャンミンはユノにとって…特別だから…さ。」
「……うん。……見てれば、分かる。」
「……それも、困りものだよなぁ。…ユノの奴、隠さねーから。」
──その言い方がなんだか可笑しくて、ふふっ…って笑いが漏れる。
そんな空気を感じとったドンへが、
「…俺にしておけば?」なんて冗談言ってくるから、「……ばか。」って返した。
「あれ?…ドンへさんとリヨンさん?」
ユノさんと並んで歩いてきたチャンミンくんがこちらに気付いて寄ってくる。
「…あっ。…ごめん、私…デッキブラシを取りに行かなきゃ!」
すかさず腰をあげて、じゃあ、…って背を向けた。
「…あっ。…僕も一緒に行きます。」
小走りに私の後を追ってくる。
その後を追おうとしたユノさんが、「…おまえはいい。」って、ドンへさんに腕を捕まれていたのが、目の端に見えた。
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いつも私のどうしようもない妄想文を見ていただいてありがとうございます(^^)
実は、こんなにトンにハマってどうしよう~なんて考えていたら、昔々の20年ほど前^^;…ハリウッドスターのクリスチャン・スレーターという俳優にむちゃくちゃハマったなぁ。から、急にその頃好きだった映画のパロを書いてみたくなりまして。
次回でリヨン編終了なので、
逢いたくて逢いたくて。を一旦お休みしてそちらを書かせていただきますσ(^_^;
結構有名な映画なのかな?
女優さんは有名で、その映画の相手役俳優が好きで観たのですが。
その映画が分かったらすごい!というくらいおぼろげな記憶のまま話にしちゃいます!
もしかして?と思ったらご一報を♪
短めに終わる予定です(^^)