────「…リヨンさん。……歩くの…速い。」
ハァハァ、…ともう息があがってるチャンミンくん。
………多分、普通じゃない様子の私を心配して付いてきたのだろうけど。
「……男の子のくせに、そんなんじゃ困るわね。」
出来るだけ自然に…おどけてみせた。
───「リヨンさん………。」
チャンミンくんの長い指がふっと、私の目尻を撫でた。
「…えっ?////////!!」
「…!!…あっ!///ごめんなさい!!」
恥ずかしくなって俯く私と、…同じように俯いちゃったチャンミンくん。
──えーっと…いつまで、このままでいるのかな?
そぅっと、…ゆっくり視線をあげたら、…おんなじように視線をあげたチャンミンくんと目があった。
「…クスッ。」
「……?」
「……アハハハ~!」
「…!///……リ、リヨンさん?」
「………優しいね。チャンミンくん。……でも……同情はしないで。」
困ったように眉を下げて、潤んだクリクリの瞳で見つめてくる。
───ユノさんに愛される子。
「あの……同情なんて、してません。…リヨンさんが羨ましいです。」
「ユノ……。リヨンさんの事、…周りの女の子達とは違うって…。」
「……友だちになれそう、…って言ってました。」
俯いても、背が高いから…表情まる見えだよ?
ほんのり染まった頬に…くるんと自然にカールしたバサバサ睫毛が別の生き物のようにふるふる揺れている。
「……リヨンさんは女の人で、…ユノに特別に見られて…いいな、って。」
そこまで言って、ボッとさらに真っ赤になったチャンミンくん。
────この子って、…わざとじゃないよね?
純情で、素直で…謙虚なのは、この短い付き合いの中でもよく分かっているけど…。
両手で思いっきりチャンミンくんのほっぺを摘まんで。
「ほんっと!!…鈍感!!…もっと、自分に自信持ちなさい!!」
「…い、いてっ!!」
あんな2人を見せつけて、よく私のこと羨ましいなんて言えるわね!!って、呆れちゃうけど…でも、それがチャンミンくんだって事もちゃんと分かってる。
「…分かった?」
「……リ、…リヨンさん、…い、いたいです。」
こんなんで許してあげるんだから、我慢しなさい。
「分かったの?」
「……は、はい。」
最後にまたギュッと力を入れてから手を離したら、チャンミンくんの頬は親指の形にクッキリ痕が付いてて、取れ切れてないペンキなのか、あちこち赤いチャンミンくんが可笑しくて。
「ぷっ…!…いい男が台無しね。」
「……ひどい、…リヨンさん。」
────もう、私は大丈夫だから…って、チャンミンくんにデッキブラシを持たせて、…でも少しだけひとりにして欲しい、って先に行かせた。
「あれっ?……チャンミナは?」
今度は帰りが遅くて痺れを切らしたユノさん。
───ほんとに…もう!
キョロキョロと辺りを見まわす、時にあどけなくみせるこの人の瞳にはチャンミンくんしか映ってないって嫌ってほど分かるから。
「……ユノさん。私…あの夏の日から、ずっと…好きだったの。」
それでも……言葉にしたくて。
「…えっ?……あー……。」
「…急に………ごめんなさい。」
「……やっ。……ありがとう。」
居心地悪そうに頭をポリポリ掻くペンキ顔。
「………でも、大切な人…いるんでしょ?」
「ん……。分かる?」
「……ってか、…バレバレ?」
あははっ、…って顔をくしゃくしゃにして、照れくさそうに笑うユノさん。
あの純情で勉強熱心な私の生徒は一体どれだけの新しいユノさんを引きだすのだろう、……そう思ったら、何だか少し温かい気持ちになった。
******************
リヨン編終了です♪
まだまだ続きますσ(^_^;
前記事で載せましたが。
次回から、ある映画パロです♡
こちらを覗いてくださってる方で、トンペンさんの方は、多分同年代の方が多いと思うので、…分かっちゃうかな?
なんだか、すみません^^;って感じになっちゃうと思います(^^;)