──────「ユノ?……ユノ!」
「…んあ?」
「…!!ちょっ!!いいかげんに離れてください!」
どうしてもレポートを書かなきゃいけない、って机に向かいだした僕を、──ここでやれよ。ってソファーの前の小さいテーブルまで連れてきて。
こっちは真剣に数式に取り組んでんのに、寒い、とか言って、背中にべったり張りつく男。
自分の足の間に僕を入れて、腰に両腕をまわし、隙間のないほど背中に密着されたら、悪いけど、暑い。
「…ユノ。暑い。」
何度言っても知らんぷり。
「暑い、ってば!」
「…いーだろ?大人しくしてんじゃん。」
あのさ、…締め切りが明後日で、焦ってんだよね。
それに今夜はゼミの飲み会とやらがあって、教授も来るやつだから簡単に断れないし。
「ユノ?…バイトじゃないの?」
そろそろ用意した方がいい時間なのに、なかなか動こうとしないユノ。
「飲み会の時間までにきりのいい所までやっちゃいたいんですけど。」
ため息混じりに呟いたら。
「……なに?飲み会って。」
───やばっ。…言ってなかったっけ?
「…あー。えっと。ゼミの飲み会なんです。…言ってなかった?」
……これくらいの事を遠慮がちに言う僕も僕だけど、完全に顔が怒ってるユノもユノでおかしいと思うのに。
「…聞いてない。」
ボソッと言って、腰に回した腕にギュッと力をいれる。
「…俺がバイトの時に飲み会とかさ、…やめてくれよ?…何かあっても迎えに行けないだろ?」
「そんな事言われても…無理です。今日は教授も来るやつだから。」
……ユノが嫌がること、したくないな。って思う自分も確かにいて。
でも、いくら乗り気じゃなくても、しょうがないことはあって…。
「今日はおまえ、ずっとレポートにかかりきりでさ。
……俺、出来ればバイトも行きたくないんだけど?」
それなのに、そんな事をぐだぐだ言ってくるユノにちょっとイラっとした。
「…!!そんな事言うならさ、ユノもレポートとかやればいいじゃないですか?いつも…!」───そこまで言って、言葉を飲みこんだ。
───そう、ユノの方が三年だし、父親の法律事務所を継ぐなら司法試験の勉強だってあって、…きっと僕より忙しいはず。
ユノが、僕の寝てしまった後に勉強してること。
隠してるつもりかもしれないけど…、知っていた。
押し黙ってしまった僕の肩を寄せて。
「……ごめん。困らせたな?」
申しわけなさそうに呟く───愛おしい人。
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凝りもせず、また《逢いたくて~》書き始めました^^;
ユノにもお祝いしてもらえたね♡♡