~チャンミンside~
────少しだけ目を開けたら、ユノの長い睫毛がふるふると、
それを眺めながら舌をチロッ、・・
唇よこのホクロからぽってりとした下唇をなぞったら、バチッと目があったのを避けるように顔を背けた。
─────くそっ、・・
なんて、ちょっと苛ついた声色に、少しだけ後ずさり。
このまま抱き合っていてはベッドまで移動出来ないし、キスの気持ちよさに、・・今日の疲れも手伝って、油断したら本当に意識がとんでしまいそう。
「ユノ、・・離れて、・・。」
スルッと腕から抜けようとしたら、
「─────させるか。」
さらに強く引き寄せられて、
おりてきた唇は強く、深く、────
そのままズリズリと移動し始めたユノ。
後ろ向きの僕は何だかよろよろと覚束ないし、床をちゃんと片づけたのは正解だった、とやけに冷静に考えちゃったところで、ユノの両手が僕のTシャツの裾を掴んだ。
一気に託しあげられて、一瞬ヒヤッと風呂上がりの身体が震えるけど、───駄目だよ、ユノ。唇を離してくれないと首が抜けないじゃないか。
「あ、」
って、今更のように気づいたユノが一瞬だけ、クチュリ、・・軽くリップ音を残して離れ、スッとTシャツを脱がされた。
「・・ん、・・っっ、・・ぁ、・・。」
すぐさま重なるそれ。
ズリズリはまだ続いていて、・・ベッドまでの距離は気が遠くなるほど。
「・・んっ。」
僕の両手を掴んで自分のシャツの裾を掴ませる。
意味ありげに片目があいた。
─────僕にも脱がせろ、ってこと?
こんなまどろっこしい事をする時のユノは酷く感傷的になっている証拠で、
しょうがないからつき合ってあげよう、と思う気持ちと。
眠いんだけど?って現実的な自分。
何度も挟み込むように重ねた唇は蕩けきって熱いぐらいで、
性急にことを進めたいのは何も眠いばかりじゃない。
─────ユノを求めて求めて、・・全身がユノを感じたいとうち震えるから。
ぐっとユノのTシャツを託しあげながら、力の抜けたユノをこの時とばかりに体勢を入れ替えて。
ユノを後ろ向きにして、ズリズリどころかダンダンッと音がするくらい強引に進んでいった。
バランス感覚のいいユノは転ばないだろうし、もし足を引っかけちゃったら一緒に転べばいいんだから。
そう、───ユノと一緒に転べば。
バフッ、・・男2人分の体重を受けて思いきり沈んだベッド。
それまで僕にされるがままに歩いてきたユノだけど、その瞬間にまた体勢を入れ替えて。
僕の上に覆い被さるユノ、・・・。
その重みがこんなにも愛しい、・・・。
その気持ちに蓋をして火照る身体だけを慰めるのは楽じゃないね?・・ユノ。
でもきっとすぐ慣れるから、────。
首筋から鎖骨へ、・・しつこいくらい胸の辺りでとどまっていたユノがわき腹へ舌を這わせたところで、
~~♪♪~♪~~♪♪♪~~~♪♪~♪
リビングのテーブルに置きっぱなしの僕のスマホ。
無理矢理な体勢でここまできちゃったからドアを閉める余裕なんかなくて、嫌でも響きわたる着信音。
チラッとそちらへ視線を投げるユノの顔を引き寄せて、───気にしなくていい、とキスをした。
~♪~♪♪♪~♪♪~~~
それでも鳴り止まない音に、
「─────出ろよ?」
そう言って、ボスンッと仰向けになり僕を解放する。
「ん、」
仕方なくスウェトだけ履いた身体を起こし、身体が冷えていくのを感じながらスマホをタップした。
──────チャンミン?
「イリヤ兄さん・・・。」
「あ、ごめん、・・ちょっと心配で。ずっと元気なかったから。・・今日は帰ってくるかな、ってさ。」
──────イリヤ兄さん。