■ニーズを聞くな! ②
百貨店というのは発明された業態だ、ということ、知っていますか?
1852年、フランスのパリに
世界最初の百貨店『ボン・マルシェ』が開店しました。
アリステッド・ブシコーという人が最初に考えました。
上がガラス張りになっていて、吹き抜けになっている
三越日本橋本店はこれを真似た
発明されたっていうのはどういうことかというと
それまでは、こんな業態のショップはなかったっていうことです。
たとえば、それまで世の中に、正札販売というものがなかったんです。
正札販売というのは、いわゆる定価販売です。
つまり、プライスカードが付いていなかった。
お店に行って、
「これをください。幾らですか?」と言って、一々交渉して買っていた。
今は当たり前になっていますが、正札販売が新しかった。
それから、店に来て商品を見るだけでもいいですよ、と言ったこと。
それまでは、店に行ったら、何かを必ず買わなければいけなかった。
商品を見るだけで何も買わなくてもいいというのは、革命的な業態の変革でした。
珍しい商品がたくさん並んでいて、
見るだけでお客さんはワクワクしたんです。
ボン・マルシェの広告です。
何がスゴイかというと、
それまでパリの市民が思ってもみなかった
「ニーズ」・・・欲望を喚起した、ということです。
具体的にいうと、たとえば・・・
その当時、ブルジョア階級の人たちは、
夏になると海水浴に行っていました。
でも、一般的市民はそんなことをしようとも思っていなかった。
アリステッド・ブシコーは、あなたたちもそういうことをやっていいんですよ、
とポスターや店内に並べた商品によって啓蒙していったんです。
水着を並べて、夏になったら海水浴に行きましょう。
あなたたちも行っていいんですよ、ということを伝えた。
それまで一般庶民は海水浴などに行こうとも思わなかった。
自分とは関係ないことだったから。
そういう人たちに「海水浴に行ってもいいんだ」と気づかせたんです。
これは、新しいライフスタイルの提案です。
商品を通して、新しいライフスタイルをどんどん提案していった。
それまで市民が全く欲しいとも思わなかった、
全く気づきもしなかった自分の欲望に気づかせてあげた。
それが百貨店の役割でした。
新しいライフスタイル、新しいニーズに気づかせてあげること。
それが百貨店の役割のはずです。
これは百貨店だけでなく、あなたのビジネスでも一緒だということ。
お客さんに、新しいニーズに気づかせてあげる、
自分の欲望に気づかせてあげること。
これがビジネスの基本なのです。
ニーズを聞くことではないのです。
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